先日、道路運送法における許可や登録を要しない運送について記事を書いたところ、数件のお問い合わせがあったので、その内容について追記しておきます。
念のためですが、道路運送法における許可や登録がいらない=白ナンバーで走れる、という意味です。
スキー教室のために最寄りの駅からスキー場まで無料送迎
よくあるケースですね。
このケースで道路運送業の許可が不要なのは、なんとなく感覚でわかるのではないでしょうか?
- 理屈で説明しておきます
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★『主』となるのはスキー教室
スキー教室の場合、スキーを教えることがビジネスの主体です。
生徒さんも、スキー場に行くことではなく、スキーを教わることにお金を支払います。
ココがまず最初のポイントです。★スキー場への輸送は『従』となる
スキー教室を開催するためには、雪のある場所に行かなければなりません。
何もスキー場でなくても構いませんが、オンラインでできる話ではありません。しかし、スキー場への送迎は、スキー教室開催のための、あくまでも『従』の扱いです。
この『主』と『従』が密接な関係(互いに不可欠)にあることが大切で、その結果、『従』であるスキー場への送迎には許可や登録が不要となるわけです。
学生向け車内広告満載のバスに学生さんを乗せたら?
ご質問のあった件です。
【学生さんに向けた広告を車内に貼り付けたバスで、学生さんを最寄り駅から大学まで無料送迎する】のは、道路運送法における許可や登録を要しない運送にあたるかどうか、というご質問です。
- 理屈で考えてみましょう
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★『主』となるのは車内広告
このビジネスで入ってくるお金は、広告代理店からのものです。
学生さんしか乗らないバスに、学生さんしか興味のない広告を特化して出すことで、高い宣伝効果を狙っています。運送が目的ではない点で、まず最初のポイントはクリアしています。
★大学や駅への送迎は『従』となる・・・か?
ココが問題です。
学生さんに特化した広告を出して、学生さんに見てもらうために、大学~最寄り駅間の送迎はマストでしょうか?
バスに広告を吊るして、学生さんをバスに乗車させるのは構いませんが、動く必要があるでしょうか?
広告主は第三者と考えられるのか?
今回の問い合わせの内容が、前に挙げたスキー教室と大きく違うのは、バスを運行する会社が、バスを運行することで対価を得ている点です。
スキー教室は、スキーを教えることで対価を得ているので、バスの運行は営業行為ではない、と考えられるのです。
今回、問い合わせをしてくれた方は、以下の、国土交通省から出ている【道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン】に書かれた、前半部分の文言に期待しているわけですが、どうでしょうか。
運送を行うものが、『利用者以外の第三者ら対価を受け取る場合』は、原則として『運送サービスの提供に対する対価』とは考えないので、運送業の許可や登録は不要である。
今回の広告主は、利用者以外の第三者にあたります。
しかし、このガイドラインには、後半があります。
この広告主は、利用者(大学生)に代わって、バスを運行する会社に運送の対価(運賃)を支払っています。
つまり、この点でも、この送迎バスの運行をするものには、許可や登録が必要ということになります。
因みに、許可や登録が不要な第三者からの給付とは、市民祭りなどのイベント会場への送迎費用を、大会事務局への寄付金や協賛金などで賄うような場合をいいます。