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一般貸切旅客

(旅客)2人乗務の特例と分割休息の合わせ技

改善基準告示の中に、2人乗務という特例があります。
交替運転者が同乗していれば、24時間のうち拘束時間を5時間(条件次第では4時間)にまで短縮できるという特例です。

一方、改善基準告示の中には、分割休息という特例もあります。
やむを得ない事情によって、勤務終了後に必要な休息期間が確保できないのであれば、一定の条件下で、休息期間を分割して取得してもいいですよ、という特例です。

では、この二つの特例。
合わせ技で利用することができない?というのが、今回のご質問でした。

✅2名乗務で走行するのだが、勤務終了後にまとまった5時間の休息時間が確保できない。
運行途中に3時間の待機があり、勤務終了後にも3時間の休息期間(?)はとれるので、合わせて6時間と考えることはできないだろうか?

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①朝の7時に出庫して、帰庫するのが翌日の午前4時となる。
②途中、当日の16時から19時まで待機時間がある。

確かに分割休息の特例が利用できれば・・・と考える気持ちはわかります。

しかし、これはNGです。
理由は・・・
そんな運用は想定されていないからです。

この場合は、お客様とよく相談をして、当日朝7時から翌日朝7時までの間のどこかで5時間以上の休息がとれるように計画してください。

(旅客)営業区域の考え方

運行が営業区域のルールに違反していないかどうかは、まさしくケースバイケースで検討しなければなりません。
よく、2つの運行を無理に1運行にしたり、1つの運行を2つに切り分けたりして、営業区域違反を回避しようと考える事業者さんから相談を受けることがありますが、実際には合法と考えるのが難しい(無理)と判断せざるを得ないことの方が多いです。

✅東京都のバス会社です。
A:朝6時に神奈川県川崎市にある通販大手の物流センターから山手線の品川駅に従業員をお送りします。
B:10分後、同じ品川駅で待っていた従業員さんを同じ物流センターに送り届けて終了です。
これは、東京都の営業区域で問題ないですよね?

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結論から申し上げますと、このケースは営業区域違反になる可能性が高いと思われます。

①バス会社の方は、Aの運行とBの運行は別で、どちらの運行も片足が東京に入っているので合法だ、だとおっしゃっています。
②問題は、『AとBの運行が別運行であるかどうか』です。

【A、Bが1運行とみなされる可能性が高い理由】
①送迎業務であること
発注者が同じ、乗客も同種なので、AとBを別の運行に切り分ける合理的な理由がない。

②AとBが同時に予定されていること
例えば、Aだけが予定されていて、BがAの運行後に付け加えられるものであれば、この場合は2運行と考えていいので、営業区域的にも問題がなくなります。

ただ、この問題については、各運輸局によっても、担当者によっても言い方が変わることがあるので、難しいところです。

(旅客・貨物)キャンセル料は取らないと違反になる?

運送約款というのは、運送事業者とお客様との一対多の基本契約です。

運送会社が、多くのお客様と同様の内容で契約を結ぶために、あらかじめ基本的な約束事を文章にしたものと考えてよいでしょう。

✅運送約款にキャンセル料の記載がありますが、キャンセルがあった場合は、必ずお客様に請求しなければなりませんか?

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運送約款の内容を読んでいただくとわかりやすいのですが、その内容は運送会社の利益を守るために、お客様に何をして欲しいかに関する記載が中心となっています。
つまり、運送約款の中に書かれていることについて、適切な範囲で運送会社側が譲歩することに関しては問題がないこともあるということです。

多くの運送事業者の約款が、国土交通省作成の標準運送約款であることも、この質問と関連しています。
標準運送約款というのは、『この標準運送約款を使う分には、認可申請なしであなたの会社の約款として認めますよ』という趣旨のものなので、標準運送約款と言えども、自社オリジナルの約款と扱いは変わらないわけです。

つまり、内容の解釈についても、お客様に特段の不利益がない限りは、ある程度自由な運用ができると考えてよいでしょう。