バスの事故が多い
いい加減なことは言えませんし、理由ははっきりしないのですが、このところバスの事故が多いです。
私たちが目指すべき目標は、防止できる事故の要因をできるだけ把握して、事故の発生をできるだけゼロに近づけることです。
しかし、トラックやバスを運行している会社の経営問題も取り扱う当社には、経営者と一緒に目指すべき、もう一つの目標があります。
事故が起きても会社をつぶさないようにすること
事故はいつ起きてもおかしくないと考えることが大切です。
と同時に、万が一、事故が発生してしまった後に、会社が存続できるような準備をしておくことも大切なことです。
今回、静岡県で発生した事故後のマスコミ報道を見てみましょう。
大きな事故が発生した際の常なのですが、今回も、本来の事故原因の追究とはまったく方向性を異にするような報道が増えてきています。
①当該バス会社は、コロナ禍にもかかわらず、業績を急成長させている。
②社長は、急成長を鼻にかけていた。
③社長の自宅が埼玉から都内に変わった。
コロナ禍でも、業績を好転させたバス会社はたくさんありますし、業績がいい会社の社長は、(それを表情に出すかどうかは別として)おおむね自信満々になるでしょう。
③にいたっては、まったくもってプライベートな話であり、事故とは何の関係もありません。
では、万が一の事故が発生した後、このようなマスコミの無差別攻撃から、大切な会社と残された従業員を守るためには、今から何を準備しておけばいいのでしょうか?
会社をつぶされないために注意すべき点 ①最低限の運行管理は実施する!!
本来の運行管理以外の部分で誹謗中傷を受けることは止められません。
※報道する側の矜持(プライド)や道徳(モラル)の問題なので、こちらにはなんの関係もありません。
しかし、運行管理の部分に致命的な欠陥があるような報道がされる事態だけは、絶対に避けなければなりません。
そこで、最初にお願いしたいのは、運行管理にメリハリをつけることです。
・点呼の実施 ・指示書の作成 ・健康診断の受診 ・適性診断の受診
・法定の教育 ・特別な教育 ・非常時の訓練エトセトラ・・・
私がこういうことを言ってはいけないですが・・・
①始業点呼は徹底的に実施する。
②運行ルートを理解した上で指示書を作成する。
③法定教育は集団教育で行う。
④健康診断は最後まで追いかける。
⑤3ヶ月点検は実際にやってもらう。
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点呼は事故防止の切り札
人員が足りなくて、どうしてもできないのなら、始業点呼だけでもしっかりやりましょう。
適当な指示書は絶対に作らない
指示書は『ルートを理解している人が、内容の濃いもの』を作成してください。
E-ラーニングもいいけれど・・・
当社も来期からE-ラーニング事業に進出しますが・・・
ホントのところを言うと、教育は集団教育が望ましいです。
こういう場が、情報交換として一番いい場所になるからです。
健康診断はストーカー気分で
健康診断を受けさせたなら、最後の最後まで、徹底して後を追ってください。
要再検査があったらなら、担当者が病院についていくくらいの気持ちで追いかけてください。
書類だけの3ヶ月点検は危ない
事故があったときには、ハンコを押していただけの整備工場もつぶされます。
当社のサポート先に、このような心配をしなくてはいけない会社さんはありません。
しかし、サポート先ではない会社さんで、運行管理に自信のない会社さんは、まず、上記の5点だけはしっかりやるつもりで、管理者や乗務員さんと話し合ってください。
会社をつぶされないために注意すべき点 ②できる管理者は明日の敵だと思え!!
運行管理がダメダメなのに、セーフティの★★★を取得しているような会社があります。
多くの場合、そういう会社には、とても優秀な管理者(実務者)が在籍しています。
このようなケース、経営者と管理者の関係がうまくいっているときはいいのですが・・・・
さらに、ただ優秀というだけでなく、社長とよからぬ秘密を共有していたりすると、問題はさらに複雑になってきます。
関係がうまくいっているうちはいいのですが、何らかのトラブルがあり、このような人と敵対関係になると、その後、会社は実務とは全く別のところで、いらぬ体力を奪われることになります。
ウソは必ずバレる
私は、『今いる優秀な管理者と手を切れ』とアドバイスしているわけではありません。
万が一、『その優秀な管理者とケンカ別れしても、余計な神経を使わなくていいように』、インチキな運行管理をしない会社にして欲しい、とお願いしているのです。
バス、トラックを運行している会社が、大きな事故を起こすと、本来の事故原因とは全く別のところで、標的を問わないような、無差別攻撃を受けることになります。
事故を起こさないことが一番大切ですが、日ごろから嘘のない、メリハリの効いた運行管理を実施して、いらぬ秘密(ウソ)を抱えないで済むような経営体制を作るようにしましょう。