観光庁から旅行業協会に要請
今年に入り、大手の旅行会社が、貸切バス事業者からの過度な手数料の受け取りについて、旅行業法違反の疑いで聴聞を受けるという出来事がありました。
以前から、この手数料の問題は貸切バス業界全体にとって頭の痛い問題で、多少多めの手数料を支払っても仕事が欲しい貸切バス事業者と、安全コストの確保を命題とする国交省との間でのだましあいの様な状況でもありました。
旅行会社と貸切バス事業者の力関係から言っても、貸切バス事業者が自ら率先して、過度な手数料を支払っているとは考えられず、この問題の主体は旅行会社にあるというところで、今度は観光庁から日本旅行業協会に対して通達が出されることになりました。
①バス会社の安全コストを割り込むような手数料を要求することは違反だってことは知っていますね。
②本当に安全コストを割り込んでいないか、利用するバス会社に都度確認を取ってくださいね。
③この約束を破ると、旅行業法に基づく行政処分の対象となるかも?しれません。
今度は日本バス協会からバス会社に要請
日本旅行業協会は、会員の旅行業者へ同様の連絡をしました。
そして、この流れは、日本バス協会に移動します。
旅行業協会が傘下の旅行会社に、『本当に安全コストを割り込んでいないか、利用するバス会社に都度確認しなさい』と言っているわけですから、当然のことながら、バス会社としては、旅行業者に自社の安全コスト(パーセンテージ)を知らせる必要があります。
『自社の安全コストを知らせることができる=自社の安全コストが計算できている』
ということです。
(旅行会社と取引のある)バス会社が対応すべきこと
大きく2点あります。
旅行会社に自社の安全コストは、『〇〇パーセントですよ』と教えてあげる必要があります。
②運送引受書や契約書に確認ができているかどうかの文言の記載
例えば、自社の安全コストが82パーセントであった場合に、旅行会社に支払う手数料が10パーセントであれば、その取引(運行)によって、とりあえずは安全コストを割り込むことはないと判断できます。
バス会社は、このような運行が予定される場合は、運行引受書に『安全コストを割り込んでいないことを確認済み』と記載するわけです。
安全コストの計算は毎年必要
安全コストというのは、運行に必要なコストの中でも、絶対に割り込むことを許されないコストのことを言います。
これまで、多くの会社さんの安全コストの計算をしてきましたが、平均値は80パーセントから90パーセントくらいではないか、と思います。
つまり、旅行会社に支払うことができる手数料は、10パーセントから20パーセントくらいになります。
安全コストを計算することは、自社の体力を計算することでもあります。
ぜひ、自社で計算できるようになりましょう。
今回は、関東運輸局さんのホームページで公開されている安全コストの計算フォーム(Excel)の利用を考えてみます。
✅基本的な計算のしかた
①必要な書類をそろえましょう。
□ 直近年度の貸借対照表
□ 直近年度の損益計算書(なければ事業報告書でOK)
□ 直近年度の事業報告書
□ 直近年度の輸送実績報告書
②関東運輸局バージョンの計算用Excel(下にリンクがあります)を開いてください。
②黄色の枠に、①の資料から抜き出した数値を入れていきます。
安全コストの計算は、毎年やるべきものですので、ぜひ自社で完結できるように、チャレンジしておきましょう。
当社のサポート先であれば、関東運輸局VerのExcelの使い方についてのご質問を随時受け付けております。
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