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貸切バスのドライブレコーダー義務化を詳しく解説します。

2018年5月21日05時06分
貸切バスの年間サポート


 
貸切バスでドライブレコーダーの装着が義務化されます。
今回は、このドライブレコーダーに求められている性能と、その理由について考えてみます。
 

▶MENU
1.平成31年12月1日から完全義務化
2.カメラは基本的に2基必要
3.前方カメラに求められる性能
4.運転席側カメラに求められる性能
5.速度の記録
6.加速度の記録
7.何時間記録できればいいか
8.初任者教育には何枚のSDカードが必要か?
9.ドライブレコーダーの価格はどの程度が妥当か
10.数年に一度買い替えるつもりで割り切る姿勢が大事

 

平成31年12月1日から完全義務化

新車についてはすでに平成29年12月1日から義務化されています。
平成31年から義務化になるのは、すでに登録済みの車両についてです。

来月車両を購入する予定がある場合は、車検証の『初度登録年月』が平成29年12月以降かどうかをご確認ください。
中古車両を購入する場合でも、平成29年12月以降に生産された車両には、ドラレコの装着が義務付けられています。

 

カメラは基本的に2基必要

ドラレコで必要な情報は、車両前方だけではありません。
運転手の運転動作を記録するためのカメラも必要です。
ドーム型のカメラで360度記録するタイプもありますが、前方と運転手側では求められている性能に違いがあるのでそれを満たしているかどうかの注意が必要です。
 

前方カメラに求められる性能

前方カメラに求められている性能は、おおむね以下のようなものです。

☑映る範囲
正面は中心を0度として左右にそれぞれ50度ずつの範囲で映らなければいけません。
つまり100度の画角が必要ということです。
上下は水平を0度として、上下にそれぞれ35度ずつの範囲が必要です。

☑解像度
解像度とは、画像の細かさのことです。
決まった面積の画像をどこまで細かく分解して記録できるかどうかの性能です。
例えば、500×500の解像度であれば、縦と横でそれぞれ500ずつの枠(画素)があると考えていただければ結構です。
つまり、500×500=250,000個(25万画素)の枠で一定の面積を画像にするわけです。

あたり前のことですが、この枠が多ければ多いほど緻密な画像を表現することができます。
法令で求められているのは、640×480以上、30万画素以上です。
現在のドラレコでこのレベルに達していない機種は存在しないと考えていいので、この点は心配いりません。

☑フレームレート
フレームレートはデータを保存する回数のことです。
動画は静止画を連続的に並べたもので、昔教科書に書いて遊んだパラパラ漫画と基本的には変わりません。
フレームレートはfps(フレームパーセコンド)という単位で表されますが、これは1秒あたり何枚の静止画を並べて動画を作成するかを決める数値です。
法令で前方カメラに求められているフレームレートは10fpsです。
10fpsとは、1秒間に10コマの画像を並べて映像にする、という意味です。

 

上の数値は大きければ大きいほど広い画角で細かく滑らかな映像を記録することができます。
しかし、数値が大きいということは情報も大きいということですので、データを保存するメディアも相応に高性能なものが必要になります。
この点については別に解説します。

運転席側カメラに求められる性能

車両の前方を記録するカメラと、車内の主に運転席を映すカメラでは求められる性能に差があります。

☑映る範囲
運転手の操作状況が確認できる画角であれば問題ありません。
法令で具体的数値は決められていません。

☑解像度
運転操作が把握できる程度の解像度で問題ありません。
法令で具体的数値は決められていません。

☑フレームレート
5fps以上であることが求められています。
この数値はかなり低い基準のものですので、一般的にはまったく心配ありません。

 

速度の記録

ドラレコには瞬間速度の記録が必要です。

瞬間速度という言葉に迷ってしまう方が多いようです。
動画と一緒に記録されるものなので、このような言葉を使用するのですが、『瞬間速度』は単純に『速度』と読みかえてしまって結構です。

法令で定められた基準は、時速40㎞で走行時に±3km/h、時速100㎞で走行時に±4.5km/h以内の誤差です。

 

加速度の記録

新しい基準では、加速度の記録も求められています。

加速度という言葉もわかりにくいと感じる方が多いようです。
『加』速度ですから、スピードが上がっていくイメージがあるからだと思います。

☑加速度とは速度の変化の程度のことです。
例えば、停車中の車が発進後一定の加速をして、16秒で時速72キロになったとします。
時速72キロは秒速20メートルです。
※1秒間に20mも進むと考えると、72キロという速度はかなり速いことが実感できます。

この場合の加速度は以下の式で求めることができます。
(20-0)÷16=1.25m/s2
※速度の差をかかった時間で割るだけです。

停止状態の車両が16秒で72キロに達する加速度は1.25と計算できました。

☑減速するときも加速度と言います。
逆に時速72キロ(秒速20メートル)で走行中の車両が一定割合で減速して、16秒で停止した場合はどうでしょう。
この場合、車両は減速しているのですが、その割合は加速度と呼びます。
そして、この場合の加速(減速)度はマイナス1.25です。

