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【旅客】【貨物】営業所の廃止に関してあれこれ

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実務全般について

栃木のお客様からのご依頼で、貨物自動車運送事業の営業所廃止申請を行ったので、少し気になった点について記事にしておきます。

営業所の廃止は認可申請

新型コロナ感染症拡大の中で、当社に寄せられる質問の中で、営業所の『休止』はできるの?というものがありました。
結論から言うと、営業所に関しては、『休止』という概念がありません。
 
営業所の維持負担を減らしたいと思ったら、事業全体を休止するか、営業所を廃止するしかありません。

認可とはなに?
例えば、トラックやバスを使った運送事業を始めようと思ったときには、担当する行政庁の許可が必要になります。
許可というのは、法律で(許可がなければ)禁止されている行為を行えるようにするためのものです。
 
一方で、認可は、行うこと自体は禁じられていないけれども、行政庁が認めなければ成立しない行為のことを言います。
 
バス事業を例にとると、営業所を移転するのは自由だけど、行政庁が『認める』という行為をしなければ法的に成立しないよ、ということです。

 

申請から認可までどれくらいかかる?

行政庁の認可には、標準処理期間というものが設けられており、運輸局の場合は、おおむね1ヶ月から3ヶ月が設定されています。
 
『営業所を廃止する』という決定が社内でなされたということは、この営業所が不要であると判断されたということであり、会社としては、できるだけ早く処理をしたいと考えているはずです。

営業所の廃止の認可申請をすると、関東運輸局管内の場合、おおむね1ヶ月から2ヶ月の処理期間が必要です。
つまり、その間は勝手に廃止してもいいけど、認可が下りていないので、法的には成立していないことになります。

 

運行管理者や整備管理者はどうなる?

営業所廃止の認可申請をしてから、認可になるまでの間、営業所の廃止は成立していないことになります。
つまり、運行管理者も整備管理者も選任したまんまでなければならない、ということです。

運送業の管理者というのは、全国レベルのデータベースでひとりひとりの選任状況が管理されています。
よって、一つの会社で(運行や整備の)管理者に選任されていると、基本的には、別の会社で同じ人を選任することはできない、ということになります
 
つまり、営業所の廃止申請を行ったとしても、すぐに運行管理者や整備管理者を解任することはできないので、認可が下りるまではそのまま勤務してもらうことになります。
 
注:会社に別の運行管理者がいるのであれば、その方と交代することは可能です。

 

上記の話には少し例外があります。(『ありました。』というべきか・・・)
 
どこの運輸局かは言えませんが、貸切バスの営業所廃止を申請した際に、支局の方から『運行管理者さんと整備管理者さんは解任しますか?』と尋ねられ、『はい』と答えたら、『すぐにやりますか?』と聞かれたことがあります。
そして、結論から申し上げますと、すぐに解任できました。
 
ひょっとしたら、支局の方がまちがえたのかもしれませんね。

 

車両はどうなる?

車両についても同じような考え方ができます。

今回の場合、営業所に20台のトラックが所属していました。
実際には、半年くらい前から『営業所の廃止計画』について伺っていましたので、最低必要な5台にまで減車しておきました。
 
この残った5台については、廃止の認可申請が下りなければ、連絡書は発行されず、移動したり、廃車することもできません。

 

巡回指導の予定がはいっていたらどうなるの?

廃止を決定した営業所に、トラック協会の巡回指導の予定が入っていたらどうなるのでしょうか?
こちらは、まだ結論がでていません。
わかった時点でお知らせするようにします。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】