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貸切バス トラック 社長は16時間超えて運転しても大丈夫??

2020年1月5日09時08分

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

バス会社やトラック会社で、社長みずからハンドルを握るケースは少なくありません。
そんな働き者の社長さんからよくされる質問です。
『先生、俺は経営者だから拘束時間とか関係ないよね。』
 
今回はそんな疑問にズバリお答えいたします。

社長は労基法の適用除外

個人事業主も、法人の役員も経営者です。
経営者は労働者ではありませんから、労働基準法の規制を受けません。

労働基準法には、適用が除外される働き方があります。
①法人の役員
②同居の親族のみ雇用する場合
③船員
④公務員
 
①一般の労働者は、会社と雇用契約を結びます。だから労働者なんです。
しかし、法人の役員と会社の関係は雇用契約ではなく委任契約となります。
ですから、労働基準法は適用されないわけです。
 
②同居の親族のみで構成される組織(個人商店のような)の場合、使用者と労働者の明確な線引きがむずかしいので、労基法の適用が除外されています。
 
③船員は、別法律で守られています。
 
④公務員も同様に、労基法ではなく他の法律で保護されています。
※公務員の場合は、労働者側が一斉に権利を主張(有給休暇など)して、国民生活に支障をきたさないよう配慮されています。

 

改善基準告示とは?

バスやトラックの乗務員の労働環境を守るために定められているのが、改善基準告示です。
ネットで『改善基準告示』と検索すれば、すぐにトラック運転者用のものが出てきます。
バス運転者用のものは、『改善基準告示 バス』と検索すれば出てきます。

改善基準告示は、『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準』という名前の告示です。
平成元年2月9日に厚生労働省から公示されたもので、何度かの改正を経て現在に至っています。
 
告示というのは、いろいろな性質を持つのですが、改善基準告示の場合は法令の内容を補充する法規としての意味合いが強いように思います。

 

改善基準告示の中では社長は対象外?

改善基準告示には、『事業用自動車の運転者』を保護するための決まりが書かれています。
実は、この『事業用自動車の運転者』には社長さんが含まれるのかどうか、というところが問題です。
 
改善基準告示は、そのポイントをわかりやすく解説したリーフレットがネット上に出回っていて、原文を探すのに苦労します。
実際、原文をそのまま読んでもかなりわかり辛く、ポイントをわかりやすく解説したこのリーフレットはとても助かるのですが・・・
しかし、この分かりやすいリーフレットには小さな弱点があります。
 
実は、このリーフレットを読んでも、『事業用自動車の運転者の範囲』はハッキリ明言されていないのです。

(改善基準告示のポイントより抜粋)
はじめに
 
バス運転者の労働条件の改善を図るため、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が策定されています。以下はそのポイントです。

 

これでは、運転者に経営者が入るのかどうかがわかりません。
しかし、告示の原文には、以下のように書かれています。

(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準より)
第1条 この基準は、自動車運転者(労働基準法(略)第九条に規定する労働者(略)であって、四輪以上の自動車の運転の業務(略)に主として従事する者をいう。以下同じ。)の労働時間等の改善のための基準を定めることにより、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とする。

 

改善基準告示の対象は労働者

改善基準告示の原文では、その最初に対象者を労働基準法第9条に規定する労働者としています。

労働基準法第9条
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

改善基準告示の保護の対象とされるのは、会社や個人事業主から賃金を支払われる者と説明されています。
つまり、ハンドルを握る社長は改善基準告示の規制は受けないと書かれているわけです。
しかし・・・
結論は違います。
 

実際のところ、ネット上にあるトラック協会などの古いリーフレットには『社長は改善基準告示の対象にならない』などと書かれています。
昨年の巡回指導で、『社長さんは労働者じゃないから大丈夫だよ』と説明した指導員もいたようです。

 

厚労省の告示内容を国交省の通達が変える?

結論から言うと、たとえ経営者であっても、改善基準告示の決まりは守らなければなりません。
実は、厚生労働省が出した改善基準告示の内容は、その後、国土交通省が出した通達によって少し形を変えることになるのです。
 
社長が運転者であった場合に、どうやって疲労を防止して輸送の安全性を保つかどうか(過労防止)については、バス、トラックそれぞれ別に定められています。
 
最初はバスの場合です。
最初の赤文字の部分をよく読んで下さい。
運転者には経営者も含まれることが書かれています。

『旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について』より抜粋
第21条 過労防止等
(1) 勤務時間及び乗務時間(第1項)
事業者が運転者(個人事業主、同居の親族及び法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下「事業主等」という。)が運転する場合には、当該者も含む。)の勤務時間及び乗務時間を定めるときの具体的な基準は、「旅客自動車運送事業運輸規則第21条第1項の規定に基づき、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(略)のほか、「一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者の特例について」(略)及び「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」(略)とする。なお、事業主等が運転者として選任される場合の拘束時間は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)で定める労使協定の締結により延長することができる範囲を超えないものとすることとする。

 

個人事業主、同居の親族及び法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下「事業主等」という。)が運転する場合には、当該者も含む。
 
つまり、『ハンドルを握るのが個人事業主や法人の役員の場合には、その人たちも運転者としてみますよ。』と言う意味です。

 

次にトラックの場合です。
バスの場合と同様に、最初の赤文字に注意して読んで下さい。

『貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について』より抜粋
3.第4項関係(別紙1参照)
(1) 事業者が運転者(個人事業主、同居の親族及び法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下「事業主等」という。)が運転する場合には、当該者も含む。)の勤務時間及び乗務時間を定める時の具体的基準は、「貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(略)のほか、「一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者の特例について」(略)及び「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」(略)とする。なお、事業主等が運転者として選任される場合の拘束時間は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)で定める労使協定の締結を行っている場合にあっては、当該労使協定により延長することができる範囲を超えないものとすることとする。

 

ネットの情報は最新のものばかりではない!

法令文が多くて読みにくい記事でしたが、いかがでしたか?
内容はどうであれ、経営者もハンドルを握ると『改善基準告示』などの決まりに縛られることがわかりました。

当社にお寄せいただくご相談の中で、この経営者のハンドル問題は上位を占める内容です。
ネットで取得できる情報の中には、新しいものと古いものが混在していて、『改善基準告示に関する民間のリーフレット』や『行政書士など専門職の記事』の中には、これらの改正前の説明も少なくありません。
※でたらめを書いている人がいると書いているわけではなく、更新されない記事が検索されているだけです。ネット検索の怖さと言えます。
 
もしも法令に関することで迷われることがあれば、すぐに当社までご連絡ください。
当社ですぐにお答えできない内容であれば、行政に問い合わせをした上で、わかりやすくご説明いたします。

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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