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貸切バスと貨物 改善基準告示と交代運転者の配置基準を混同しないようにしましょう

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一般貸切旅客

当社は、全国160社以上のバス会社・トラック会社をサポートさせていただいております。
当然、いろいろなご質問が寄せられるのですか、最近、改善基準告示と交代運転者の配置基準を混同してしまったような質問を多く受けますので、一度整理しておきます。

改善基準告示は労働法のきまり

改善基準告示の目的は、自動車運転者の働き方について一定の制限を加えることです。
その結果、自動車運転者の健康的な生活が守られ、同時に、健康起因による事故も防止できると考えるわけです。

改善基準告示が労働法の仲間であることは、この告示が厚生労働省から出ていることからもわかります。

改善基準告示は労働法令の仲間
★制定の目的は拘束・運転時間の制限と休息の確保

私たち社会人の24時間は、仕事に伴う拘束時間とそれ以外の休息期間の二つに大別されます。
よく、『お昼休みは時給が出ないから仕事(拘束)時間ではない』と、間違えて覚えている方を見かけますが、お昼休みも会社の中で一部の拘束を受けていますから、拘束時間に含まれます。

改善基準告示では、拘束時間や運転時間を制限し、逆に、休息期間や休日を適切に確保することで、自動車運転者の健全な働き方を支援する内容になっています。

交代運転者の配置基準は利用者保護のため

交代運転者の配置基準(以後、配置基準と書きます)は、どちらかと言えば、利用者を保護するためにある、と考えた方がわかりやすいでしょう。
もちろん、自動車運転者の保護を目的としている、とも言えるのですが、この基準を出しているのが国土交通省であることを考えると、利用者保護の目的が強い様に感じます。

長時間運転をさせないためのきまり
★制定の目的は長時間・長距離運転の防止

改善基準告示にも運転時間の制限はありますが、少し甘い印象があります。

✅改善基準告示では、基準日を中央に置いて、前日と基準日、基準日と翌日の運転時間の合計の両方が18時間を超えなければ違反にはなりません。
例えば、極端な例ですが、連続する3日間で運転時間がそれぞれ8時間・9時間・12時間となっても、改善基準告示では違反にはなりません。

一方、配置基準における運転時間の制限は、より明確でより厳しくなっています。
一例を挙げると、昼間ワンマン運転では基本が9時間、延長しても10時間となっています。

具体例で考えてみましょう

では、具体的な運行予定を事例にして、それぞれが改善基準告示と配置基準のどちらを考慮すべきなのかを考えてみましょう。

事例1
1.朝5時に出庫
2.9時に目的地着(220㎞) そのままバスで待機
3.18時現地を出発
4.23時に帰庫(220㎞)

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いかがですか?
この運行をワンマンで運行することはできますか?

この事例では、改善基準告示が対象となります。
運転時間(ハンドル時間)は、行きと帰りを合わせても9時間ですから、配置基準の規定には抵触しません。

しかし、拘束時間が18時間となり、1名乗車の限界である16時間を超えるので、2名乗車ないしは、途中で運転者を交代する必要が出てきます。

事例2
1.朝8時に出庫(回送5キロ)
2.13時に目的地到着(310㎞)そのままバスで待機
3.15時に現地を出発
4.20時に帰庫(320㎞)(回送5キロ)

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今回は、拘束時間が12時間です。
拘束時間が問題ないということは、出勤からの24時間での休息期間に問題はありません。
拘束時間と休息期間は背中合わせだからですね。

この事例では、交代運転者の配置基準が対象となります。
まず、運転時間から見ていきましょう。
運転時間は、午前5時間、午後5時間ですから、合計10時間です。
ギリギリセーフですね。(週2回まで)

では、実車距離は?
行きが305キロ、帰りが315キロで、合計620キロ。
つまり、この部分が、交代運転者の配置基準に抵触するので、この運行はツーマンでなければできないことになります。

最後になりますが、交代運転者の配置基準で定義されている運転時間というのは、ハンドル時間のことだと理解をしてください。
ハンドルを握っている時間ですから、渋滞で1時間停車していても、加算する必要があります。

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