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実務全般について

5月24日に名神高速自動車道で発生した死亡事故を受けて、国土交通省より新たな注意勧告が発表されました。

わき見が原因?

今回の事故の原因はドライバーのわき見運転の可能性が指摘されています。
新聞によると30メートル手前からブレーキ痕があり、衝突回避のためにハンドル操作を行ったが間に合わなかったようです。
 

警視庁のデータによると、時速80㎞からの制動距離は約35メートルです。
急ブレーキ操作で30メートル以上のブレーキ痕が残り、その後に衝突しているということは、事故車両は80㎞~100㎞超の速度からの急制動になった可能性があります。
※制動距離は空走距離を含みません。つまり、今回の事故の容疑者が渋滞に気づいたのはもう少し手前だということです。

 

なぜわき見になったのか

『前をよく見ていなかった』
重大な事故を起こした当事者からよく聞かれる供述です。
居眠り運転でもないのに、『前をよく見ていなかった』という現象はなぜおこるのでしょうか?

私たちは車を運転するとき、様々な場所に注意を配分して走行しています。
車を運転するという行為において、注意を一点に集中するのは大変危険です。
前方以外にも、様々な場所に注意を払わなければ、私たちは安全に車を走らせることができないのです。
 
自分の体よりもはるかに大きな車両を、自分が歩くよりもはるかに速いスピードで操作するには、人間の持つ感覚能力をフルに活用する必要があります。
寝不足や疾病によってわずかでも体調に問題があれば、自分は普段どおりの注意をしているつもりでも、大きな問題を見落とす可能性は急激に高まります。

 

国土交通省の勧告

今回の事故を受けて、国土交通省から注意喚起の勧告が発表されています。
ホームページに発表されている内容をそのまま記載します。

1.運転者が過労運転とならないように、「旅客自動車運送事業運輸規則第21条第1項の規定に基づき、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(平成13年12月3日国土交通省告示第1675号)その他の関係法令に基づいて作成した乗務割に従って運転者を事業用自動車に乗務させるとともに、運転者の健康状態、疲労状態等の確実な把握に努め、安全な運転をすることができないおそれのある運転者を乗務させないこと。
 
つまり『改善基準告示』に書かれている内容を厳守するように求められています。
 
2.運転者に対する指導、点呼等において、
①運行に際して注意を要する箇所を伝えた上で、運行している道路の状況に対する注意を徹底すること。
②道路の状況を踏まえた安全速度での運転等の道路交通法等の法令遵守を徹底すること。
③運転中に疲労や眠気を感じたときは運転を中止し、休憩するか、又は睡眠をとることを徹底すること。また、疲労や眠気により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、申し出るよう徹底すること。

 
③はむずかしいですね。
実質的にこの対応は無理だと思います。

 

これらの内容は、ある意味とてもあたり前のものです。
つまり、車という乗り物を運転して事故を起こさないためには、このようなあたり前のことをあたり前にすることが大事だと言えます。
※むずかしい事ですが。
 

指示書・勤務割・健康教育

上記の勧告を見ていると、今後厳しくチェックされる項目が浮かび上がってきます。
どれも安全運行に必要なものです。

①運行指示書
最近、特に厳しく指摘を受けることが多くなってきました。
今回の勧告でも、運行指示書に関する内容があります。
『①運行に際して注意を要する箇所を伝えた上で、運行している道路の状況に対する注意を徹底すること。』
 
②勤務割表
絶対に必要な記録ではありません。
しかし、これがなくてどうやって乗務員の拘束時間や休息期間の管理をやっているの?という書類です。
 
③健康問題に関する知識教育
ドライバーの高齢化によって、健康問題に関する知識教育の重要性がますます高まっています。
私の記事でも毎度書かせていただいているように、乗務員は一旦車庫を出たら『基本的にすべてのリスクを一人で』背負わなければなりません。
つまり、自分の健康問題に起因する事故など絶対に起こしてはならないのです。
 
健康を守るには日ごろの生活習慣がとても大切ですが、まず第一に知識がなくては『健康に暮らすための習慣』すら見つかりません。

 
自分の会社が加害者にならないように、すべての事業者が自覚を持つことで、バスやトラックなどの事業用自動車に対する信頼が高まります。
みんなで安全な交通社会を作っていきましょう。

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】