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社会保険の強制加入でパート運転手のメリットが少なくなる?

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一般貸切旅客

パート・アルバイトドライバーは社会保険と無関係?

現在、トラックやバス、タクシーの運転手をやっていらっしゃる方で、社会保険に加入していない方、意外と多いのではないでしょうか?

その理由は多岐にわたると思われますが、代表的なところでは、こんな感じでしょうか?

社会保険に加入しない理由は?
1.保険料を払いたくない

将来もらえるかどうかわからない年金なんかのために、現在の貴重なお金を出すわけにはいかない、という考え方です。
個人事業主やフリーランスの方に多いようです。

2.そもそも加入の条件を満たしていない

社会保険は、一定の条件を満たすと、加入する義務が発生します。
逆に言うと、条件を満たさなければ、加入を強制されることはないということです。

↑の状態ことを、130万円の壁とか呼んでいます。

130万円の壁⇒106万円の壁に

上で説明した130万円の壁はそのままに、106万円の壁が新しくできました。

130万円、106万円の壁とは?
✅130万円の壁

年収が130万円に満たない配偶者等は、健康保険と国民年金に無料で加入できる制度のことです。
因みに、年収が130万円を超えると、途端に扶養家族から外れて、社会保険に加入する義務が発生するので、給与の約15パーセントくらいを徴収されることになります。

✅106万円の壁

2016年から始まった新制度で、2022年に小変更(従業員数501名以上→101名以上)があり、今に至っています。
この制度を簡単に説明すると、短時間労働者にもできるだけ社会保険に加入してもらおう作戦です。

①週20時間以上の労働
②月平均8万8,000円以上の給与
③2ヵ月以上の勤務
④学生じゃない
⑤101人以上の従業員のいる会社に勤務

これら5つの条件をすべてクリアする人は、社会保険に加入しなけれならない、とする制度です。
8万8,000円×12ヶ月=105万6,000円となることから、106万円の壁と呼ばれています

この制度が、トラック会社やバス会社にあまり大きな影響を与えなかったのは、この制度が条件⑤の101人以上の従業員がいる会社に限定されていたからです。

106万円の壁がさらに低く・・・

今年の秋(10月)に、この106万円の壁に新たな条件変更が行われます。

それは、これまで対象を101人以上の会社としてきたところを、従業員数51人以上の会社と変更するのです。
この変更により、これまではパートドライバーの社会保険について、あまり関心のなかった中小のバス会社、トラック会社、タクシー会社も、対応を迫られる可能性があります。

基準となる従業員数の数え方
101人以上、51人以上などと書かれている従業員数の条件ですが、この従業員数って、どうやってカウントするのでしょうか?

①社会保険に加入している正社員
②社会保険に加入義務があるパートさんやアルバイトさん

①と②を合計したものが、労働法で言うところの従業員数です。
覚えておきましょう。

今後も厳しい法改正が続く・・・

社会保険の加入者を増やしたい厚生労働省さんの法改正は、今後も進んでいきます。

審議されている案(どれも厳しい)
1.2026年には全事業所に拡大?

2026年10月には、上記の106万円の壁ルールが全事業所に適用される可能性があります。

2.個人事業主も社会保険に強制加入?

あまり遠くない将来、個人事業主も社会保険に強制加入させられる可能性があります。
実際、諮問委員会の議題に上がっているようです。

3.労働時間と給与の額はトータルで計算する

社会保険の加入義務の計算について、合算方式をとることも検討されているようです。

ロケバスなど、個人事業主のドライバーと業務委託契約を結んでいるような業界にとっては、厳しい法改正になりそうです。

因みに、社会保険料の滞納に対してはとても厳しいルールがあり、個人事業主が個人破産をした場合でも、滞納した保険料の部分は免責されません。