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運行管理業務一元化の要件(案)について解説します

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一般貸切旅客

これまで、貨物にしても旅客にしても、業務用自動車の運送事業においては、基準となる単位が営業所で、点呼から運行指示、日報の管理など、すべての業務はそれぞれの営業所が責任をもって行うことが基本となっていました。

しかし、IT技術の進歩で、点呼もオンラインで行えるようになり、従来の営業所単位での運行管理業務にも見直しが入ることになりました。

今回は、いわゆる『運行管理業務の一元化』に必要なシステムや人員配置などの要件について解説します。

なお、この情報は、令和6年2月28日現在の通達案を基本にしています。決定事項ではありませんので、ご注意ください。

業務管理一元化とは?

複数の営業所を持つ運送事業者において、運行管理業務を集約して行う営業所と、集約される側の営業所を定め、今までバラバラで行っていた運行管理業務を、文字通り一元化しようとするものです。

想定される集約業務
✅運行前に関すること
1.乗務員台帳の作成や管理
2.乗務割の作成
3.運行指示書やそれに類するものの作成、経路の調査
4.交代運転者の配置判断と実施

✅運行中に関すること
1.異常気象等の理由に伴う指示
2.運転者の疾病、疲労、その他の理由に伴う指示
3.指示書の内容変更に伴う追加指示
4.中間点呼、業務中途点呼の実施
5.事故の記録

✅運行終了後に関すること
1.乗務記録の管理
2.運行記録計による記録の管理

✅その他の管理に関すること
1.乗務員に対する指導監督
2.乗務員の労務管理
3.乗務員の健康管理
4.適正診断の受診指導
5.休憩・仮眠施設の管理
6.アルコール検知器の常用有効保持
7.補助者に対する指導監督

運行管理業務の一元化に必要なシステムの要件

運行管理の一元化と言っても、そんなに大した話ではありません。

現在、多くの会社が利用している(であろう)クラウド型のデータ管理を運行管理に利用するだけのことです。

システムの要件
(1)情報の共有
集約する運行管理業務ごとに、必要な情報を集約営業所と被集約営業所の両方で共有できるようになっている必要があります。

・乗務員台帳 ・乗務割 ・運行指示書 ・点呼の結果 ・事故の記録 ・乗務記録 ・運行記録計による記録 ・指導監督の記録 ・労務管理 ・乗務員の健康に関する記録 ・適正診断に関する記録など

(2)車両の位置把握
集約業務を行う対象車両について、いつでも車両の位置が確認できる装置が必要です。

(3)運転者との連絡手段
いつでも運転者と連絡が取れる機器を備える必要があります。
※双方向連絡であれば、電子メール、SNS、メッセンジャーアプリなども認められる可能性があるようです。

(4)個人情報の保護
個人情報の共有については、事業者ごとに定めた者以外が閲覧できないような工夫が必要です。

(5)システム故障の際の対応
システムに不具合があった場合は、その内容を発生時間などと共に電磁的に記録する必要があります。

運行管理者の数・・・これが問題

運行管理業務の一元化は、とても良い試みですが、一点だけ、かなり厳しい要件があります。
それが、運行管理者の選任数です。

必要な運行管理者の(選任)数
✅集約営業所

運行管理業務を集約する営業所では、集約する営業所が管理する車両に加えて、この営業所に集約される被集約営業所の管理する(事業用)車両の総数を足し合わせた数に必要な人数となります。

✅被集約営業所

こちらは、今まで通りのルールで構いません。

営業所がA、B、C、Dと4ヶ所あり、Aが集約営業所とします。(貸切の場合です)
事業用自動車の数 A:30台 B:30台 C:20台 D:20台

□今までなら・・・
A:2名 B:2名 C:2名 D:2名 合計8名

□集約すると・・・
A:6名(全部で100台なので) B:2名 C:2名 D:2名 合計12名

素朴な疑問について

運行管理上のミスがあった場合の責任は?

A:基本は車両と運転者が所属する営業所の責任となります。
例えば、教育などの管理は集約営業所が行っていたとしても、教育の実施漏れなどの責任を負うのは所属営業所ということになります。

この点、通達案にも、『運行管理業務の責任は、(例え)被集約営業所であっても、所属の運行管理者に帰属し、また、非常時には被集約営業所で運行管理業務を行うように求める』と明記されています。

被集約営業所の運行管理者は減らしてもいい?

A:そんなわけがないです。
この点については、これまでどおりです。

事故のときは、集約営業所が対応する?

A:車両や運転者が所属する営業所の運行管理者が対応します。
しかし、集約営業所も協力して対応にあたります。