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貨物では認められていたIT点呼が、一般貸切でも認められるようになりました。
この措置によって、営業所の車庫にいる乗務員が、同じ営業所の運行管理者の点呼をIT機器を利用して受けることが可能になります。
IT点呼とは?
もともとは貨物で運用が始まりました。
貨物の場合、車庫と営業所の距離が長く設定(10㎞、20㎞)できます。
※旅客の場合は全国一律で2㎞以内
しかし、点呼は基本的に営業所において対面で行う必要があるため、乗務員さんが車庫の近くに住んでいても、そのメリットを生かせずにいました。
そこで、スマートフォンやパソコンといったIT技術の発達を利用し、遠く離れた車庫と営業所をつないで点呼ができるようにしたのです。
貨物の場合に限れば、車庫と営業所の通信に限らず、例えば長野の営業所と東京の営業所をつないでIT点呼を行うこともできます。
貸切バス、トラックの車庫を借りるときの注意点
IT点呼に必要な設備と費用は?
通信に必要な設備を整えることが重要です。
1.点呼を行う拠点(営業所)に必要な設備
・ライブ動画に対応したパソコン、カメラ、マイク
・乗務員がアルコールチェッカーで測定したデータを受信できるシステム
2.点呼を受ける側に必要な設備
・拠点(営業所)間での点呼であれば、1と同じ(貨物の場合)
・車庫での点呼であれば、動画通信の可能なスマートフォンやタブレットなどの端末
・測定結果をデータにして、転送できるアルコールチェッカー
これらの機器は国土交通大臣が認定したものであることが必要です。
サンコーテクノさん
東海電子さん
テレニシさん
パイアールさん
IT点呼が認められる条件は?
旅客でIT点呼が認められるためにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。
☑ IT点呼を行う営業所が『輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所』であること。
①開設されてから3年を経過している。
②過去3年間所属する旅客自動車運送事業の用に供する事業用自動車の運転者が自らの責に帰する自動車事故報告規則第2条に規定する事故を発生させていないこと。
※要するに、国土交通省への報告が必要なレベルの事故を有責で起こしていないこと。
③過去3年間自動車その他の輸送施設の使用の停止処分、事業の停止処分又は警告を受けていないこと。
IT点呼を始めるには
各運輸支局への届出が必要です。
IT点呼の開始届フォーム
IT点呼実施予定日の10日前には提出する必要があります。
最後に
注意点が1点あります。
貨物の場合は営業所間でのIT点呼が可能ですが、旅客では認められていません。
旅客で認められているのは、あくまでも以下の場合です。
①A営業所とA営業所に所属する車庫の間
②A営業所に所属する車庫と、A営業所に所属する別の車庫との間
応用できる事業者さんとして、都内の貸切バス事業者さんがあげられるかもしれません。
ハイエースコミューターを10台以上利用していて、営業所の2キロ圏内に駐車場が散在しているケースです。
いずれにせよ、点呼は安全運行の要と言える作業です。
できるだけ乗務員さんにも、点呼者にも負担の少ない方法で確実な実施を目指したいものです。