貸切バスだけに認められた点検点呼2時間加算ルールとは?
貸切バスには、他の自動車運送事業にはない、特有のルールがあります。
その一つに、点検点呼2時間加算ルールというものがあります。
このルールについて、ご存じない方のためにお話しをしておきましょう。
貸切バスの時間制運賃を計算する際に、出庫から帰庫までの時間にプラスして、出庫前1時間、帰庫後1時間の点検点呼2時間の費用をお客様に負担していただくルールです。
本当の2時間かかっているの?
乗務前に必要な業務には、日常点検や点呼、お客様に快適にすごしていただくための事前準備などがあります。
これらの作業に必要な時間、実際にはどのくらいかかっているのでしょうか?
観光バス(分) | 送迎バス(分) | |
---|---|---|
乗務前の業務に必要な時間(合計) | 61.2 | 54.2 |
乗務後の業務に必要な時間(合計) | 115.9 | 104.0 |
乗務前・乗務後の合計 | 177.1 | 158.2 |
※貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループの資料より
乗務前に必要な時間の中身は?
上の表を見ると、観光バス、送迎バス、いずれの場合も乗務前、乗務後の合計で2時間を超えていますが、実際、その作業の中身はどんなものなのでしょうか?
まさか、点呼と点検だけで、こんなに時間はかかりませんよね。
乗務前の作業内容 | 平均時間(分) |
---|---|
事前準備 | 27.6 |
日常点検 | 18.1 |
点呼 | 11.8 |
それぞれの位置への移動時間 | 2.5 |
乗務後の作業内容 | 平均時間(分) |
---|---|
帰庫後の確認 | 15.3 |
点呼 | 8.2 |
車内清掃 | 40.8 |
車外清掃 | 39.6 |
翌日の準備 | 12.0 |
※貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループの資料より
乗務前、乗務後、意外とやることがたくさんある
貸切バス運賃・料金ワーキンググループの資料を読むと、観光、送迎、どちらもあまり変わらず、乗務前、乗務後にやらなければならない作業が多くあることがわかります。
同ワーキンググループは、この調査結果を踏まえて、旅客が負担すべき点検点呼の所要時間を決定しています。
乗務前に必要な時間 | 乗務後に必要な時間 | 合計 | |
---|---|---|---|
所要時間 | 57.5分 | 64.3分 | 121.8分 (約2時間) |
※この調査が点検点呼2時間加算ルールの根拠
ちゃんとやったら2時間は必要だということ
この調査では、各項目(点呼や日常点検)の内容とそれに必要な所要時間まで、かなり細かく調べられています。
それを読めば、『なるほど、ちゃんと点呼や点検、準備をすると、これくらいの時間はかかるんだな』ということがよくわかります。
逆に言うと、点検点呼2時間加算によって儲かったと考えている事業者さんは、本来やるべきことをやっていないとも言えると考えます。
ワーキンググループでは、点検点呼時間を2時間から1時間半にする案の検討もあったようですが、上記のような理由で、今後も2時間とすることが決定しています。