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【雑談】1年で52倍

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行政書士法人ココカラザウルス

▶あたり前だが、会社の売上や利益の話ではない。
第一、そんな景気のいい話があれば一人ニヤニヤしているだけで、他人には絶対に話さない。
しかし、この52倍はもっともっと嬉しい話である。
 
▶実は、我が家でもっとも年少のネコが無事に1歳になることができた。
 
『ネコが1歳になるなんて当たり前だろ?』
 
普通はそうだ。
我が家にはネコが4匹いるが、私も皆さまと同様、今までは飼いネコが1歳になれたことに、特段の感慨は抱かなかった。
 
しかし、今回は特別だ。
なぜなら、この子はたった100グラムのときに我が家に拾われてきた子ネコだからだ。
 
▶我が家の隣には、私の両親が住む家がある。
私の家と、両親の家の間から子ネコの鳴く声が聞こえたのは、昨年の10月頭のある夜のことだ。
聞こえるか、聞こえないかの、か細い声で、2匹の子ネコが鳴いている。
 
実はこのような体験は今回が初めてではない。
今から3年前の同じ時期に、やはりほぼ同じ場所で、決してか細くはないが、とにかく子ネコの鳴き声がした。
この時は、心配になると言うよりも、あまりに大きい鳴き声と、そのしつこさに呆れて拾ってきてしまった。
ビロードのような美しい被毛に覆われた、カギしっぽの黒猫を『キキ』と名付けた。
 
▶『キキの母親がまた生んだか・・・』
キキのときよりも、明らかにか細く、弱々しい鳴き声に、正直なところ保護するかどうか迷った。
しかし、だんだん小さくなっていく鳴き声の主をそのままにしておくことはできず、結局2匹の子ネコを保護することになった。
 
保護はしてみたものの、さすがに後悔した。
とにかく小さいのだ。
 

 
ジジと名付けた黒猫は100グラム。
シロミ―と呼んでいたハチワレの子は80グラムしかなかった。
2匹とも順調に育っているかに思えたが、4日後の朝、シロミ―は急に体力をなくしてそのまま旅立った。
悲しくて、悔しくて、娘の前で号泣した。
 
▶黒猫のジジは少しずつ体重も増えていったが、まだまだ予断を許さない状況が続く。
ミルクの飲みも細いし、おしっこは出るもののウンチが出ない。
綿棒を突っ込んで出せばいいのかもしれないが、怖くてできないので、2日おきに獣医さんに通う日々が続いた。
 
『よく育てましたね。もう大丈夫だね。』
 
獣医さんからお墨付きをいただいたのは、生後1ヶ月半くらいになったころだ。
この頃には、育て始めたころが嘘のように、お兄ちゃんやお姉ちゃんのゴハンを略奪するほどの成長を見せてくれた。
 
▶おかしいぞ?なんだか大きくないか?
 
成長するにつれ、黒猫ジジは今までのネコとはちょっと違うことがわかってきた。
まず、手足が太い。
胴回りもとても太い。
そして、力が半端なく強く、重い。
 
3歳の黒猫キキと、このジジとの間に、まるという三毛ネコがいる。
娘が親友から譲り受けた子で、とにかく美人。
小さいころに雑誌に応募していれば、100均のカレンダーの一部を飾るくらいにはなれたのではないか、と思う。
長じて、声だけが『タバコ屋のばあさん』のようになってしまい、それはそれで面白いが、見栄えの良さはそのままで、もともと小柄、今でも2.5キロくらいしかないまるを、ジジは半年くらいで抜き去ってしまった。
 

 
▶もう一つ意外だったのは、被毛の長さだ。
我が家の周辺を徘徊するノラネコ達は、そのほとんどが私の顔見知りである。
私の見立てによれば、ジジの母親は、キキと同じ、ないしは、キキの兄弟であると思われる。
しかし、父親は?
 

 
こんなに力が強い、大きなオスは我が家の周辺にはいない。
また、長毛の遺伝子を持つオスにも心あたりがない。
こんなことがあるから、ノラネコの世界は面白い。
 
▶迎え入れたときに100グラムだった体重は、1年で5.2キロになった。
真っ黒な身体に、長い被毛。
しっぽはカギどころか、完全にロールしてしまっているので立派なボブテイルだ。
パッと見には、黒のポメラニアンにも見えなくはない。
 

 
新型ジムニーにそっくりなビックリ顔は、かわいそうなくらいにブサイクだが、性格がとてもいいので、家族の誰からも愛されている。
家族の中では私に特に懐いていて、庭でなにかをしていると、窓際でずっと鳴き続けている。
 
▶この子たちの命を助けたのは私たち家族だ。
しかし、今はこの子たちに、日々の生活の中で癒しをもらい、助けられている。
 
今年も9月に5,6匹の子ネコが我が家の庭先で生まれた。
助けるかどうか、散々迷ったが、親猫がしっかり子育てをしていたので、邪魔はしなかった。
1匹だけが大きく育ったが、他の子の姿は見えなくなってしまった。
保護しなかったことを激しく後悔したが、もうあの子たちの姿を庭先で見ることはない。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】