大きな問題点は3つ
毎朝の通勤途中で出会う『幼稚園児のための送迎バス』が心配です。
何が心配かと言うと、いろいろな意味で心配です。
各ご家庭から送迎料は徴収していないのでしょうか?
2.ドライバーさんが高齢であるケースが多い
教育は受けている?
健康診断は?
適齢診断は?
そもそも免許は1種、2種?
3.車両が古い
営業用の車両は3ヶ月に1度の定期点検が求められています。
でも、自家用バスには?
これ以外にも心配ごとはありますが、今回は特にドライバーさんについて考えてみます。
業務用バスのドライバーは制限が厳しい
事業用のバスについても同様のことが言えますが、ドライバーの高齢化は幼稚園バスについても深刻な問題です。
特に白ナンバーで運行されている幼稚園バスについては、運営する幼稚園側にコスト削減の意識が強くあります。
そのため安全に関する投資に問題があるケースが多くみられます。
①65歳以上のドライバーは定期的に国が指定する機関で、適齢診断を受ける義務があります。
適齢診断というのは、加齢に応じて低下してくる自分の運転能力を客観的に理解してもらうためのシステムです。
65歳以下のドライバーさんが受けるのは適性診断と言いますが、それとは別の考え方によるものです。
②事業用バスのドライバーは定期的に健康診断を受ける義務があります。
ドライバーに限らず、労働者は1年に1度健康診断を受ける必要があります。
事業用バスには国土交通省の厳しい指導があり、特に高齢ドライバーの事故が急増している今日では、健康状態の管理は厳しく審査されます。
一方、白ナンバーの幼稚園バスドライバーの多くは、退職後の副業として働くシニアのアルバイトです。
経営状態の厳しい幼稚園が、積極的にドライバーの健康管理にコストをかけているとは考えずらい状況です。
③白ナンバーの幼稚園バスドライバーは一種免許が多い
他人の命を乗せて運ぶ旅客自動車のドライバーには、特に高度な運転技術が求められます。
2種免許はそのようなドライバーに与えられるプロライセンスで、取得するには相応のコストをかけなければいけません。
白ナンバーの幼稚園バスのドライバーは1種免許であることが多く、多くの大切な命を乗せて走る幼稚園バスのドライバーとしてふさわしいかどうか、とても疑問が残ります。
2種は人を運ぶためのプロライセンス
白ナンバーの幼稚園バスのドライバーは2種免許ではなく、その多くが1種免許所持者です。
筆者も最近大型2種免許を取得しましたが、2種を取得するのはそう簡単なことではありません。
①技能講習が38時間!
技能講習は持っている免許によって18時間から38時間まで差があります。
※筆者の場合は大型1種免許を持っていたので18時間でした。
②学科が19時間
2種免許を取得する場合に課せられる学科の教習時間は19時間です。
初めて自動車の免許を取得する方が受ける学科の時間数が26時間であることを考えると、とても長い教習時間です。
2種免許は1種免許を取得してから3年以上経過したドライバーしかチャレンジできません。
ドライバーとしてある程度の経験を持つ者に19時間も何を教えるのか?
一言で言うと『乗客の安全を守る』ための知識とテクニックです。
乗客の安全を守るために必要な知識やテクニックを19時間かけてしっかりと勉強し直すのが、2種免許を取得するということです。
2種免許取得には学科試験があります。
指定教習所で技能試験に合格しても、2種免許を取得するにはもう一つの関門があります。
普通免許を取得するときに受験した、各都道府県の試験場での学科試験です。
これをクリアしているのが2種免許所持者なのです。
時給1000円?
定年退職後の副業として勤務されていることが多いのが、白ナンバーの幼稚園バスのドライバーさんです。
幼稚園運営側のコスト削減意識と、年金受給を意識したドライバー側の副収入感覚が合致した結果です。
このようなアマチュア意識が数字となって表れているのが、白ナンバーの幼稚園バスのドライバー募集広告です。
時給は1000円
これからの日本を担う大切な人材(幼稚園児)を運ぶドライバーの時給が1000円!です。
幼稚園バスに限らず、白ナンバーの送迎バスドライバーの給与はとても安い傾向があり、安全が優先された人員配置体制とは考えにくい状況です。
さいごに
幼稚園バスのドライバーさんの多くの方は、子供と接することを楽しんで仕事をされています。
定年後にできた時間を有効に活用するために、収入源の一つとして考える方もいらっしゃるようですが、多くの方は現役時代にはできなかった『収入とは別の生きがいを求めて』この仕事に従事されているようです。
このようなドライバーさんが活躍されることは、子供たちにとっても非常に利益のあることだと思います。
しかし、私たちはそのような微笑ましい風景とは別に、子供たちにとっての最大利益が何かを考える必要もあります。
子供たちにとっての最大利益、それは言うまでもなく『安全運行の継続』です。
はたして白ナンバーのシニアドライバーに、子供たちの最大利益を守るための安全策が施されているでしょうか?
子供たちに愛情を注ぐシニアドライバーに、いかに安全に継続的に乗務してもらうか。
いろいろと考えてみませんか?
今後もこの問題については定期的に記事を書いてまいります。