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貸切バスやトラックで改善基準告示違反かな?と思ったときの考え方

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

改善基準告示について、『あれ?これは違反かな?』と思ったときの、簡単なチェック方法についてお伝えします。

分割休息?

今回は、北陸地方のお客様からのご質問でした。

★木曜日は改善基準告示違反ですか?
大丈夫だとは思うけど、少し不安・・・
 
①下図のように、水曜日の夜が6時間しか休息期間がとれない。
 
②木曜日は朝6時から2時間勤務して午後から9時間勤務する。
 
③金曜日は休日です。
 

↓クリックすると拡大します。


 
『木曜日の朝6時を基準にしたら、乗務11時間の休息13時間だから大丈夫ですよね?』というご意見でしたが・・・

 

計算は『勤務を始めた時間』から24時間

改善基準告示違反が心配になるような事例が発生したら、勤務を始めた時間から24時間を見ることが大切になります。

★木曜日は大丈夫。
でも、水曜日は改善基準告示違反になる
 
木曜日は大丈夫です。(結論)
その理由は後述しますが、水曜日が違反になっています。
 
水曜日の勤務状態が違反かどうかは、水曜日の勤務開始時から24時間、つまり、水曜日の11時から木曜日11時までで判断します。
 

 
そうすると、水曜日は勤務時間が15時間、休息は9時間のようですが、後半が4時間未満の3時間でノーカウント。
つまり休息期間6時間で、改善基準告示違反となります。

 

いわゆる『寝だめ』は効かない?

1日の拘束時間・休息期間の計算は、その日の勤務開始から計算します。
例えば、ある日、朝6時から夜2時まで働いたとしたら、その後48時間の休息をとったとしても、改善基準告示的には違反となります。

★覚えておこう!要は、24時間で足切りになるということ
 
水曜日を見て下さい。
朝11時に勤務を開始した運転手は、翌日の0時まで13時間勤務し、途中2時間の勤務がありますが、トータル13時間の休憩をとっているように見えます。
しかし、改善基準告示的発想では、木曜日の午後11時から15時までの、『いわゆる寝だめ』は(水曜日の)休息期間としてはカウントされません。
 
結論として、水曜日の休息期間は、前半の6時間と計算されるのです。
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では、ここからは、各曜日の状態をチェックしてみましょう。
 

 
①月曜日はOK
⇒月曜日は13時間の勤務の後、10時間の休息が取れています。
 
②火曜日もOK
⇒火曜日は午前10時から勤務して、23時まで13時間の勤務です。
⇒休息期間は、23時から翌朝10時まで11時間確保されています。
 
③水曜日はNG
⇒水曜日は11時から13時間勤務の後、翌朝6時から更に2時間勤務しています。
⇒拘束時間は15時間で違反ではありませんが、休息が分割となる上に、後半の休みが3時間しかとれていないので、違反です。
 
④木曜日は問題なし
⇒木曜日は6時から勤務開始で、途中に休息を挟みながら、夜12時までに11時間勤務しています。
⇒こちらも分割休息ですが、前半7時間、後半6時間が確保されているので、問題ありません。
 
⑤翌日の休日も問題なし
⇒休日には、連続した30時間が必要とされています。
⇒今回は、木曜日の0時から6時までの6時間と、金曜日の24時間の合計で30時間となります。

 

出勤はいつのことを言うの?

改善基準告示は、基本的に『だいたい同じような時間に仕事を始める人』基準で考えられています。
(あくまでも想像ですが、そう考えないとおかしい)
 
つまり、上記のような出勤時間にムラがある(とは言え、バスやトラックではあたり前)ことは、あまり考慮されていないようです。

この考え方で進めていくと、おかしなところもいろいろあります。
水曜日は11時スタート、木曜日は6時スタートなので、両方を24時間ベースで考えると、木曜日の午前8時から11時までの休息期間は、水曜日と木曜日の両方でダブルカウントされてしまいます。
 
厚生労働省から出ている『改善基準のポイント』に記載された例では、逆に勤務時間が2時間ダブルカウント、なかなか整合性のある解釈は難しい印象です。

 

ただ、ルールはルールですので、皆さんは、ドライバーの勤務時間と休息期間の関係を考えるときは、以下の観点だけで評価するようにしてください。

①スタートは勤務開始時間
勤務開始時間にむらがあり、あるときは朝8時、あるときは夕方5時、という会社もあるでしょう。
巡回指導で指摘を受けたときに、そういうところで屁理屈を言ったり、むやみに嚙みついたりしないようにしてください。
 
なぜなら、こんな反撃を受けるからです。
『では、御社の就労規則を見せてください。
そちらに、御社の始業時間と終業時間がかかれているはずですから・・・』

 
②計算するのは勤務開始から24時間の範囲
24時間を超えた部分の休息期間は考慮されません。

 
正直、改善基準のこの部分は、とても曖昧模糊としていて、実情に合っていません。
また、理解しにくい部分も多いので、今後も実例を元に調べていきます。
何か疑問があるようでしたら、いつでもご連絡ください。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】