☑法令の基準値は±2.5の加速度感知
2.5の加速度とはどんな状況なのでしょうか?
時速72キロで走行中の車両に±2.5の加速度がかかる状況とは、以下のような場合です。

プラス2.5は1秒で時速72キロから時速81キロに加速する。
マイナス2.5は1秒で時速72キロから時速63キロに減速する。

どちらもかなり異常な運転であることがわかります。
つまり加速度の記録とは、常識的ではない急な加速や減速の瞬間を記録するためのものです。
 

☑Gの感知は3次元対応
ドラレコに求められている加速度センサーは前方後方だけではありません。
それ以外に、左右方向(つまり横G)、上下方向(縦G)にも対応することが必要です。
法令ではそのいずれに対しても、事業者があらかじめ決めた数値または2.5以上の数値を検知した場合に、その前後10秒以上が記録できるように求められています。

 

何時間記録できればいいか

法令の基準では、連続して24時間以上記録することが求められています。

☑どこに記録する?
大容量のHDD(ハードディスク)やSSD(ソリッドステートドライブ)を車内に装備する高価なタイプもあります。
しかし、基本的にはSDカードに記録する場合がほとんどです。

☑何時間記録しなければならない?
法令で求められているのは24時間以上の記録容量です。

☑具体的にはどの程度の容量が必要?
映像は大きなデータになります。
上でご説明したように、映像は連続した画像の塊(かたまり)ですから、どんなに綺麗で大きな写真もかなわないくらいのデータ量になります。
例えば、フレームレートが法令で定められた最低値の10fpsとしても、24時間を記録するためには
10(1秒間に10フレーム)×3,600秒×24時間=864,000枚
の写真を並べる必要があるわけです。

 
このデータ量をまともに記録していたのでは、あっという間に記録媒体がパンクしてしまいますので、実際にはいろいろな手段を用いて映像を圧縮して保存します。
ある大手メーカーの圧縮率でデータ量を換算すると、おおむね以下のような結果になります。

前方カメラ640×480の解像度でフレームレート10fps、記録するSDカードが8GBの場合、常時録画できる時間は6時間です。
つまり、このドラレコの場合は24時間常時録画をするためには32GBのSDカードが1枚必要になります。

 

初任者教育には何枚のSDカードが必要か?

先ほど計算した数値は、車両前方のデータのみの記録です。
運転席側のデータも記録する必要がありますし、解像度ももう少し高いものが主流ですので、実際に8GBのデータ容量で記録できる時間は4時間程度が限度です。
※現在のドラレコは高機能になっているので、もっと短い時間しか録画できないケースが多い。

初任運転者の教育には20時間の実地訓練が求められています。
そして、その訓練の様子はドライブレコーダーの記録として、すべて3年間保存しなければなりません。

【関連記事】
貸切バスの初任運転者の教育について詳しく解説します。

8GBのSDカードで4時間の記録ができると考えると、20時間の実地教育を全部記録するには約40GBのデータが必要です。
新規に許可を受けたばかりの会社なら、最低でも3名の乗務員が全員初任教育を受ける必要がありますので、
40GB×3名=120GB
のデータを3年間保管する必要があります。

 

初任運転者の教育記録の保存用に、外付けハードディスクの購入をお勧めします。

1TB(テラバイト)のハードディスクはGB(ギガバイト)にする1024GBの容量があります。
これだけあれば、20名以上の実地教育のデータを保管できますし、価格的にも5,000円前後で済みます。

 

ドライブレコーダーの価格はどの程度が妥当か

貸切バスの事業者さんに向けて、ドライブレコーダーメーカーの営業が活発になっています。

私がサポートさせていただいている事業者さんで比較します。
一番安価なものを利用している事業者さんで、1セット4万円くらいのものです。
画質は実用上全く問題なく、Gセンサーなどの基準も法令を満たしています。
画像の保存は外付けHDDを2つ用意して行っており、かなりリーズナブルな設定です。

逆にドラレコを乗務員さんの教育や運転状況の把握に積極的に利用している事業者さんでは、1セット数十万を投資されているケースもあります。
使いこなせれば安全経営の大きな武器になりますが、コスト回収を考えるとかなり積極的な利用が必要です。

 

数年に一度買い替えるつもりで割り切る姿勢が大事

ドライブレコーダーの性能はどんどん上がっています。
1年前のモデルでは考えられなかった性能が同じ価格で実現されています。

業務用の高価な製品でなくとも、一般向け製品でも十分法令に対応できますので、セールスマンの言うことをあまり鵜呑みにせずに、自社の安全対策に応じた投資を考えましょう。

☑ドラレコは消耗品です。
あまり高価なものに手を出さず、数年に1度の買い替えを計画しましょう。

☑使いこなせる製品を選びましょう。
高性能な製品も使いこなせなければムダな買い物です。
最初は通常教育が行き届く環境を作ることから考えましょう。

☑パソコン本体にドラレコデータを保管するのはやめましょう。
万が一にも教育の記録がなくならないように、外付けハードディスク2枚に保存しましょう。

☑すべてを業者さん任せにしないこと
言いなりになってデータの保存までお任せにしてはいけません。
データは自分たちで責任を持って保管するようにしましょう。

  

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】
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