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貸切バス 運送引受書に手数料(マージン)の記載が義務付けられます。

2019年7月21日08時47分

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

2019年8月から運送引受書の記載内容が少し変わります。
どこが変わるかというと手数料の額や大きさを明記するようになります。

手数料とは?

手数料というのは、旅行代理店に代表される斡旋(あっせん)先に対して支払われる、感謝金のことです。
アパートやマンション、駐車場を借りたときに、不動産仲介業者へ支払う手数料とまったく同じ種類のものです。

損益計算書の売上勘定項目の中で、売上から控除される内容で紛らわしいものが3つあります。
 
【値引き(ねびき)】
商品やサービスの質に問題がある場合に、代金を少なくすることを言います。
 
【割引(わりびき)】
月末に支払う約束だったのに、10日も早く代金を入金してくれた場合などに、その10日分の利息を戻すような形で代金を少なくすることを言います。
 
【割戻(わりもどし)】
商品やサービスを多く購入、利用してもらった謝礼として、代金を少なくすることです。
マージンやリベートと呼ばれます。

 

せっかく行政が助けてくれたのに・・・

今回、新たに記載することが求められているの手数料に関係するのは、【割り戻し】の部分です。
運送引受書に手数料の額や大きさを明記させることで、法外な手数料を規制するのが目的です。

軽井沢のスキーバス事故において指摘された大きな問題点に、バス会社の収益性があります。
▶利益を度外視した運賃での運行によって、必要な安全に関する投資がなされていない。
バスを新しくするにも、従業員を教育するにもお金がかかります。
しかし、運賃のダンピング合戦によって、安全に必要な投資ができない状態になっている、と考えられたのです。
 
この問題の抜本的な解決として、適正な運賃・料金の設定が必要とされました。
そのために決められたのが、いわゆる公示運賃の上限と下限です。
本来であれば、運賃は自社の原価計算に基づいて決めるべきものですが、それができない事業者は各地方運輸局が定める審査を必要としない運賃・料金の額の範囲で営業するように求められています。

 

法外な手数料は『運賃・料金の割り戻し』

少なくとも下限運賃で営業してくれれば、安全に対する投資に必要な利益が得られるはずでした。
しかし、ここにきてインバウンド対応の事業者を中心に20%からひどいものなら50%などという法外な手数料の存在が明らかになってきました。

いわゆる下限割れには二種類あります。
ひとつは、明らかに運賃・料金の運用ルールに違反した運用によるもので、これは道路運送法第9条の2台1項『運賃料金変更事前届出違反』にあたります。
そして、運賃・料金は適正に収受しているが、その後明らかに法外な手数料を支払っているケースは道路運送法第10条『運賃又は料金の割り戻し』の禁止にあたると考えられます。

 

今後の運用方法を詳しく

これまでは、運送引受書と手数料の額や率がわかる書類を一緒に保管しておけば足りました。
今回は、運送引受書の運賃・料金欄に別枠を設け、明確に手数料の額を記載するように求められています。

手数料には、毎回金額が決まっているモノもあれば、年間で料率が決められているもの、また成果報酬型なども存在します。
 
【額が決まっているもの】
引受書にその額を記載しなければなりません。
運賃・料金の10%と決まっているのであれば、その率ではなく金額を明記します。
額については、消費税を含んだ額とします。
 
【月や年で決まった手数料の場合】
毎回の運賃・料金で手数料額が決まるのではなく、月や年の単位で手数料が決まる場合は、(月払・年払)の欄にチェックをして、次ぎのように記載します。
①引受書の裏面に月払い、ないしは年払いである旨とその額を記載
②契約書を添付
いずれの方法でもかまいません。
注:月払いや年払い手数料の契約内容が、『運賃の●●%』などと決まっている場合は、容易に手数料額が計算できるので、この場合は上記の【額が決まっているもの】として、引受書に手数料額を明記すべきです。
 
【成果報酬型の場合】
運送収入の累積額や、配車回数によって手数料率が変化するものを『成果報酬型』と呼びます。
この場合は、個々の引受書にその額を記載することができませんので、『月払・年払』と同じ処理をすることになります。
 
【年間契約の場合
年間契約の場合は、1個1個の運行に対する対価ではなく、文字通りの年間運賃となっていますので、『月払・年払』と同様の処理をすることになります。
その際、引受書の手数料額の記載欄に、運賃・料金欄と同じく『年間契約による』と記載しておきましょう。

 

勘定科目を変えてもダメ

実質的には手数料なのに、『会議費』や『交際費』、『賃借料』などの勘定科目で処理されるケースに対しても、その額を明記するように求められています。

旅行代理店などのエージェントに運賃・料金以外で支払う金銭は、基本的に手数料とみなされると考えて間違いありません。
なぜなら、手数料以外の支払い理由がないからです。
 
では、学校からの申し込みでバスを出した場合に、生徒たちのためにジュースの差し入れをした場合はどうでしょうか?
私の意見ですが、この場合も引受書の裏面に『ジュースのサービス40本、●千円』などと入れておくべきだと思います。
※この場合は、『その他経費』のところにチェックをいれておきます。

 

残存者利益が得られる経営を!

来年の東京オリンピックが終われば、程度の差はあっても必ず景気は悪くなります。
今、30パーセント、50パーセントの手数料を支払って確保している仕事も、そのほとんどがなくなります。
そして、その厳しい状況で生き残っていく事業者は、適正な利益を得ている事業者だけです。
なぜなら、適正な利益を得ていなければ必要な投資もできませんし、体力(繰り越し利益)もありません。

目先の利益や稼働率に惑わされずに、適正な利益が得られるようにしてください。
バス事業者みんなが、法外な手数料の仕事をボイコットすれば、手数料は自然に10%から20%程度に収まっていくはずです。
少なくとも3年先の未来を見据えた経営判断をお願いします。

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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