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一部のデジタルタコグラフの記録エラーに注意しましょう

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一般貸切旅客

休憩時間が休息期間に変化?

某有名日本メーカーのデジタルグラフにおいて、間違った記録がされることがわかりましたので、注意喚起の意味でこの記事を書いています。

▶休憩時間が休息期間と記録されるミス

このメーカーのデジタコでは、休憩のボタンを押してから終了までの時間が3時間を超えた場合、システムが勝手に休憩時間を休息期間に置き換える機能が働くことがわかりました。

なぜそうなる?

このような不思議な機能が標準で備わってしまっているわけは、改善基準告示で示されている以下のようなルールにありました。

★事業場外における仮眠時間を除く休憩時間は3時間を超えてはならない
※厚生労働省93号通達(平成元年3月1日)第3の1より

つまり、このようなルールがあるため、休憩時間が3時間を超えると、システム側で勝手に休憩時間が休息期間に切り替えられてしまうようなプログラミングをしてしまったわけです。

そもそもこのルールの制定された理由は?

1日の休憩時間が3時間を越えてはいけない理由はなんなのでしょうか?
同じ拘束時間の中であるなら、休む時間が多いのは悪いことではない、と考える人も少なくないのでは?

休憩時間というのは、拘束期間の中に置かれた労働者の自由時間という、ちょっと不思議な時間です。
ここで大切なことは、この休憩時間というやつが『無給の時間』であるということです。

★休憩時間は、会社から拘束される時間にもかかわらず、給与が発生しない時間となりますので、(厚生労働省的には)次のような不具合が発生する危険が考えられます。

1.15時間拘束されているのに、5時間の休憩が指定されているので、給与が10時間分しか支払われない。
⇒長時間労働プラス低賃金の温床になりかねない。
⇒この場合は、休憩時間ではなく荷待ち時間にすべきだ。(荷待ちなら有給)

2.4時間の休憩時間を指示していたのに、ドライバーが早く帰りたいので、休憩時間の残り1時間で荷物の積み下ろしをしてしまった。
⇒ドライバーのタダ働きを増長してしまう。

このような理由があって、休憩時間(無給)は全体で3時間以内にとどめなさい、となっているわけです。

3時間超えたからと言って休息期間にはならない

休憩時間と休息期間の違いは明確です。
休憩時間は拘束時間の中にあり、休息期間は一定のプロセスを経ないと始まりません。

★休息期間に入るには、必ず終業(業務後)点呼が必要

休息期間は拘束時間が終わることで始まるのですから、手順として必ずその前に点呼がなくてはなりません。
つまり、休憩時間が3時間を越えたら、(なし崩し的に)休息期間に入ることなどありえないことになります。

デジタコを購入するときにプログラム変更を

当社のお客様の話では、購入窓口となる代理店に注文しておくと、このシステム上のエラーが日報に反映されないようにプログラム変更することができるようです。

国産有名メーカーのデジタコを購入するときは、この点をよく確認してから購入するようにしてください。

メーカーの担当者さんの話では、

『当該デジタコは貨物用なのでこのような仕様になっている』

とのことでしたが、貨物だろうが、旅客だろうが、休憩時間が3時間を越えると(なし崩し的に)休息期間になることはありません。

繰り返しになりますが、休息期間に入るためには、必ず点呼を含む終業後の手続きが必要になります。