サポート先様からのご質問
先日、当社のサポート先様から、以下のような質問を受けました。
お客様 『新しい乗務員が入社したので、適性診断を受けて初任教育の予定も作りました。。』
私 『それでは、教育が終わったら乗務員に選任できますね。』
お客様 『それが、少し問題があって・・・』
私 『どうしたのですか?』
お客様 『実は、コロナの影響で、健康診断の予約が来月半ばまでとれないのです。』
私 『なるほど・・・それは困りましたね。』
お客様 『そこでご相談なのですが、健康診断の前に先に初任教育を終わらせておいてよろしいでしょうか?』
私 『それでは、教育が終わったら乗務員に選任できますね。』
お客様 『それが、少し問題があって・・・』
私 『どうしたのですか?』
お客様 『実は、コロナの影響で、健康診断の予約が来月半ばまでとれないのです。』
私 『なるほど・・・それは困りましたね。』
お客様 『そこでご相談なのですが、健康診断の前に先に初任教育を終わらせておいてよろしいでしょうか?』
雇い入れ時の健康診断はいつまでに?
健康診断は、乗務員に選任する前までに受けておかなければなりません。
この条件は絶対です。
しかし、初任教育(実車訓練)の前までかどうか、という点では少し迷いがありました。
労働安全衛生規則
43条(略)医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(略)
入社前3ヶ月以内の健康診断結果であれば、『雇い入れ時の健康診断結果』として有効に利用することができます。
しかし、一般的には入社日前後に受診させるケースが多く、各種の事情によって遅れる場合であっても、おおむね入社後1ヶ月以内には実施するべきだと考えられているようです。
※明確な指針はなく、『3ヶ月までなら大丈夫』と記載されているサイトもあります。
43条(略)医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(略)
入社前3ヶ月以内の健康診断結果であれば、『雇い入れ時の健康診断結果』として有効に利用することができます。
しかし、一般的には入社日前後に受診させるケースが多く、各種の事情によって遅れる場合であっても、おおむね入社後1ヶ月以内には実施するべきだと考えられているようです。
※明確な指針はなく、『3ヶ月までなら大丈夫』と記載されているサイトもあります。
初任運転者の健康診断については複数の法律を組み合わせて考える
初任運転者の健康診断に話を戻しましょう。
事業用自動車の乗務員の健康診断の時期については、いくつかの法令を組み合わせて考える必要があります。
☑道路運送法
第27条
2項 一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない。
☑旅客自動車運送事業運輸規則
第21条
5項 旅客自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。
☑旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
運輸規則第21条5項における「健康状態の把握」とは、乗務員(事業主等が乗務する場合には、当該者を含む。)が受診する労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項に定める健康診断及び同条第4項の指示を受けて行うべき健康診断を行うこと並びに同条第5項ただし書きの場合において乗務員が受診する健康診断の受診結果を提出させることをいう。
第27条
2項 一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない。
☑旅客自動車運送事業運輸規則
第21条
5項 旅客自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。
☑旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
運輸規則第21条5項における「健康状態の把握」とは、乗務員(事業主等が乗務する場合には、当該者を含む。)が受診する労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項に定める健康診断及び同条第4項の指示を受けて行うべき健康診断を行うこと並びに同条第5項ただし書きの場合において乗務員が受診する健康診断の受診結果を提出させることをいう。
まず道路運送法において、事業者は運転者の健康起因事故を防止するために、『必要な医学的知見に基づく措置』を取る義務があります。
つぎに、運輸規則においては、乗務員の『健康状態の把握』に努める必要があります。
そして、ここで大切なことは、『健康状態の把握』ができていない人間を『事業用自動車に乗務』させてはならない、とされていることです。
そして、事業用自動車に乗務させるためには、運輸規則の定義する『健康状態の把握』が必要で、その手段が①健康診断の受診、②結果の提出と決められているのです。
① 健康状態の把握ができていない乗務員(候補)を事業用自動車に乗務させることはできない。
② 新しく雇用した乗務員(候補)が健康診断を受けていない場合は、この者は健康状態が把握できていない乗務員(候補)である。
③ よって、雇い入れ時の健康診断を受けていない乗務員(候補)に実技訓練を受けさせることはできない。
つぎに、運輸規則においては、乗務員の『健康状態の把握』に努める必要があります。
そして、ここで大切なことは、『健康状態の把握』ができていない人間を『事業用自動車に乗務』させてはならない、とされていることです。
そして、事業用自動車に乗務させるためには、運輸規則の定義する『健康状態の把握』が必要で、その手段が①健康診断の受診、②結果の提出と決められているのです。
① 健康状態の把握ができていない乗務員(候補)を事業用自動車に乗務させることはできない。
② 新しく雇用した乗務員(候補)が健康診断を受けていない場合は、この者は健康状態が把握できていない乗務員(候補)である。
③ よって、雇い入れ時の健康診断を受けていない乗務員(候補)に実技訓練を受けさせることはできない。
貨物であっても同様にお願いします
上記の決まりは、乗務する車両が旅客の乗車しない、いわゆる『空車』であっても同様です。
事業用自動車は一般に車体が大きく、重量も乗用車の比でありません。
つまり、一旦事故が起きてしまえば、社会に与える影響は極めて大きくなることが予想できます。
貨物自動車の場合は、旅客に比較して初任運転者教育についてもかなり甘い印象です。
しかし、一旦健康起因の事故が発生したときの影響は、旅客と同等もしくはそれ以上になる可能性がありますから、貨物自動車の場合も、実車訓練の前までには健康診断を終えるように心がけてください。
しかし、一旦健康起因の事故が発生したときの影響は、旅客と同等もしくはそれ以上になる可能性がありますから、貨物自動車の場合も、実車訓練の前までには健康診断を終えるように心がけてください。
【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】