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貸切バスの点検・点呼料金の考え方について

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実務全般

貸切バスの運賃は、2014年から現在の制度が採用されました。
このときから始まったのが、今回お話しする『点検・点呼料金』です。
 
細かくルールが書かれた法令等もありませんので、運用の中でしか理解できない部分もあるのですが、これまでお客様と一緒に勉強し、理解してきた内容をまとめておきます。

基本的な考え方

貸切バスの運賃制度について、基本的な考え方をまとめておきます。
なお、ここでは、変更命令の審査を必要としない運賃を採用しているバス会社であることを前提とします。

運賃制度の基本的な考え方
①運賃は時間制と距離制の併用
運賃は、1時間当たりの時間制と、10キロメートル単位(※)の距離制の併用となります。
※単位は1キロだが、切り上げのため、結果としては10キロ単位
 
②回送も運賃に入る
車庫からお客様が乗車される場所まで、降車される場所から車庫まで、それぞれの距離・時間(回送)も運賃の中に入ります。
 
③最低運行時間は3時間
たとえ回送10分、実車30分であっても、3時間分の請求をしなければなりません。
 
④点検・点呼2時間を追加しなければなりません。
運行前の点検・点呼として1時間、運行後の点検・点呼として1時間を加算する必要があります。
 
基本はこれだけです。

出庫前、帰庫後には必ず点検・点呼が必要

事業用自動車は、車庫をでるとき、車庫に戻ったときには、必ず点検・点呼を受けなければなりません。
多くの人命を預かっている以上、これはあたり前のことです。
問題になるのは、このルールの運用についてです。

基本的な運用
朝8時に出庫して、お客様を観光に連れていき、夜7時に帰庫する。
11時間の時間制運賃にプラスして、2時間の点検・点呼料金をいただく。
 
これが、基本となる運用で、特に不自然なところもありません。
点検・点呼料金についてはこちら

(1) 時間制運賃
① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下「点呼点検時間」という。)として、1時間ずつ合計2時間と、走行時間(出庫から帰庫までの拘束時間をいい、回送時間を含む。以下同じ。)を合算した時間に1時間あたりの運賃額を乗じた額とする。
ただし、走行時間が3時間未満の場合は、走行時間を3時間として計算した額とする。
② 2日以上にわたる運送で宿泊を伴う場合、宿泊場所到着後及び宿泊場所出発前の1時間ずつを点呼点検時間とする。

1日に2本の仕事をするときも?

午前7時に出庫して、午前11時に帰庫の仕事があったとします。
その後、午後3時に出庫して、午後6時に戻る仕事があります。
午前と午後のお客様は別々(A社、B社)です。

出庫するなら必ず点検・点呼
この場合、A社とB社の両方から、点検・点呼の2時間をいただく必要があります。
なぜなら、車庫から出庫するときは、必ず点検と点呼が必要だからです。
 
同じ運転手と同じ車両ならいらないような気がするのですが・・・
折り返し運転での点検点呼・別の輸送機関では?
航空機
さすがに、運行ごとに点検をしています。
ただ、折り返しで飛ぶ場合に、パイロットの点呼をやっているかどうかというと・・・
 
鉄道
車両の点検は行われていないように見えます。
運転手さんは毎運行ごとに点呼を受けるようです。
 
ハイヤー
運行ごとに出庫・帰庫する運行形態は、貸切バスと同じです。
こちらは、業務開始時と業務終了時にそれぞれ1回の点検と点呼でOKです。

スクールバスのときは?

