最近、独立希望の会社員から相談を受けることが多くなってきました。
私も独立してから4年が経ち、スタッフに給料が払える程度にはなってきました。
ここまでの道のりは相応に大変でしたが・・・
今日は雑談として、50代、60代からの独立について、思いつくままに書き連ねたいと思います。
独立=ストレスフリー?ではない
様々な出版物で『中年サラリーマンの独立』がテーマとなり、よく売れているようです。
ここで言う『独立』とはイコール起業のことでしょうから、『会社を辞める⇒事業を始める』ということです。
夢がありますね。
今現在、抱えているストレスの多くは組織から与えられているものでしょうから、そこを飛び出せば一気に問題は解決します。
しかし・・・
大丈夫かな・・・
生活はできるのかな?
貴方の武器は何か
40代後半から50代になって、組織を飛び出そうと考える人の多くは、組織の中でそれなりに業績を残すことのできた人です。
だからこそ、今の状況に満足できずに外の世界に活路を見出そうとするわけです。
今まで活躍してきた組織とその組織を取り囲む環境から飛び出すとき、必要になるのは対価をいただけるだけの価値です。
カッコよく言えば武器と言っていいですね。
『私はコレならヒトから金をもらえる。』
と自信もって言えるような力のことです。
あれ?足りない
武器だと思っていたものが武器でなかった。
いや・・・武器は武器だったのだが、パーツが足りない。
こんな例が私の周囲でもよく起こっています。
ピストルはピストルだけでは本来の機能は発揮できません。
銃弾も銃弾だけではあまり役に立ちません。
至近距離から投げてぶつけるなら、そのあたりに落ちている石ころの方に分がありそう。
弾の入っていないピストルは棒のかわりにしかなりません。
組織の看板の威力は思った以上に大きい
パーツが足りなくて、自分の武器が武器にならないという間違いが起きたとき、その足りないパーツは多くの場合、直前までいた組織に残っていることが多いようです。
しかも、その足りないパーツは以前の名刺に書き込まれた会社の名前であることがほとんどです。
つまり、独立起業した方が武器だと思っていた営業力やマネジメント能力という弾丸は、在籍していた○○商事や××電機の社名というピストルがなくては発砲することができず、その辺の石ころにも劣るような能力しか発揮できない可能性がある、ということです。
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武器は単独で使えるものを
独立するなら、今いる会社の名前やそこでの肩書という武器がなくても使える、それなりの殺傷能力がある武器を手に入れましょう。
私の場合のそれは行政書士や中小企業診断士といった資格でしたが、人によっては知識であったり、経験であったり、ひょっとすると金であったりと様々でしょう。
繰り返しになりますが、今自分が武器と思っているものが、本当に単独で使用することができる武器なのか。
もっと言えば、外国とまで言わないまでも、東京の人が熊本で開業したときに使える武器なのか、くらいは分析した方が失敗しなくて済むはずです。
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売り物になる営業力=バイ
営業力が武器だと考えている独立希望の方・・・
武器になりうる営業力のお手本、わかりますか?
それは、フーテンの寅さんのバイです。
見知らぬ土地で見知らぬ人を相手にバイ(売)をやって、それでオマンマが食べられて酒も飲める。
これが武器になる営業力を持っている、という意味です。
※昔の取引先を呼び出して、『おい!仕事よこせよ!!』なんてやっている人がいますが、大間違いです。
私も会社員時代は営業でお金をいただいていましたが、私には見知らぬ土地でバイをやる器量も能力もない、とある意味冷静に自己分析していたので、独立の武器として資格を選びました。
『一定の価値がある国家資格に、今まで培った営業力がプラスされれば、何とかお金になる』、と判断したのです。
営業力、マネジメント能力など、会社員時代の武器はいろいろありますが、少しこのような目線で自分の武器の価値を冷静に値踏みしてから独立しても遅くありません。
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知り合いが助けてくれることも
独立開業のためには、周囲の協力が欠かせません。
特に、会社員時代のお客さまが継続して支援してくれる場合があり、それは本当にうれしいものです。
実際のところ、起業した直後の不安定な飛行状態の中で、少しでも浮力を与えてくれる援助者の存在は安定飛行に移るまでの期間に欠かせない要素です。
独立した直後から新規の顧客に恵まれることはほとんどなく、誰しも最初はこのような支援者の援助を受けて一人前の経営者に育っていくのです。
起業が成功=人間関係が一度リセットされること
起業して3年間くらい、地道に我慢ができると程度の差はあれ多くの場合、始めた仕事が軌道に乗ってきます。
新規に始めた仕事が軌道に乗る=新規のお付き合いが増える
となります。
独立直後は以前の人間関係しかありませんが、3年も経つと独立後の人間関係のウェイトが全体の8割を超えるようになってきます。
だからこそ喰えるようになるのですが、この状態は要するに今までの人間関係をリセットすることに他なりません。
今までの人間関係を粗末にするわけではないのですが、意識から遠のいていく状態が、新しい仕事で喰えるようになったということだと思います。
スモールビジネスという魔言にだまされるな
50代からの独立はスモールビジネスで。
こんな甘い言葉で50代の独立を誘う出版物が増えています。
確かに、50代になってからの独立は私の場合も同様、スモールビジネスにしかならない場合が多いでしょう。
しかし、スモールだからと言ってリスクがなく、ずっと喰えるわけではありません。
無暗に高いリスクで高い配当を狙う必要はありませんが、リスク0の商売が存在しないことも確かです。
そもそも、『安定収入を得られる会社員を辞めて、独立、起業したこと』が立派なリスクですから、その後の商売が大きかろうと、小さかろうと人生の危険ゾーンに入ったことに違いはありません。
スモールビジネス=なんとなくリスク0で喰える、と考えるのは危険ですよ。
『そんな大それたことは考えてないんですよぉ、食べていける程度でいいんですぅ』
何を言う・・・その食べていくのが大変なんだよ・・・
年収500万円を維持することの意味
新しく始めた商売が、粗利益率80%で利益すべてを給料にできると考えます。あり得ませんが・・・
すると年収500万円を維持するには年間売上625万円が必要。
年間売上625万円を達成するには、月間売上52万円が必要
月に52万円分の請求書を書くんですよ、自分の名前で。
1社10万円もらっても5社必要。
10万円払ってもらえるサービスを提供するのに何日かかります??
あなたが武器だと思っているサービスにその価値がありますか???
何とかなるけど後悔しないでね
独立して成功するかどうかは本当にわかりません。
でも、何とかなることはなります。たぶん・・・
しかし、失敗しても借金がなければ、もう一度会社員に戻るという選択肢もあります。
人生一度きりですから、やらずに後悔するくらいならやった方がいいと思います。
結果がどうであれ、後悔だけはしない。
そう強く思っているのならやり切れるかもしれません。