先月10月9日に、『出向ドライバーの勤務期間に関する記事』を書かせていただきました。
今回は、その顛末の結果をお知らせします。
出向期間が2ヶ月未満のドライバーは違法?
今回、問題にしたのは、他社から出向してきたドライバーの勤務期間についてです。
出向ドライバーというのは、『籍(せき)はもともと勤務している会社に残して、忙しい時だけ手伝いに行くというイメージなる』のだと思います。
問題となったのは、この手伝いに行く期間が2ヶ月を下回るような場合に、運輸規則や、安全規則の規定に抵触しないかどうか、ということです。
問題の意味が分かりにくい方は、問題提起をした記事を先にお読みください。
問題となったのは、この手伝いに行く期間が2ヶ月を下回るような場合に、運輸規則や、安全規則の規定に抵触しないかどうか、ということです。
問題の意味が分かりにくい方は、問題提起をした記事を先にお読みください。
国交省に質問状を提出しました
何か新しい試みを始める前に、その行動が法令等に抵触しないかどうか、不利益処分を受けることがないかを事前に確かめる制度があります。
この制度のことを、法令適用事前確認手続と言います。
先月、10月11日に、当社にご質問をされた会社さんの代理として、この制度を利用しました。
法令適用事前確認手続きの対象となるのは法律以上の決め事であることが多いため、(運輸)規則を対象とした質問では回答されないかもしれない、と思いながら、ともかく提出することにしました。
法令適用事前確認手続きの対象となるのは法律以上の決め事であることが多いため、(運輸)規則を対象とした質問では回答されないかもしれない、と思いながら、ともかく提出することにしました。
運輸規則は対象にならない・・・
結論から申し上げますと、当初の予測どおり、『運輸規則については、法令適用事前確認手続きの対象ではない』という、そっけないお答えが返ってきました。
ただ、この問題についての、国交省的な見解は示されました。
以下、送られてきたメールの内容です。
令和4年10月11日付け、法令適用事前確認手続(照会書)にて「旅客自動車運送事業規則第36条第1項」にかかる照会を行われていますが、国土交通省法令適用事前確認手続規則(平成14年3月29日)により、照会されました「旅客自動車運送事業運輸規則」は対象手続きの対象となる法令には該当しないことから、本件につきましては本メールにて回答をお伝えいたします。
回答
旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項は、運転者として選任してはならないことを定めている。また、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」第36条(2)①「各号に掲げる者については、いかなる場合にも旅客自動車運送事業の運転者として選任し及び乗務させてはならない。」とある。
このことから、2月以内の期間を定めて使用される者は運転者として選任することはできない。
※原文のまま
以下、送られてきたメールの内容です。
令和4年10月11日付け、法令適用事前確認手続(照会書)にて「旅客自動車運送事業規則第36条第1項」にかかる照会を行われていますが、国土交通省法令適用事前確認手続規則(平成14年3月29日)により、照会されました「旅客自動車運送事業運輸規則」は対象手続きの対象となる法令には該当しないことから、本件につきましては本メールにて回答をお伝えいたします。
回答
旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項は、運転者として選任してはならないことを定めている。また、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」第36条(2)①「各号に掲げる者については、いかなる場合にも旅客自動車運送事業の運転者として選任し及び乗務させてはならない。」とある。
このことから、2月以内の期間を定めて使用される者は運転者として選任することはできない。
※原文のまま
制度趣旨は運用と解釈にも書かれているのに・・・
あたり前と言えば、これ以上あたり前の答えはないのですが・・・
まあ、こうなるだろうとは予測しておりました。
前編でも書きましたが、もう一度、運輸規則36条に示された基準の趣旨を確認しておきたいと思います。
旅客自動車運送事業運輸規則
◆第36条
旅客自動車運送事業者(個人タクシー事業者を除く。以下次条第一項及び第二項において同じ。)は、次の各号の一に該当する者を前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。
一 日日雇い入れられる者
二 二月以内の期間を定めて使用される者
三 試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至つた者を除く。)
四 十四日未満の期間ごとに賃金の支払い(仮払い、前貸しその他の方法による金銭の授受であつて実質的に賃金の支払いと認められる行為を含む。)を受ける者
旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
◆第36条について
旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項の趣旨は、労働条件の安定を図ることにより、運行の安全の確保と旅客サービスの改善に資するため、日雇い又はこれに類する不安定な労働条件の下に雇い入れられる者を旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転者として選任し及び乗務させてはならないこととしたものである。
◆第36条
旅客自動車運送事業者(個人タクシー事業者を除く。以下次条第一項及び第二項において同じ。)は、次の各号の一に該当する者を前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。
一 日日雇い入れられる者
二 二月以内の期間を定めて使用される者
三 試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至つた者を除く。)
四 十四日未満の期間ごとに賃金の支払い(仮払い、前貸しその他の方法による金銭の授受であつて実質的に賃金の支払いと認められる行為を含む。)を受ける者
旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
◆第36条について
旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項の趣旨は、労働条件の安定を図ることにより、運行の安全の確保と旅客サービスの改善に資するため、日雇い又はこれに類する不安定な労働条件の下に雇い入れられる者を旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転者として選任し及び乗務させてはならないこととしたものである。
『規則 ⇒ 解釈と運用』を続けて読んでみると、36条の禁止事項について、理由もなく、何が何でもダメという解釈にはならないように思います。
日雇い⇒生活安定しない⇒不安でいっぱい⇒安全運転に支障がでる。
上記のような、負の連鎖を止める(禁止する)ことが、運輸規則36条の制度目的だと言えます。
つまり、生活が安定している出向社員であれば、この問題を心配する必要はないのでは?というのが、私の考えです。
マスコミにも取り上げられていない問題で、国交省の担当官が一歩踏み込んだ判断をすることができない気持ちはわからないではないですが、少し残念な結果でした。
日雇い⇒生活安定しない⇒不安でいっぱい⇒安全運転に支障がでる。
上記のような、負の連鎖を止める(禁止する)ことが、運輸規則36条の制度目的だと言えます。
つまり、生活が安定している出向社員であれば、この問題を心配する必要はないのでは?というのが、私の考えです。
マスコミにも取り上げられていない問題で、国交省の担当官が一歩踏み込んだ判断をすることができない気持ちはわからないではないですが、少し残念な結果でした。
以下に、今回の質問状を読めるようにしておきます。
ぜひ、ご一読いただき、ご意見をいただければと思います。
解決法はある!
ダメなものはダメだと言われてしまったのですが、地方運輸局の保安担当の方から、この問題の解決方法について、いろいろアドバイスをいただきました。
サポートメンバーの方にはサポートメールでお送りいたします。
【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】