スクールバスには、特例があります。

どんな特例?
①途中で帰庫すれば、帰庫している間の時間は運賃がかかりません。
この特例を利用できるのは、スクールバスに限りません。
 
『スクールバスの運行形態と本質的に同様の運行形態であれば、それ以外の場合でも適用できる』、とあります。
つまり、企業送迎などでも利用できるということです。
 
②帰庫しても点検・点呼は午前1時間・午後1時間で大丈夫
これも利用者にとってうれしい特例です。
しかし・・・ちょっと疑問が・・・
根拠となる通達はこちら
Q17:スクールバスで午前3時間、午後3時間で日中は車庫に戻る運行は、午前5時間、午後5時間で算出するのか、それとも午前4時間、午後4時間か。
A:スクールバス運送は、学校などの児童生徒等の登下校時に運送され、かつ、登下校時の間に帰庫するという運送形態を踏まえ、1日に行われる当該運送を1つの運送として以下の計算方法により適用することができる。
<時間制運賃の計算>
① 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間(以下、「点呼点検時間」という。)として1時間ずつ合計2時間と、登校及び下校時の走行時間(登校時及び下校時の運送の出庫から帰庫までの拘束時間をいい、回送時間を含む。)を累計した時間とを合算した時間に1時間当たりの運賃額を乗じた額とする。
ただし、登校及び下校時の走行時間を累計した時間が3時間未満の場合は、走行時間を3時間とする。
② 走行時間の端数については、点呼点検時間と累計した走行時間を合算した時間に30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げること。
<キロ制運賃の計算>
① 登校及び下校時の走行距離(登校時及び下校時の運送の出庫から帰庫までの距離をいい、回送距離を含む。)を累計した距離に1キロ当たりの運賃額を乗じた額とする。
② 走行距離の端数については、累計した距離に10キロ未満は10キロに切り上げること。
<運賃額>
① 運賃は車種区分別に計算した金額の上限額及び下限額の範囲内とする。
② 運賃は営業所の所在する出発地の運賃を基礎として計算する。
<その他>
① 年間契約通達によりスクールバスの年間契約を締結する際には、本回答で示す計算方法を適用することができる。
児童生徒等の登下校時に運送され、かつ、登下校時の間に帰庫するというスクールバスの運送形態と本質的に同様の形態であれば本回答で示す計算方法を適用することができる。

上で書いた、『出庫するときは必ず点検・点呼の原則』はどうなったのでしょう?

以前にその理由を尋ねたことがあります
スクールバスのような運行形態の場合、なぜ『点検・点呼が午前1時間・午後1時間でいいのか』運輸局に尋ねたことがあります。
そのときの返答は・・・
 
車両が同じで、ドライバーさんも変わらないのであれば、1日に2回も点検・点呼する必要がないというものでした。
 
え??帰庫してから出庫するとき、点検・点呼はマストだったのでは?

【旅客】【貨物】車庫での点呼に問題はないのか?
点呼は営業所で行うのが基本 点呼は乗務前と乗務後、そして必要があれば乗務途中でも行います。 点呼は、営業所で行うのが基本です。 なぜなら、運行管理者や整備管理者が常駐しているのは営業所だからです。 意味がわからない? では、もう少し読み進め...

車庫に戻らないのであれば、点検・点呼は1時間ずつ

午前中に運行があって、そのまま車庫に戻らずに午後の運行に出かける。
いわゆるかみ合わせ運行のことです。

いわゆるかみ合わせ運行
かみ合わせ運行の場合は、仕事が終わるまで帰庫しないことが前提ですから、点検・点呼は午前1時間、午後1時間のみの実施となります。
 
点検・点呼の2時間と回送料金については、それぞれの時間数や料金などで按分するように決まっています。
かみ合わせに関する通達はこちら
Q19:仕事をかみ合わせた場合の回送の考え方。
A:仕事をかみ合わせたことにより、運送申込書/運送引受書がどのように記載されることとなったのか、その記載内容により収受すべきである。
例としてあげるならば、① (往路の)片送り運送であったものをかみ合わせたのであれば、往路の出庫回送及び点呼・点検時間(1時間)は、最初の発注者の負担とし、往路降車地点から復路乗車地点までの回送及び帰庫後点呼・点検時間(1時間)は、最後の発注者の負担とする。
② また、短距離・短時間のかみ合わせ運送の一事例として、1回の出庫から帰庫までの間の運行について、点呼・点検時間を含めた運賃額を複数の運送需要者で時間もしくは回数により按分して取り扱うことができるものとする。
この取扱いは複数の運送需要者の従業員送迎運送など運送行程が確定している場合において適用し、時間制運賃(キロ制運賃を含む)の計算にあたっては、以下に例示する計算式により計算すること。
また、運送引受書の備考欄にはこの取扱いを適用したことを計算方法等により明確に示すこと。

なんだかよくわからない、点検・点呼料金
もし、運用で迷われたら、ぜひ当社にご連絡ください。
一緒に考えさせていただきます。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】