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貸切バス 乗務員の選任手順(加筆修正版)

2019年4月30日05時11分
貸切バスの年間サポート

先日、ある事業者さんが作成された乗務員台帳をチェックしていて、乗務員の選任手順に問題を見つけました。
適性診断の受け方に問題があったのですが、間違いの原因は「乗務員の選任」という儀式を理屈で理解していないという現実が根底にあるようです。
そこで、今回は「乗務員の選任」という儀式の意味について考えてみたいと思います。
 

乗務員の選任には手順がある

事業用自動車(緑ナンバー)に運転手さんを乗務させるためには一定の手続きが必要です。
緑ナンバーと一言で言っても、いろいろな種類の車両がありますし、それぞれに基準はあるのですが、今回はその中でも一番厳しい『貸切バス乗務員の選任』についてお話しします。

【従業員として採用すること=乗務員として選任すること】ではありません!
ANAやJALなどの航空会社、JRなどの鉄道会社で考えてください。
これらの会社で、パイロットや運転手としていきなり雇用されることがありますか?
まず従業員として雇用されて、一定の訓練及び選考を経てパイロットや運転手に選任されるわけです。
事業用自動車の乗務員も基本的には同じ考え方で進めなければなりません。
 
【免許がある=資格がある】ではありません。

 

まずは健康診断

新しく雇い入れた乗務員(候補)が健康であるかどうかは、雇用する側のとても重要な関心事です。
二種ドライバーが慢性的に不足している昨今、本人の「私は健康です。」という申告を信じたい気持ちはわかりますが、旅客乗務員の責任の重さを考えれば、やはり客観的な証明を取っておきたいところです。

☑健康診断の記録は、前の職場で行ったものでも構いません。
※但し、その場合は入社以前3ヶ月以内に受診したものだけが再利用できます。

 

忘れがちな運転記録証明書

新たに選任予定の乗務員について、運転経歴書などでこれまでの事故や違反の履歴を知っておくことも必要です。
基本的には本人の申請が必要ですが、代理権を証明する書類(委任状など)があれば、会社が代理で申請することも可能です。

【運転記録証明書はこちらから】
自動車安全運転センター

 
違反や事故がなければ問題ないのですが、運転記録証明書によって『事故惹起運転者』であることが判明した場合。
その場合は、この後に説明する『適性診断』に違いがでてきます。

【事故惹起者】
①死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがない者及び軽傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の3年間に交通事故を引き起こしたことがある者
②死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがある者

 

適性診断を受ける

運転記録証明書によって事故惹起者ではないとわかっても、適性診断は受けされなければなりません。
この場合の適正診断は『初任診断』と呼ばれています。

一般に、新しく選任される乗務員さんが受診するのは『初任診断』です。
しかし、選任される乗務員さんが65歳以上であった場合には、『適齢診断』を受診することで「初任診断」を受診したことになります。
 
NASVA初任診断

 

初任運転者が『事故惹起者』であった場合には『特定診断』を受ける必要があります。
この場合も初任教育の一環として受診した場合は、『適齢診断』と同様に『初任診断』の代わりと考えることが可能です。

【適性診断】
①の場合は『特定診断Ⅰ』が必要です。
NASVA特定診断Ⅰ
 
②の場合は『特定診断Ⅱ』の受診が必要です。
NASVA特定診断Ⅰ

 

初任乗務員教育(座学・実地)

雇用した従業員を乗務員に選任するには社内での教育が必要です。
特に貸切バスの場合は実務教育(路上)の時間が長いので注意が必要です。
初任運転者の教育については、以下の記事をご覧ください。

【関連資料】
貸切バスの初任運転者の教育について詳しく解説します。

 
これらの社内教育は、適性診断の結果を受けて個別に実施されるものでなくてはいけません。
 

乗務員台帳に記録して終了

免許証の情報、健康診断の結果、運転記録証明書、初任教育などの結果はすべて乗務員台帳に記載して、情報の一元化を図っておきます。

▶乗務員台帳には上記の記録すべての情報を書き込んでおきましょう。
▶免許証のコピーやその他の書類も運転手ごとにまとめて管理しておくと便利です。

 
乗務員さんは会社の宝物です。
大事に育てて、会社も乗務員さんも幸せな環境を作っていきましょう。
 

追記
運転記録証明書は、全乗務員の分を毎年取得するようにしましょう。
それだけで、セーフティの加点項目1点を取得することができます。

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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