お問い合わせ 0120-359-555

貸切バスの点検点呼2時間加算(時間制運賃)は妥当なのか?

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

一般貸切旅客

貸切バスだけに認められた点検点呼2時間加算ルールとは?

貸切バスには、他の自動車運送事業にはない、特有のルールがあります。

その一つに、点検点呼2時間加算ルールというものがあります。
このルールについて、ご存じない方のためにお話しをしておきましょう。

✅貸切バスの点検点呼2時間加算ルール(時間制運賃)

貸切バスの時間制運賃を計算する際に、出庫から帰庫までの時間にプラスして、出庫前1時間、帰庫後1時間の点検点呼2時間の費用をお客様に負担していただくルールです。

本当の2時間かかっているの?

乗務前に必要な業務には、日常点検や点呼、お客様に快適にすごしていただくための事前準備などがあります。

これらの作業に必要な時間、実際にはどのくらいかかっているのでしょうか?

✅全国の調査対象バス会社の平均値

観光バス(分) 送迎バス(分)
乗務前の業務に必要な時間(合計) 61.2 54.2
乗務後の業務に必要な時間(合計) 115.9 104.0
乗務前・乗務後の合計 177.1 158.2

※貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループの資料より

乗務前に必要な時間の中身は?

上の表を見ると、観光バス、送迎バス、いずれの場合も乗務前、乗務後の合計で2時間を超えていますが、実際、その作業の中身はどんなものなのでしょうか?
まさか、点呼と点検だけで、こんなに時間はかかりませんよね。

✅全国の調査対象バス会社の平均値

乗務前の作業内容 平均時間(分)
事前準備 27.6
日常点検 18.1
点呼 11.8
それぞれの位置への移動時間 2.5
乗務後の作業内容 平均時間(分)
帰庫後の確認 15.3
点呼 8.2
車内清掃 40.8
車外清掃 39.6
翌日の準備 12.0

※貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループの資料より

乗務前、乗務後、意外とやることがたくさんある

貸切バス運賃・料金ワーキンググループの資料を読むと、観光、送迎、どちらもあまり変わらず、乗務前、乗務後にやらなければならない作業が多くあることがわかります。

同ワーキンググループは、この調査結果を踏まえて、旅客が負担すべき点検点呼の所要時間を決定しています。

✅調査結果を踏まえた点検点呼の所要時間

乗務前に必要な時間 乗務後に必要な時間 合計
所要時間 57.5分 64.3分 121.8分
(約2時間)

※この調査が点検点呼2時間加算ルールの根拠

ちゃんとやったら2時間は必要だということ

この調査では、各項目(点呼や日常点検)の内容とそれに必要な所要時間まで、かなり細かく調べられています。
それを読めば、『なるほど、ちゃんと点呼や点検、準備をすると、これくらいの時間はかかるんだな』ということがよくわかります。

逆に言うと、点検点呼2時間加算によって儲かったと考えている事業者さんは、本来やるべきことをやっていないとも言えると考えます。
ワーキンググループでは、点検点呼時間を2時間から1時間半にする案の検討もあったようですが、上記のような理由で、今後も2時間とすることが決定しています。