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【貸切バス】【貨物】乗務員台帳についてしっかり解説します(Excel乗務員台帳付き)

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

実務全般について

乗務員台帳作成の意味とは?

乗務員台帳は、乗務員個々の状況を正確に把握するために作成するものです。
しかし、この個々の状況の把握とは、いったいどんなことを指すのでしょうか?

『運輸規則の運用と解釈』には、乗務員台帳の意味について、以下のように書かれています。
 
本条(運輸規則37条)の趣旨は、乗務員の要件を満たさないものの選任違反を防止するとともに、個々の乗務員の状況を的確に把握するため、事業者に対して乗務員台帳の作成を義務付けるもの(略)
 
なるほど、って感じですが、では具体的にはどんなことが必要なのでしょうか?

 

まず現在の状態がわかるように

乗務員台帳には、大きく分けて三つの情報を記録します。
一つは、『現在の情報』です。

乗務員台帳に記載する『現在の情報』は、以下のようなものになります。
 
✔ 氏名・生年月日・性別
✔ 現住所・連絡先
✔ 写真(画像も大切な情報です)
✔ 免許証情報
 
免許証情報の中で、更新される可能性が高いのは、免許の有効期限ですね。
有効期限を記入する欄の一ヶ所しかないと、最短で3年に1回の頻度で乗務員台帳を作り直す必要がでてきます。
あまり長く1枚の乗務員台帳を使うのも感心できませんが、免許の有効期限は2回くらい書けた方が効率がいいでしょう。

 

過去の履歴がわかるように

乗務員台帳に記載する必要のある二つ目の情報は『過去の履歴』です。
この情報は、運輸規則の中でも大変重要視されています。

乗務員台帳に記載する『過去の履歴』は二種類です。
 
✔ 運転の経歴
✔ 事故・違反の履歴
 
この二つの中で重要性が高いのは、『運転の経歴』です。
この情報を記載する理由を『運輸規則の運用と解釈』から引用します。
 
『運転者の運転の経歴』については、運転経歴の適確(的確)な把握により、個々の運転者の状況に応じたきめ細かな指導監督の実施を図ろうとするものであり(略)
 
つまり、運転の経歴を正確に記録(把握)することによって、それぞれの乗務員に生じる運転スキルの差を、特別な教育・指導によって確実に埋めていこうとするものです。
同じように大型バスの経験があったとしても、観光バスでの経験と乗合バスでの経験では、スキルに相応の差が生じています。
この経験の差を理解しないで、ただ『大型バスに乗務していた』ことのみを持って、一つの経験ととらえるのでは不足である、と考えるわけです。

 

乗務員台帳に記載する『運転の経歴』については、選任された年度によって記載内容に違いがあります。
 
★平成28年11月1日以降に選任された乗務員
✔ 直近に勤務していた会社での経験を記載します。
記載の代わりに、履歴書を添付していても問題ありません。
※もちろん、履歴書に運転経歴が記載されていることが必要です。
 
★平成28年11月1日以前に選任された乗務員
✔ 同月時点からの運転の経歴を記載する。
✔ その前の経歴も積極的に記載することが望ましい。

 

記録用紙としての役割もある

3つ目の情報は、様々なイベントの記録です。
乗務員台帳は、これらのイベントを記録しておく記録紙としての役割も担っています。

乗務員台帳に記載する必要のあるイベントは、以下のとおりです。
 
✔ 特別な指導と教育
※初任運転者教育・適齢診断後の教育・事故や違反の後の教育
 
✔ 適性診断の記録
✔ 健康診断の記録
 
特別教育の指導内容や、適性診断の結果、健康診断の所見などを記載できるようにしている乗務員台帳もありますが、A4紙1枚に入りきる情報量ではありません。
この狭いスペースに中途半端な情報を記載するくらいであれば、教育や指導、診断などを受けた日時だけをしっかりと記録し、詳細はそれぞれの記録のコピーを添付しておく方が効率的、かつ現実的です。

 

健康診断の内容について、誰でも閲覧することができる乗務員台帳に直接記載するのは問題があります。
それでなくとも、個人情報の保護が重要視される時代に、第一級品の個人情報である健康診断の内容を開示することは、その会社の企業姿勢が疑われます。
この点については、また別の機会に意見を書かせていただきます。

 

必要にして十分な乗務員台帳を作りました

乗務員台帳を作成する上で、一番まずいのは、書くべき欄があるのに記載されていない部分があるということです。
空欄があるくらいなら、その部分は最初からない方がましです。
 
それらの点を踏まえて、必要にして十分な情報を網羅できる乗務員台帳を作成しました。
特徴は以下のとおりです。

✔ 貨物から乗合、貸切、乗用まで、すべてに使用できるように作成しました。
✔ 指導や診断の内容は記載せず、日付のみが記録できるようにしました。
✔ 運転の経歴が多く記載できるように工夫しました。
✔ 免許の有効期限は2回まで記載できます。
 
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【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】