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貸切バス 手数料は何パーセントまでOK?

2019年6月30日12時38分
貸切バスの年間サポート

貸切バスの運賃には、上限と下限が定められています。
コストを無視した運賃設定で、大きな事故を起こす事業者がいたことから施行されたルールです。
しかし、今度は新たに『法外な手数料』の支払いによって、この下限ルールが形骸化している問題が明らかになってきています。

手数料はバス事業者と旅行代理店双方の問題

貸切バス事業者が手数料を支払う先のほとんどは『旅行代理店などのエージェント』です。
あたり前の話ですが、多額の手数料を支払う側が存在するということは受け取る側もいるということなのです。
つまり、多額の手数料の問題は、支払う貸切バス事業者と旅行代理店の双方の経営姿勢の問題と言えます。

旅行代理店は、自分たちがお客様をバスに乗せて走ったり、飛行機を飛ばしたりするわけではありません。
旅行プランを企画してお客様を募り、鉄道会社やバス会社、宿などに手配するのが仕事です。
では旅行代理店は、どうやって儲けを出しているのでしょうか?
 
旅行代理店の収入源は大きく2ヵ所です。
①お客様から手数料をいただく
②鉄道会社、バス会社、宿から手数料をいただく
 
本来であれば、①と②から応分な利益を得られるはずなので、②が法外になるはずがないのです。
しかし、お客様からの手数料を大きくしてしまうと、そもそもの集客がむずかしくなるので、『安易に』業者からの手数料が大きくなっているわけです。

 

手数料は販売管理費の一部

貸切バス事業者が旅行会社などのエージェントに支払う手数料は、損益計算書上は『その他経費』の中に含まれます。
営業原価に含まれずその他経費に含まれる理由は、以下のとおりです。

旅行代理店に支払われる手数料は『営業経費の一部』と考えられます。
もしも、自分たちでバスを利用してくれるお客様を直接集めようと思えば、自社で営業スタッフを雇用する必要があります。
営業スタッフを雇えば、人件費はもちろんそれ以外にも様々な経費が必要になります。
 
しかし、旅行代理店が手配してくれる仕事を待っている分には、営業スタッフを雇用する必要がありません。
自社で営業をしなくても、旅行会社代理店は仕事を持ってきてくれるからです。
旅行代理店に仕事を用意してもらった対価が『手数料』となるわけです。
このような理由で、旅行代理店に支払われる手数料は、自社の営業費が形を変えたものと考えられるので、損益計算書上のその他経費に含まれることになるのです。

 

来月から手数料の上限が決まる??

貸切バス事業者が旅行代理店に支払う手数料が高すぎることが問題になっています。
旅行代理店に支払われる手数料は、『運賃料金の何パーセント』という形で計算されるケースがほとんどです。
今後、この手数料率についても上限が決まるという話がありますが、本当でしょうか?

ウソです。
一部の巡回指導の指導員が具体的な日付なども明言して、『手数料の上限が決まる』などと事業者を脅かしていますが、まったくのでたらめです。
仮にも、許認可事業の指導をする立場であれば、もう少し勉強して欲しいところです。
 
将来、原則論を大きく曲げて規制される可能性はありますが、現在のところは完全に『ウソ』です。
理由はこの後ご説明しますが、独占禁止法と公正取引委員会が大きく関わっています。

 

8月から変わるのはこの部分だけ!
貸切バス 運送引受書に手数料(マージン)の記載が義務付けられます

 

行政指導と独禁法

軽井沢スキーバス事故の後、再発防止に向けて専門家による様々な検討が行われ、運賃料金についても上限と下限が決められるようになりました。
※正確には上限・下限に縛られることなく、自社独自の運賃料金設定をしてもかまいません。あくまでも、『この上限下限の間で商売をするのであれば、国土交通省から何も言われることはありませんよ。』ということです。
 
その中で、手数料に関する問題点2点が公正取引委員会から提示されています。

①行政が手数料の適性料率を定めて公表、指導できるか
公正取引委員会は、行政機関が手数料の料率にまで指導の枠を広げることは、『行政指導に関する独占禁止法上の考え方』に抵触する可能性がある、と示しています。
行政指導に関する独占禁止法上の考え方(公正取引委員会のHP)
※ページ中段部分 2 行政指導の諸類型と独占禁止法(2)価格に関する行政指導
 

②旅行代理店の高い手数料率は優越的地位の乱用にあたるのか
力の弱いバス事業者に高い手数料を求めるやり方は、『独占禁止法における優越的地位の乱用にあたるのかどうか』の問題です。
この点について、公正取引委員会は『個別に判断する』旨の回答をしています。

 

旅行代理店は優越的地位の乱用かも?

旅行代理店に対しあまりにも高い手数料を支払っていて、安全に対する投資が損なわれているのであれば、行政がせっかく決めてくれた下限運賃が無意味になってしまいます。
しかし、現実社会で旅行代理店と貸切バス事業者のどちらが力を持っているか、どちらが価格(手数料)決定力があるか、その力関係はここに答えを書くまでもなく明らかです。

法外に高い手数料を要求された場合、先に書いた『優越的地位の乱用』にあたる可能性があります。
旅行代理店の所轄官庁である『観光庁』にリークしにくいのであれば、公正取引委員会への直訴を視野に入れていいかもしれません。
 
手数料を払う立場である、貸切バス事業者だけが行政罰を受けていたのでは割が合いません。
その場合は旅行代理店も同時に処罰されるべきです。

 

手数料はどこから上が違反?

では、現実には『どの程度の手数料から違法』という判断がされるのでしょうか?
それについては、なかなかむずかしい問題があります。

上でもお話したとおり、手数料は『自社の販管費の一部』であると考えられます。
つまり『手数料に物申すということは、その会社の経営内容にも口を出す』ことになるのです。
販管費全体の比率、その中身については、10の会社があれば10の考え方と評価があり、一概にパーセンテージだけで比較することができないのです。

 

法外な手数料と行政処分

先ほど『手数料の料率について行政が指導してくることはない』と書きましたが、正確に言えばこれも間違っています。
一般監査や巡回指導で、『あまりも法外な手数料を指摘された場合』、法外な手数料を支払っても安全に対する投資に問題がない、という説明が必要になります。

一般監査で『手数料の料率が著しく不適切の疑いあり』と指摘された場合の対応方法については、原価計算の方法も含めて今後記事にしたいと思っています。
 
前知識として、以下の記事をお読みください。
【関連記事】
貸切バス 運賃料金の下限割れには二つの種類がある

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】
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