貸切バスの法令試験は、各地方運輸局で(基本的には毎月)実施されています。
名前は同じ『法令試験』ですが、中身は地方によっていろいろな特徴があり、とても興味深いものです。
以前にも一度、全国の法令試験の特徴については解説しておりますが、今回は最新の令和元年夏バージョンとしてお読みください。
法令試験とは?
貸切バスの新規申請や更新申請の際に、必ず受験し合格することが義務つけられているのが経営者法令試験です。
更新申請の場合は、セーフティバスの認定を受けていれば免除となるなどの特例がありますが、基本的にはすべての事業者が受験する必要があります。
事業者を代表して受験するのは、登記されている取締役に限定されていますが、『代表取締役』の受験が義務付けられているのは、一般貸切だけです。
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貸切バス法令試験における代表取締役とは?
北海道運輸局
①正誤式 15問 ②3択式 15問
極めてシンプルな構成で、出題傾向もベーシックです。
但し、『3択』の問題の中で、一つの問題に複数の解答を求められるものがあり、一つでも落とすと不正解扱いのものがあり、慎重に答える必要があります。
記述式がないので簡単なのですが、枝問正解がないので難易度は3です。
※1(易しい)~5(難しい)
問題:旅客が運送を申し込む際の運送申込書は、一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款に規定されているが、道路運送法と旅客自動車運送事業運輸規則には規定されていない。
あまり見かけない問題です。
私は間違えてしまいました。
東北運輸局
①正誤式 20問 ②選択式 17問 ③記述式 3問
出題傾向は北海道よりも易しい印象です。
選択式(3択を含む)も枝問のそれぞれを正解と認めてくれるので、全滅がなく安心です。
記述式も奇問はなく、傾向は安定しています。
記述式があるので、北海道よりも難しいはずですが、枝問正解があるので、難易度は3です。
問題:事業者が公平かつ懇切な取扱いをしなければならないのは、旅客又は公衆に対してである。
運輸規則の第二条からの出題ですが、なんとなく×にしたくなる文章です。
『公平かつ懇切な取り扱い』は『旅客』と『公衆』のどちらにもする必要がありそうです。
問題になった第二条の原文はこうです。
旅客自動車運送事業者は、旅客又は公衆に対して、公平かつ懇切な取り扱いをしなければならない。
だいぶ印象が違います。
このように、法令の原文をアレンジした文章だと、内容も意味も取り違えてしまうことがありますから、必ず法令原文を読むようにしましょう。
関東運輸局
①正誤式 15問 ②選択式 15問(3題) ③○×式 5問(1題) ③記述式 5問
出題の傾向は一番ベーシックです。
法令文のアレンジも少なく、解答する側に迷いが出にくい良問ぞろいです。
記述式が5問あるので多少負担が重いので、難易度は4ですが、勉強すれば結果は出やすい内容です。
北陸信越運輸局
①正誤式 15問 ②三択式 15問
記述式がなく、また選択式もないのでかなり楽な印象です。
難易度は2です。
中部運輸局
①正誤式 10問 ②選択式 5問 ③記述式 5問 ④3択式 10問
若干クセのある出題をしてきます。
法令の文章をアレンジする傾向も強く、少し解答に迷いがでやすい内容です。
そのため、難易度は5です。
問題:道路運送法上において、自動車運送事業を行う上で禁止行為とされている内容を条文通り正確に記入してください。
突然大きな【 】が現れて、このような問題が出題されます。
【 】が巨大なので、ちょっとビビりますが、問題自体はとても簡単なので慌てないようにしましょう。
間違えても1点なので、最後に回してしまうことが大事です。
☑ピックアップ
問題:事業者は、輸送の安全を確保するため、事故、( )情報等の定義及び収集手順を定め、それらの情報を収集する。
『運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン』からの出題です。
一応、出題範囲ではあるのですが、ほとんど見たことがないのでびっくりします。
近畿運輸局
①3択式 27問 ②正誤式 3問
近畿運輸局はとても事業者寄りの対応をしてくれます。
さすが商人の街のお役所といった感じで、商売人のサポートに徹してくれている感があります。
法令試験も必要にして十分な内容です。
選択式や記述式がないので、難易度は1です。
中国運輸局
①正誤式 40問
とてもシンプルな出題構成ですが意外に難しい印象で、難易度は5です。
その理由は、○の中に長い法令文がそのまま出題されるものがあることです。
問題:一般貸切旅客自動車運送事業者は、事業計画の遂行に必要となる員数の運転者の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他の運行の管理その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならない。
×の問題の中に単純な文言の入れ替えで間違いにしたようなものが紛れているので、上のような問題は解答するのがすごく不安になります。
※ちなみに答えは○です。
四国運輸局
①正誤式 22問 ②三択式 11問 ③選択式 3問(1題) ④○×式 4問(1題)
とてもベーシックな出題です。
問題文の作りは関東運輸局に似ており、関東運輸局から記述式を除いたような印象です。
良問が出題されており、難易度は2です。
九州運輸局
①正誤式 30問 ②三択式 10問
問題の作りで一番面白いのが、九州運輸局です。
法令文をそのまま出題するのではなく、いろいろとアレンジして出題します。
時々混ざってくる『ですます調』の問題文が特徴的です。
ただ、内容自体はベーシックですので、難易度は3です。
問題:一般貸切旅客自動車運送事業の運賃及び料金は、利用者との間の契約に基づき運送ごとに設定し、運送終了後に国に報告します。
問題:道路運送法は、道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることを目的としており、利用者の利益の保護・増進は目的としていません。
法令試験を見慣れた私は、『です、ます調』の問題はすべてガイドラインと思ってしまいます。
沖縄総合事務局運輸部
①記述式 2問 ②正誤式 20問 ③三択式 8問
記述式は中部運輸局に似た、ちょっとえぐいバージョン(法令文をそのまま書かせるタイプ)です。
正誤式は九州運輸局の『ですます調』が混ざりますが、内容はいたってシンプルです。
難易度は4です。
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関東運輸局の出題傾向を分析していますので足りない部分もありますが、テキストの内容だけで合格点に達することは確認しました。
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そのために、合否に影響が少ない法令については、大胆にカットし、法令の説明も必要最小限に留める工夫をしました。
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合格という港まで船をこぎ続けるのは、実際に試験を受ける経営者の皆さんです。
テキストを案内役とし、ひたすら過去問と戦い、勝利を手にして下さい。