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【送迎バス】本当に使えるのは年間契約?特定旅客?

2023年06月25日11時56分

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。


 
企業送迎や学校送迎の主役となるのが、送迎バスです。
この送迎バスには、一般貸切旅客自動車運送事業の年間契約を利用したものと、特定旅客自動車運送事業の許可を利用したものがあります。
 
今回は、貸切バスの年間契約と、特定旅客、それぞれの長所、短所をお話ししていきます。

年間契約とは?

このサイトで、頻繁に記事を読んでいただいている方は、よくご存じでしょうが、一般貸切の年間契約についてご説明しておきます。

年間契約とは?

簡単に申し上げますと、バスの年間を通じた借り上げ契約のことです。
 
『年間365日のうち、280日はうちの送迎で利用するから、少しまけてよ。』
 
こんな感じを想像してもらうとわかりやすいでしょう。
バス会社とお客様の両方が少しずつ得をする契約

年間契約を締結すると、契約の当事者である、バス会社とお客様の両方が少しずつ得をするようなルールになっています。
 
★バス会社のメリット
 
✅年間を通じて確実な収入が見込めます。
 ⇒前年度の稼働率より低い日数での契約はできません。
 
✅契約日以外は別の仕事ができます
 ⇒後ほどお話ししますが、特定旅客との大きな違いはここです。
 
★お客様のメリット
 
✅約3割引きで利用することができます。
 ⇒同じ料金で、1.4倍の日数まで走っていいことになっています。
  ※200日の料金で280日分走れる

特定旅客とは?

一般貸切は、一般旅客運送事業の中に含まれています。
対して、特定旅客は、一般旅客運送事業とは別にカテゴライズされた事業です。

特定の需要者を特定の車両で

特定旅客では、利用されるお客様と、使用する車両を特定する必要があります。
 
また、特定旅客の場合は、お客様(※運送需要者と言います)との単独契約が求められており、旅行会社などが介入する余地がありません。
特定旅客の審査基準

(1)運送需要者
① 運送需要者が原則として単数の者に特定されていること。
ただし、実質的に単数と認められる場合はこの限りではない。
② 需要者が運送契約の締結及び運送の指示を直接行い、第三者を介入させない等自らの運送需要を満たすための契約であると認められること。

単体で利用するならメリット大

★バス会社のメリット
 
①1台からでも事業を始めることができます。
 
②料金の設定が比較的自由です。
 
★お客様のメリット
 
①比較的安運賃で依頼することができる。
 ⇒仕事を取りたいバス会社にとってのメリットでもありますが、諸刃の剣でもあります。
 
②少ない期間でも交渉次第で運行してもらえる。
 ⇒年間契約のように運行日数の縛りがないので、少ない日数でも運行を依頼できる可能性があります。

具体的なケースごとに考えるそれぞれの長所と短所

年間契約(一般貸切)と特定旅客の特徴について説明してきました。
ここからは、より具体的なケースにおけるそれぞれの長所と短所について考えてみたいと思います。

複数のお客様を1台のバスで送迎したい

【状況説明】
比較的近い場所に、A会社の工場と、B会社の倉庫があるようなケースです。
 
A会社とB会社で相談をして、1台のバスで最寄り駅からの送迎を依頼したいと考えた場合、特定と貸切、どちらが適しているのでしょうか?
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【アドバイス】
この場合は、一般貸切の年間契約でしか運行できません。
なおかつ、この運行のためには、旅行会社の関与が欠かせません。
 
一般貸切の場合でも、1台のバスの契約は単体であることが求められていますので、A会社とB会社の両方と1個の契約を結ぶことはできないからです。
 
今回のようなケースでは、まず、A会社とB会社が旅行会社と契約をし、旅行会社とバス会社が一個の契約を結ぶことが必要になります。
 
ただし、例外があり、A会社の工場と、B会社の倉庫が同じ工業団地にあるなど、実質的に単数とみなされる場合には、特定旅客でも許可が下りる可能性があります。
利用者から個別に運賃を徴収したい

【状況説明】
自家用ナンバーのバスで利用者を送迎していた温泉施設が、今後は事業用バスでの送迎に切り替えることを計画しました。
今までは、白ナンバーだったので無料送迎していましたが、今後は費用の一部をバス利用者に負担してもらいたい、と考えています。
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【アドバイス】
大前提として、特定旅客では、利用者(※取扱客と言います。)から料金を徴収することは想定されてません。
 
(2)取扱客
① 一定の範囲に限定されていること。

② 需要者の事業目的を達成するために需要者に従属する者を送迎する場合、需要者が自己の施設を利用させることを事業目的として客を送迎する場合等需要者の負担で輸送することに十分合理性が認められる取扱旅客であること。
 
この場合は、一般貸切の年間契約を利用することになります。
 
但し、バスの車内で料金を徴収すると『乗合みなし』行為となる危険性があるので、入浴券と一緒に販売するなどの工夫が必要になります。
※利益を出すことも問題があるので、細かいところでデリケートな取り扱いが必要になります。

まとめ

一般貸切の年間契約と特定旅客を利用した送迎バス。
それぞれに長所と短所のあることがわかりました。

それぞれの特徴を生かした選択を

★一般貸切の年間契約
様々な契約条件に対応することができます。
公示運賃の縛りが厳しいですが、実質的に3割引きとなる年間契約であれば、お得感のある契約ができるでしょう。
 
車両もカテゴリー(大型・中型・小型)が同じであれば、特に固定する必要もないので、双方が自由に運行に適した車両を選択することができます。
 
また、旅行会社などが間に入ることもでき、運行経路についてもクリームスキミングの心配がありません。
 
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★特定旅客の送迎バス
日数の制限がなく、また運賃についても自由度が高いので、1社ごとの単独契約が前提であれば、とても使いやすいのが特定旅客です。
 
単独契約しか許されず、利用者の費用負担も認められないので、商用目的の利用には不便がありますが、純粋に送迎だけを目的にするのであれば、特定旅客は使いやすいかもしれません。
 
一般旅客自動車運送事業に比較して、許可の要件も甘いので、逆に一般旅客自動車運送事業者の利益を損なうようなルート設定などは許されていません。
 
(4)公衆の利便
申請に係る事業の経営により、 当該路線又は営業区域に関連する他の旅客自動車運送事業者による一般旅客自動車運送事業の経営及び事業計画の維持が困難となるため、公衆の利便が著しく阻害されることとなるおそれがないこと。
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