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自家用バスでの無料送迎について深掘りしました

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一般貸切旅客

令和6年3月1日に国土交通省より、道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについてという文書が出されました。

その後、複数のバス会社さんや、旅行関係者の方から問い合わせがありましたので、この文書の内容についてご説明しておきます。

規制が緩和されたわけではない

ご質問いただいた方に共通しているのが、自家用バスの利用に関して、規制が緩和されたという認識なのですが、どうなのでしょう?
しっかりと読み込んでみましたが、大筋のところで従来と変わるところがありません。

どうも、規制が緩和されたというよりも、OKとNGの境目がわかりやすくなったという感じです。

ガイドラインの目的
以下の一文に集約されていると思います。

(このガイドラインは)無償運送行為が本来は自由に行えるものであり、一般の方々が「許可又は登録」をせずに行える運送行為を安心して行えるように記述したものである(後略)

有償とは??

有償とは、『運送サービスの対価としてお金などを受け取ること』を言います。

問題なく受け取れるお金の代表は2種類
①謝礼は(たぶん)運送の対価ではない

謝礼か対価か、どちらになるかの線引きとして最も簡単な基準は、金額です。
たぶん・・・と書いたのは、この基準が個人の金銭感覚や、地域の習慣にもよるからです。
いわゆる『常識の問題』ということですね。

②実費も運送の対価ではない

・燃料代
・道路通行料金
・駐車場代
などなど・・・(詳しいことは後述します)

これらの費用は、実費(利益ではない)ので、受け取ることで『運送の対価』とみなされることはありません。

自家用バスでどこまでサービスできるの?

では、自家用バスで、どんなサービスをすることが可能なのでしょうか?

結論としては、常識的な範囲を逸脱しない限り、以下のようなサービスが可能です。

ホテルや旅館の自家用バスでできること
①送迎途中での土産物店への立ち寄り

②近隣施設への送迎

スキー客が多く宿泊するホテルが運行する、スキー場への送迎バスなどがこの例にあたるでしょう。

③近隣の観光スポットへの送迎

実費の範囲

ここまで、無料の自家用バスでできることを見てきました。
しかし、上で説明した『問題なく受け取れるお金の代表』の中には、実費が含まれていました。

では、実費を利用者に負担してもらう場合の、実費とはどのような範囲を言うのでしょう?

実費の範囲とは?
✅全く問題のない実費

・燃料費
・道路利用料
・駐車場代

✅ちょっと思案を要する実費

・車両費(償却費)
・保険料

この場合、車両が送迎などのサービス専用であるかどうかが問題となります。
例えば、ホテルの名前の入ったマイクロバスなどは、宿泊客専用と理解できますから、車両の償却費も実費に含めることができます。
しかし、小さな旅館で、社長も仕入れなどで日常的に利用するような自家用のミニバンの場合は、専用車ではないので償却費が実費になるかどうかは怪しいところです。

保険料でも同様の考え方ができます。
自家用のミニバンの場合、送迎で利用しなくても任意保険料はかかるはずですので、すべてを利用者に負担させるのは難しいでしょう。
専用車両であれば、この心配はいりません。

✅これは無理かな?

・人件費

自家用バスを利用した運送サービスで、人件費を実費として認める事例はありません。
但し、幼稚園等の送迎バスにおいて、許可を受けた場合には、利用者から運行に必要な人件費を収受することができます。

実費はどうやって算出する?

自家用バスを利用したサービスについて、利用者に実費を負担してもらうことを検討する場合、その額はどのように算出すべきでしょうか?

『だいたい、一人1,000円くらいあれば、大丈夫なんじゃん??』

こういう決め方ではいけません。
フタを開けてみたら、実費どころか、余剰金が出ていたなんてことになったら、かなり面倒です。

実費は常識的にこうやって決める
①直近年度の年間コストを計算する

上で説明したような実費を年間で算出します。

②年間利用者数を算出する

③一人あたりの負担金を定める

コスト計算は毎年行う
上記のコスト計算は、毎年行うようにしましょう。
利益が出てしまった場合には余剰金として保管し、不足があった場合にもその旨を記録として残し、翌年度に負担金の補正を行います。

大切なことは、実費の計算根拠を誰が見てもわかるように会計を記録して運用することです。