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営業所と駐車場が離れている場合、点呼はどこでやる?
駐車場が営業所に併設されている場合はいいのですが・・・
離れている場合はどうしても『駐車場で点呼』という形になりがちです。
でも・・・点呼を駐車場でやるのは辛いよ、というオハナシでした。
寒い冬、早朝の駐車場で乗務員さんの出勤を待つのは大変ですね。
夏の暑い夕暮れ、帰庫する運転手さんたちを一人一人で迎えるのもかなりの苦労です。
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乗務員の出勤⇒営業所で点呼⇒駐車場から乗務開始
こんな風にすれば、点呼の正確性も向上して、女性の運行管理者でも安全に点呼することができますね。
しかし、この方法には一つ落とし穴が・・・
日常点検はどうする??
乗務員の出勤⇒営業所で点呼⇒駐車場から乗務開始の順番だと、日常点検の確認はどうすればいいのでしょうか。
第二十四条 旅客自動車運送事業者は、乗務しようとする運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。
一 道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項 及び第二項 の規定による点検の実施又はその確認
二 酒気帯びの有無
三 疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
この規則によると、日常点検は点呼の段階ですでに終了していなければならないことになりますね。
『乗務員の出勤⇒営業所で点呼』では日常点検の順番が逆になってしまいます。
「んじゃ、点呼受けた後に駐車場で点検やって、電話で報告でいいんじゃん?」
こんな声もよく耳にしますが、これはNGです。
この場合、点呼を電話で行ったことになりますから、『やむを得ない』事情の案件になってしまいます。
『冬の早朝が寒い』ことが『やむを得ない事情』にはなりません。
この問題の解決にいい方法があります。
①まず、早朝の誰も出勤していない時間帯に、整備の知識のある人が駐車場ですべての車両の点検を行う。
②点検実施者は、整備管理者に全車の日常点検記録簿を見せて、運行の可否を問う。
③整備管理者は、運行管理者に車両ごとの運行の可否を伝達。
この方法なら、乗務員さんたちが出勤する時間には、すべての車両の運行の可否がはっきりしているので、直接営業所に出勤しての点呼が可能になりますね。
道路運送車両法には乗務員が日常点検することとは書いていません。
第四十七条の二 自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
2 次条第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。
3 自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。
もちろん、整備管理者が駐車場で自ら点検を行って、その場で運行の可否を判断してもかまいません。
追記
日常点検のすべてを他人まかせにする乗務員さんもどうでしょう?
自分、そして大切なお客さまの命を預ける大切な車両の状態を全く知らない乗務員さんって、どう?
私はこんな問題の解決に、駐車場での乗務員さんによる自己点検もお勧めしています。
記録などの残し方もアドバイスできますので、一度お問い合わせください。