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【法令】白ナンバーにまつわるいろんな?を考える

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法律や規則に関すること

トラック(貨物自動車)にしても、バス(旅客自動車)にしても、ナンバーが緑であることがあたり前のようになっていますが、道路をよく観察してみると、意外に白ナンバーのトラックやバスも走っていることに気が付きます。
 
今回はナンバーが白いことで発生する問題点について考えます。

色は何色?

ナンバーには4つの色があります。
白色、緑色、黄色、そして黒です。

白いナンバーは『自家用』と呼ばれています。
自家用が軽自動車の場合には、ナンバーが黄色になります。
 
対して、緑のナンバーは『事業用』です。
白の場合と同様、事業用が軽自動車の場合に、ナンバーは黒になります。

 

自家用は読んで字のごとく、自分のために利用される車両です。
トラックであれば、積んで走行していいのは、『基本的に』自己の所有物です。
 
『基本的に』と書いたのは、例外もあるからです。
例えば、仲の良い友人の引っ越しを自分のトラックで手伝うような場合です。
この場合、友人から運賃を受け取っていない(対価を得ていない)ので業務にはあたらない、と考えるわけです。

 

ダンプはなんで白ナンバーが多いの?

他人の所有物を運んで『運賃』をもらえば、立派な業務になります。
ダンプカーは砂利や土を運んでいますから、なんとなく緑ナンバーの方が似合いそうです。

ダンプカーに積まれている砂利について考えてみましょう。
郊外にある『砂利の保管会社』が舞台です。
工事用の砂利はここで一時保管され、近県の工事現場に販売、納品されています。
 
★ダンプカーが砂利を保管する会社のものだったら?
この場合、ダンプに積まれた砂利はその会社のモノですから、ナンバープレートは『自家用の白』であることが普通です。
 
★ダンプカーが運送会社のものであったら?
運送会社は他人の荷物(砂利)を運搬することで運賃を受け取っています。
この場合、他人の所有物を有償で運搬しているので、ナンバーは『事業用の緑』がふさわしい、と言えます。

 
上記の2例はわかりやすいですね。
しかし、白ナンバーで走っているダンプの中には、もう一つの多数派勢力があります。

★ダンプカーが砂利販売業者のものだったら?
砂利を保管している会社から10トンの砂利を購入し、工事現場に持って行って販売(砂利を)する場合です。
この場合、砂利はダンプに乗った砂利販売業者のものですから、ナンバーは白で問題ありません。
 
農家の方が自分の1トントラックにきゃべつを乗せて、八百屋さんに納品するようなものです。

 

ゴミ収集車はなぜ白ナンバーが多いの?

この点については、なかなか説明が大変です。
以前にも書かせていただきましたが、再度ご説明します。

★ゴミは他人のものなのに、なんで白ナンバーで運んでいいの?
確かに、産業廃棄物の収集運搬業というのは、ちょっと考えると緑ナンバーの方が適しているように思われます。
 
①運ぶものは他人の所有物だ。
②お金をもらって運搬している。
③継続的な業務である。

 

①について
この問題について問い詰めると、
『このゴミはお客さんが捨てたもんなんだから、うちのもんだなんだよ。』
『だから、白(ナンバー)で運んだって問題ないんだよ!』
などと、ブチ切れるゴミ業者がいます。
 
しかし残念ながら、この説明は間違いです。
実は、ゴミは所有権が移転しません。
例外もあって、詳しく説明すると大変なので割愛しますが、基本的にゴミはゴミになった瞬間の(前)所有者に処理責任があります。
 
ゴミの運搬問題には歴史的な背景も存在します。
これまた説明は割愛しますが、一応、産廃の収集運搬許可があれば白ナンバーでもゴミの収集運搬をしてもいい、とされています。

 

野放し状態の白ナンバー

私が日ごろお話しをする相手は、そのほとんどが緑ナンバー事業者です。
点呼から日常点検、各種指示書の作成まで、毎日大変な思いをされながら車両とドライバーを管理されています。

一方で、白ナンバーのトラックやバスについては、正直なところほとんどが野放し状態で、ほとんど管理らしい管理はされていません。
 
今年の6月28日に、千葉の八街で発生した事故も、そうした野放し状態が生んだ悲劇でした。

 

白ナンバーにも規制は必要

事故車両を所有していた会社は『鉄筋加工』と呼ばれる事業を行っていました。
製鉄会社で作られた鉄筋を、各現場ごとに必要なサイズに切り分けたり、特殊な加工をする会社です。

事故を起こしたドライバーは、自社のトラックで自社の商品を工事現場などに届ける仕事をしていました。
荷物が自社の製品ですから、このトラックは自家用となり、ナンバーは白となります。

 

前述しましたように、白ナンバーは野放し状態です。
日常点検もやっているのかいないのかわかりません。
(まずやってないでしょう)
 
点呼なんかやっているわけがありません。
アルコールチェックもまずほとんどできていないと考えていいでしょう。

 

事故が起きたら白も緑もない

一旦事故が発生した場合の被害の大きさは、ナンバーの色によって違いがでるわけではありません。
事故の結果には、様々な要素が関係しますが、物体の衝突から起きる被害の大きさを決定するのは、重量や速度といった物理の問題です。

私がいつも心配しているのは、白ナンバーのスクールバスです。
多くが時給1,000円くらいのシニアがドライバー派遣されているようなケースで、免許も一種のままであるケースが少なくありません。
 
Click!⇒幼稚園バス 時給1000円のシニアドライバー任せでいいのか?
 
10人乗りのコミューターを使ったロケバスに過度な業務管理を求めていながら、60人乗りの大型バスを使ったスクールバスのドライバーが、『ただの大型一種免許の上に点呼もなし』では、不公平にもほどがある、とは思いませんか?

 

私が間違っていました

私は運輸安全コンサルタントとして、いろいろなトラック事業者、バス事業者をご訪問し、繰り返し点呼の重要性をお伝えしてきました。

トラックを運行する会社の中には、午前4時に始業点呼をしなければならないところもあります。
そんな会社さんに対しては、いけないこととは思いながら、こんな言い方をさせていただいていました。
『とにかく、始業点呼だけはちゃんとやってください。』
『どうしてもできないなら、終業点呼はいい加減でもいいですから、始業だけはきっちりやってください。』

 

なぜなら、点呼は、これからハンドルを握るドライバーの状態を観察するためのものであり、とりあえず無事に帰庫してくれたのであれば、終業点呼は適当でもいいと考えていたのです。
しかし、この考えは甘かった。
 
業務中に飲酒をするようなアホウがこの世に存在するとは考えていませんでした。
私も反省しています。
こんなアホウがこの世に存在する可能性がある以上、終業点呼は必要だと、考えを改めるに至りました。

 

お役所にご提案です

結論、白ナンバーであっても、貨物、旅客には最低限必要な管理は義務付ける必要があると考えます。

2ナンバー、1ナンバー準中型免許以上が必要な車両については、以下の管理を義務付けるべきです。
 
①日常点検表の記載
②管理者による点呼(業務の前後)
③アルコールチェック(業務後も)
④運転者教育(ドライバーは自分一人で勝手に事故を起こします)

 
監督官庁が日ごろから管理をチェックする必要はありません。
しかし、事故が起きたときは、すぐに日ごろの管理体制を確認し、管理不適合があった場合は会社もドライバーと一緒に罰せられる仕組み(多額の罰金など)を作るべきです。
 
この取り組みに大きなイニシャルコストは不要ですし、ランニングコストも特段必要ではありません。
しかし、それなりの抑止効果が期待できると思いますので、ぜひ導入していただきたいと思います。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】