当社のサポート先からのご質問です。
雇い入れはしたが1種免許しかもっていない
ある観光バス会社が、1種免許しか持っていないドライバーさんを雇用しました。
昨今の運転士不足で、2種免許の取得を会社費用で行う、いわゆる養成ドライバーです。
この運転士候補さんの運転士としての適性などがわからないため、できたら、2種免許の取得費用をかける(投資する)前に、適性診断と実地教育を先にやっておきたいとのご希望です。
果たして、そのようなことができるのでしょうか?
法令は2種免許を持っていることを前提としている
旅客自動車運送事業運輸規則の解釈と運用の中にヒントがありました。
(5) 運転者として雇い入れることを内定した者に対して、雇入れの前に初任診断を受診させた場合であっても、初任診断を受診させたものとみなして差し支えない。
ここを読むと、雇い入れの前に初任診断を受けさせても有効である、と書かれています。
しかし、この条文には続きがあります。
また、法人タクシー事業者におけるいわゆる養成運転者のように雇い入れた時点で第二種運転免許を取得していない者に対して、養成期間中に初任診断を受診させた場合には、初任診断を受診させたものとする。
雇い入れの段階で1種免許しか持っていない者に対して、2種への養成期間中に受けさせた初任診断は有効とあります。
但し、法人タクシー(一般乗用)の場合です。
『運転者として雇い入れることを内定した者』が雇い入れの前に受けた初任診断が有効なのに、『養成中の者(1種免許の者)の初任診断は(雇い入れ後の)養成期間なら有効』と書かれているということは、
『運転者として雇い入れることを内定した者』=2種免許を所持している者 となります。
もし社員としての適性を見極めるのであれば適性診断や実地訓練とは別な機会に
当社にお問い合わせをいただいた観光バス会社さんの意向は以下のようなものでした。
①バス運転士が少ない中で、希望があれば1種免許所持者でも積極的に採用したい。
②しかし、社内でコストをかけて養成する以上、適性検査や実車訓練を見てから(2種)免許を取らせたい。
おっしゃっていることは理解できます。
しかし、適性検査も実車訓練も、2種免許の所持者が対象となっていますので、養成するかどうかの見極めを目的とするのは、制度の趣旨と合致しません。
『採用した運転士さんに養成する価値があるかどうか』を見極める目的であれば、そのための実車テストを数時間行う、というのが正しいと思われます。