歩行者が信号のない横断歩道で待っている。
その横をビュンビュン車が通り過ぎていく・・・
小学生や老人がいつまで経っても横断することができない。
信号のない横断歩道に人がいる場合は一時停止が原則
まず道路交通法上のルールをおさらいしておきます。
①横断歩道上に横断者がいる場合、車両は一時停止して横断者を保護。
②上記のみならず、横断する姿勢の歩行者がいる場合も、車両を一時停止する。
③たとえ横断者がいなくても、横断歩道のある場所では注意を払う義務がある。
③横断歩道ではない場所で歩行者が横断待ちをしている場合に保護する義務はない。
横断歩道の存在意義から考えても、上記の内容は妥当なものだと言えます。
しかし、実際にはこのルールはほとんど守られておらず、私も含め約9割のドライバーが違反状態だそうです。
止まるの?止まらないの??
一時期マスコミがこの問題を大きく取り上げ、その後も継続的なキャンペーンを行っている影響で、最近少しずつですが信号のない横断歩道で一時停止する車も増えてきました。
しかし・・・
新しいルール(実際には古いのだが)というのは、普及していく過程が一番危険。
なぜなら、ルールに敏感な人々と、ルールに抗う人々との正反対の行動が事故を誘発する可能性があるからです。
悩んでいるのは歩行者だけではない・・・
この状態に困っているのは歩行者であり、またドライバーでもあります。
そしてルールに関する教育は、ドライバーだけではなく、歩行者の側にも必要です。
なぜなら、横断歩道に関するルールを守る側のドライバーには、以下の苦悩があるからです。
【ドライバーの苦悩】
①一方通行ではない場合、反対車線の状況を無視して自分の判断だけで停止していいのか?
『反対車線の流れが速い場合、かえって事故を誘発するのでは?』
②自分の車の後ろにまったく車両が見えない場合でも譲った方がいいのか?
『頑固そうな老人から、いいから先に行け!的な指図をされたことがある』
③後ろの車両に追突されたらどうしよう・・・
『反対車線は止まっているが、後ろのトラックの車間が狭い』
ルールが浸透するまで事故が増えるぞ!
残念ながら、ドライバー側の苦悩は歩行者に伝わっていません。
交通弱者である老人や子供にはドライバーの気持ちを察することがむずかしく、子供に至っては察する能力がないでしょう。
仮想通貨に例えるのが正しいかどうか迷うところですが、新しいシステムが浸透する過程は事故やエラーが起きやすいのです。
システム浸透段階での事故やエラーは運用側と利用側の双方に責任があるので、その被害から身を守るには自衛以外の手段はないと考えましょう。
ドライバーは自衛手段を取ろう!
自分が加害者にならないために、ドライバーは信号のない横断歩道周辺でブレーキに足をかける訓練を積みましょう。
円滑な交通の妨げになりますから、ブレーキを踏む(ランプを点灯させる)必要はありませんが、ペダルにそっと足を乗せるトレーニングは自衛の手段として有効です。
自分が信号のない横断歩道で停止した場合は、反対車線の状況を横断者にクラクションなどで教える工夫も日頃から考えておきましょう。
歩行者側は慌てることなく、停止した車両の反対車線の停止も確認してから横断しましょう。
歩行者にその義務はありませんが、停止したドライバーに小さく一礼があれば、お互いに気持ちがいいのでは?と思います。
※この辺りのマナーは、高齢者より小学生の方がしっかりしています(笑)
JAFさんのビデオを教育資料に利用しよう!
JAFが制作したこのビデオがよくできています。
ご覧になって、乗務員教育などに利用されることをお勧めします。
▶【Omoiyalty Drive】信号機のない横断歩道での一時停止
※特に小学生が横断しようとしたところに軽トラが突っ込む映像はゾッとします。
こういう映像を見ると、簡単に譲っていいものかどうか迷いますね。