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トラックやバスでいろいろな記録の保存について考えてみる

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実務全般について

書類はどんどんたまっていくばかり

バスやトラックの運行管理を担当されている方の悩みのひとつが、記録(書類)の保存です。

記録には保存期間という決まりがある
 
運行管理には、いろいろな記録がつきものですが、その保管期間には一定の法則があります。
 
【一般的な運行管理に関するもの】1年
点呼簿・運行日報・日常点検簿など
 
【運転手の管理に関するもの】3年
教育記録簿・適性診断・履歴書・乗務員台帳など
 
【運転手の健康管理に関するもの】5年
健康診断結果・記録簿など

 

記録は紙でしか保管できない?

点呼簿にしても、指示書にしても、多くの会社さんでは、紙を利用して記録されていると思います。

記録は紙でないとダメ?
 
そんなことはありません。
現在は、いろいろな記録類が、電磁的記録によるもので認められています。
 
ん??電磁的記録って?

 

電磁的記録とは?

いちいち日本語に直すとメンドくさいのですが、この電磁的記録って、要するにデータのことです。

刑法ではこんな表現がされている
 
刑法 第七条の二 
この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

 
『人の知覚によっては認識できない方式で作られる記録』という点がわかりやすいですね。
紙なら、目で見て内容を理解できますが、データの場合、ハードディスクに額をあてても、内容は理解できません。

 

電磁的記録でも良い(と言われている)もの

では、事業用自動車の運行管理に必要な書類で、電磁的でも良いとされているものの中には、どんな種類があるのでしょうか?

電磁的記録での保管が法令等で認められているもの
 
①運送引受書(申込書)
②点呼簿
③乗務記録(日報)
④運行記録計(デジタル式)
⑤運行指示書
⑥運転者台帳

 
運行管理に必要な書類には、他にもいろいろありますが、とりあえず法令等で認められていることがわかったのは、上記だけでした。
 

根拠法令
★運行記録計による記録等の電磁的方法による記録・保存の取扱いについて」(平成10年3月31日付け自環第72号)
 
★旅客運送事業運輸規則の解釈と運用

 

電磁的記録の保管場所は?

電磁的記録媒体と紙媒体では、保管する場所の概念も全く変わってきます。

『営業所で保管する』という感覚がない
 
当社のような小さな会社でも、記録データ、分析データなどは、すべて電磁的記録として、クラウドストレージに保存しています。
電磁的記録媒体が紙媒体と大きく違うところは、データならば、距離的な概念をほとんど無視して、情報にアクセスできるという点です。
 
つまり、上記の点呼簿や乗務日報、指示書についても、会社にデータサーバーやクラウドストレージがあるならそこに保存し、必要なときに個々の端末からアクセスすればいいことになります。

 

遠隔点呼の場合は?

電磁的記録の保存と密接な関係にあるのが、遠隔点呼で利用する記録です。

遠隔点呼の場合、管理者不在の営業所も存在し得る
 
遠隔点呼の場合、点呼そのものは、別の(基幹的役割の)営業所で行います。
当然ですが、点呼の記録は電磁的なものになるので、点呼を受ける側の営業所では、必要に応じて端末を通じ記録にアクセスすることになります。
 
遠隔点呼が行われる営業所は、運行管理者が常駐しない営業所になる可能性があります。
※この場合の『常駐しない』は、運行中、ずっと机の前にいるわけではないという意味
 
その場合は、電磁的記録での管理が認められている記録類については、すべてデータサーバーやクラウドストレージに保存して利用することになるでしょう。

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】