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貸切バス経営の素朴な?にお答えします

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実務全般

貸切バス業界は、常に変化する法令と気の抜けない行政指導が続き、大変過酷な経営環境におかれています。
この厳しい環境を無傷で乗り越えるには、法令と行政に精通した専門家のサポートが欠かせません。
今日は、最新の貸切バス事業の問題点と当社の関わりについて解説いたします。
 

新規申請は審査に半年以上が必要です

貸切バスの営業許可申請(一般貸切旅客自動車運送事業)の標準処理期間は、新規の場合で3ヶ月と公表されています。
※関東運輸局管内の場合
 

 
しかし、実際に多くの新規申請をご依頼いただいている当社の感覚で言うと、申請書類を提出してから最低でも6カ月は必要だと考えています。

一昨年12月月末に新規の申請をさせていただいた事業者様がいらっしゃいます。
1月の法令試験に合格され、補正も順調に進んでいましたが、最終的に許可が出たのは昨年の6月でした。
 
この事業者様は比較的条件が良いのでこのスピード感ですが、条件が複雑になるともう少し厳しくなります。
※複雑な条件とは、車庫の権利関係が複雑だったり、車両が他社の所有でさらにリース契約であったりする場合を言います。

 
関東圏で貸切バス事業の新規参入をお考えの事業者様は、最低でも申請から許可までに6ヶ月は必要だと考えて資金計画を策定してください。
営業所や車庫は賃借予定では申請できませんから、申請から許可まで寝かせる資金が必要になります。
 

 

更新申請には3つの関門があります

今までは一度取得した免許は法人が存続するかぎりにおいて基本的にはずっと続く許可だったのですが、今回から他の許認可と同じように更新制度が採用されることになりました。
新規から更新、更新から更新までの期間は5年間です。
 

各事業者様の更新時期は関東運輸局のホームページから確認することができます。
【関連資料】
関東運輸局のホームページ(許可の有効期間満了日について)

 

【1番目の関門は法令試験】
法令試験は基本的に、申請が受理された翌月に行われます。
受験できるのは代表者です。
但し代表者は代表取締役に限りません。
これは会社法の問題でもあるのですが、少しややこしいので別の記事で詳しくご説明しています。

 

受験できるのは基本的に2回までです。
実際には最大で14回まで受けることができます。
様々な条件がありますので、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

 

試験内容はかなり安定してきました。
昨年は6月から9月が大変簡単で、10月から突然難化と、受験生はかなり苦しめられました。
しかし、今年に入ってからは、きちんと準備をすれば結果が伴う試験になりました。

【2番目の関門は直近の財務状態】
新規の場合も、更新の場合も資金に関する条件は大変厳しくなっています。
貸切バスの事故の主たる要因が、資金不足によって安全への投資がおろそかになっていると考えられているためです。
新規も更新も事業収支見積書という書式で資金の安定性を証明します。
 

直近の年度で債務超過状態である場合はそもそも門前払いになってしまいます。
この条件は新規申請で問題になることは少なく、更新申請で大きな関門となります。

【関連資料】
一般貸切旅客自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の審査基準について(抜粋)

【関連記事】
債務超過とはどういう状態?

 

【3番目の関門は今後5年間の収支予定】
更新の際にしつこく確認されるのは、次の更新までの安全に対する投資計画と、その投資計画を実現可能にするための収支計画になります。
ドライブレコーダーの買い替え計画や、デジタコの導入計画などのハード部分の投資計画はもちろんのこと、乗務員さんの若返り計画や教育計画などのソフト面での計画も求められます。

これらすべての計画の前提にあるのが、もちろんお金です。
どんな立派な計画も、前提となるお金がなくては先に進めません。

今後5年間の収入を勝手に決めることはできません。
次の更新までに、御社が手にすることができるお金はもうすでに決まっています。
その収入を決めるのが、直近の輸送実績報告書です。

書類の管理は重要課題

貸切バス事業を平穏無事に経営していくためには、様々な書類の管理が欠かせません。
なぜならば、定期的に行われる巡回や監査は書類の審査といっても過言ではないからです。

【特に重要な書類をピックアップ】
☑運送引受書
運送引受書はお客さまと貸切バス事業者との間の契約書です。
集合時間から目的地、運賃料金にいたるまで、運行に関わるすべての情報が記載されています。
巡回指導や監査では、運送引受書の記載違反が多く指摘されています。
 

【関連記事】
貸切バスの運送引受書の注意点をまとめました。

☑点呼記録簿
安全な運行のためには適正な点呼が欠かせません。
乗務員さんの体調や、免許の有効期限など、運行に必要かつ大切な情報を確認するためのルーティーンです。
点呼について大切なことをまとめた記事があります。
 

貸切バスにもIT点呼が認められるようになりました。
貨物トラック事業のような柔軟性はありませんが、かなり運用の幅が広がったと言えます。
 

☑乗務員の教育記録簿
教育記録簿が不適とされる場合は、記録簿の記載が不適という場合と、教育内容そのものが不適正であると判断されている場合があると考えてください。
前者の場合は大きな問題ではなく、記載内容や方法を改めればいいのです。
 

問題は後者の場合です。
教育そのものの有効性が問われている場合は、単純に記載方法を工夫するだけでは改善になりません。

 

教育が御社の利益を作り出す

乗務員さんの不足が続いています。
2種免許さえ持っていれば歓迎される時代が現実になっています。

このような状態をドライバーの売り手市場(ドライバーの方が力が強い)と言いますが、往々にして売り手市場の売り手側は質が低下するものです。
競争力が低下し、自己研鑽の能力もなくなりますから、どんどん加速度的に質が低下します。
するとどんなことが起こるかというと・・・

 

ドライバーの質が落ちる⇒客離れが起きる⇒利益が下がる⇒車両が更新できない(古い車両が増える)
⇒さらに利益が下がる⇒給与水準が下がる⇒ドライバーの確保が難しくなる
このような状態が廃業への負のスパイラルです。

 

逆にドライバーの教育にお金をかける(投資する)事業者さんの中には驚くほどの利益を上げている会社も存在しています。
負のスパイラルの逆が発生しているわけですから、利益があがり乗務員の質がさらに向上するのは当然です。

初任運転者の教育がかなり厳しくチェックされています。
特に、新規で貸切バスの免許を取得された事業者さんはこの初任運転者の教育プロセスを丁寧に履行するように心がけてください。

【関連記事】
貸切バスの初任運転者の教育について詳しく解説します。

 

お困りのときはフリーダイヤルでご相談ください

貸切バス事業を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。
書類の整理に追われて日常業務に支障が出ている事業者さんもいらっしゃいます。
経営に関する様々な心配ごとで、夜眠れない経営者の方も少なくありません。

貸切バス事業の運営について困ったことがありましたら、貸切バス専門のコンサルタントにご連絡ください。
電話でお応えできる内容であれば、その場でお悩みを解決できるかもしれません。

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