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貸切バス・貨物トラック、連勤は何日までOKなのか。

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労働問題について

 

あぶなく大事故

今月3日、石川県を走行中の貸切バスの運転手さんが、運転中に急性くも膜下出血を発症するというショッキングな出来事がありました。
乗客の皆さんの機転もあり、幸いにも大事故には至りませんでしたが、一つ間違えると大変なことになる可能性がありました。

この出来事が報じられる中で、ひと際注目されたのが、この運転手さんの勤務が12連勤だったことです。
12連勤というのは文字どおり12日間連続して勤務することです。

13連勤の予定だったのか・・・

当日の運行状態から、今回の病気になった運転手さんは次の日も勤務が予定されていて、トータル13連勤以上の勤務だったことがうかがえます。
このバスは、岐阜県から石川県の温泉地に向かう予定だったようです。
岐阜から石川県、そして昼間の運行であれば、交代運転手が必要な距離や運転時間にもなりません。
当然、翌日もこの運転手さんが運転する予定だったと考えられます。
つまり、この運転手さんのシフトは法的に許されている13連勤が予定されていたわけです。

連勤はどこまで許される?

労働基準法第35条第1項
『使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない』

この条文に書いてある毎週の意味は『一定の期間を7日のブロックに分けて』という意味です。

 
ある会社の例で考えます。
この会社は日曜日から土曜日の単位で1週間を考えます。
第1週目の最初が日曜日だったとして、その日と休日にします。
第2週については土曜日を休日と決めました。
日曜日から土曜日を1ブロックと考えて、その中で1日の休日を保障していますから、何らの問題もありません。
このような休日の取り方をした場合は、12連勤が可能です。

労働基準法第35条第2項
『前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない』

 
上と同じように1日が日曜日(この日は出勤)だとします。
4週目の最終日が28日の土曜日ですから、1日(日)から24日(火)まで働いて、25日(水)~28日(土)で一気に休みを取るパターンもあり得ます。
この場合は、24連勤になります。

実際には13連勤

ドライバーという仕事の特性を考えると、労働基準法第35条第2項の規定は使えないでしょう。
つまり、『週に一度は休ませる』という社内ルールを採用する方が普通です。
では、『週に一度は休ませる』というルールの中で13連勤は可能でしょうか?
実はこの問題には、休日労働のルールが必要です。

休日労働について改善基準告示では、以下のように記載されています。
『休日労働については、回数は2週間に1回を限度とし、1箇月についての拘束時間の限度内でのみ行わせることができる。休日労働の場合であっても、当該休日における勤務と前後の勤務との間には、それぞれ所定の休息期間が必要である。』

 
上記の内容を素直に判断すれば、連勤は13まで可能になります。

【関連記事】
貸切バスの分割休息を詳しく解説します。(改善基準告示)

6連勤以上は危険

2種免許や大型免許を所持しているドライバーが著しく不足しています。
この流れが続けば、事業用自動車のドライバーの高齢化は急激に進行すると考えられます。
そこで問題になるのが、連勤の可否です。

労働基準法の決まりを待つでもなく、人間が必要なパフォーマンスを確実に実行するためには、週に一度の完全休息は絶対に必要です。
人の命を預かる重要な仕事である職業ドライバーに、6連勤以上の勤務を強いるのは大変危険です。
大きな事故を起こして会社をつぶしてしまう前に、連勤を6で止める工夫をしましょう。

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最後に

連勤に関する多くの記事は、改善基準告示の一文を根拠に13連勤までが可能としていますが、実はそうではありません。
実は、改善基準告示には13連勤以上の連勤が可能にしてしまうと思われる内容が含まれています。
しかし、私は6日以上の連勤には絶対反対の立場ですので、連勤に関する抜け道については一切解説しないことにします。
もしもこの点について解説をご希望の方は、個別にご連絡ください。

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】