お問い合わせがありました
先日、あるバス事業者さんから問い合わせを受けました。
『貴社の記事で、初任運転者教育の実技訓練のドラレコ映像は20時間分保管と書いてありますが、その根拠はどこですか?』
このような仕事をしていますと、いろいろ調べてみても分からなくて困ってしまった事業者さんからこのような形で質問をいただくことが多々あります。
旅客自動車運送事業と関わる場合によく参照する法令が、旅客自動車運送事業運輸規則です。
この規則は、旅客事業者が守らなければならない制度上のルールが事細かに記されていて、この規則を読めばほとんどのことはわかるようになっています。
例えば、『運行管理者が何をすべきなのか』、を知ろうと読み進めていくと48条に細かく規定されています。
私は制度上のルールについて悩んだら、必ずこの運輸規則に立ちかえるようにしています。
この規則は、旅客事業者が守らなければならない制度上のルールが事細かに記されていて、この規則を読めばほとんどのことはわかるようになっています。
例えば、『運行管理者が何をすべきなのか』、を知ろうと読み進めていくと48条に細かく規定されています。
私は制度上のルールについて悩んだら、必ずこの運輸規則に立ちかえるようにしています。
運輸規則も万能ではない?
このように大変便利で、大筋ですべての制度上のルールを網羅している運輸規則ですが、実際の業務における運用にあてはめてみると、少し理解しにくい部分も出てきます。
例として、第21条過労防止等でご説明します。
第21条過労防止の項目にはこんな規定が登場します。
第21条第3項です。
旅客自動車運送事業者は、乗務員に第一項の告示で定める基準による一日の勤務時間中に当該乗務員の属する営業所で勤務を終了することができない運行を指示する場合は、当該乗務員が有効に利用することができるように、勤務を終了する場所の付近の適切な場所に睡眠に必要な施設を整備し、又は確保し、並びにこれらの施設を適切に管理し、及び保守しなければならない。
少し理解するのがむずかしい文言です。
この規定で想定しているのは、営業所で勤務が終了できない、つまり泊り運行のことです。
そして、この場合の『睡眠に必要な施設』とは、多くの場合、自社で管理していないホテルや旅館などのことになります。
第21条第3項です。
旅客自動車運送事業者は、乗務員に第一項の告示で定める基準による一日の勤務時間中に当該乗務員の属する営業所で勤務を終了することができない運行を指示する場合は、当該乗務員が有効に利用することができるように、勤務を終了する場所の付近の適切な場所に睡眠に必要な施設を整備し、又は確保し、並びにこれらの施設を適切に管理し、及び保守しなければならない。
少し理解するのがむずかしい文言です。
この規定で想定しているのは、営業所で勤務が終了できない、つまり泊り運行のことです。
そして、この場合の『睡眠に必要な施設』とは、多くの場合、自社で管理していないホテルや旅館などのことになります。
さらに細かい解釈運用書がある
自分の持ち物ではないホテルや旅館を『確保』?
これらの施設を『適切に管理』?
ホテルや旅館は他人の財産で、宿泊する場合には対価を支払って一時的に使用が許されるだけです。
管理権限のない中で、この文言をどのように理解すればいいのでしょうか?
実は、旅客自動車運送事業運輸規則には、この規則をさらに詳しく細かく解説した文書が存在します。
その文書を、『旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について』と言います。
この文書の当該21条3項の部分を読むとこのように書かれています。
「確保」とは、ホテルを予約するなど一時的な使用権原を有することをいう。
睡眠に必要な施設を確保した場合における管理及び保守義務については、ホテルを予約するなど管理及び保守する者が別に存在する施設を確保した場合は管理及び保守したものとみなす。
その文書を、『旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について』と言います。
この文書の当該21条3項の部分を読むとこのように書かれています。
「確保」とは、ホテルを予約するなど一時的な使用権原を有することをいう。
睡眠に必要な施設を確保した場合における管理及び保守義務については、ホテルを予約するなど管理及び保守する者が別に存在する施設を確保した場合は管理及び保守したものとみなす。
遠慮なくご質問ください
実は、初任運転者や事故惹起者に行う特別な教育に関する細かな内容も、この『解釈及び運用』に書かれています。
その中で、特別な教育で記録したドラレコ映像は20時間必要であることにも触れられています。
乗務員教育の内容について定めた指針である『指導監督指針』の『第二章2(1)⑦及び(2)⑦の規定に基づく安全運転の実技に関する指導』の補足として、以下の文言が記載されています。
安全運転の実技における訓練用自動車のドライブレコーダーの記録並びに運行記録計で記録した瞬間速度、運行距離及び運行時間の記録を3年間保存させること。ただし、一運転者に対して安全運転の実技に係る指導を20時間以上実施した場合にあっては、保存する記録は20時間分で足りる。
安全運転の実技における訓練用自動車のドライブレコーダーの記録並びに運行記録計で記録した瞬間速度、運行距離及び運行時間の記録を3年間保存させること。ただし、一運転者に対して安全運転の実技に係る指導を20時間以上実施した場合にあっては、保存する記録は20時間分で足りる。
私たち行政書士は、法令を理解することで仕事をしています。
ですから、一般の皆さんよりも少しだけ法令を読み込むことに慣れています。
もしもバスやトラックの事業でわからないことがありましたら、遠慮なくフリーダイヤルにお電話ください。
出来る限り早急にお調べして、お答えするようにいたします。
お金はいただきませんが、このように記事にして公表することをご了承下さい。
【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】