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【旅客】新しくバス運送を始めたいと思ったら読んで下さい

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その他

当社には、いろいろなお問合せが来ますが、その中でも割と頻度が高いものが、バスを始めたいんだけど、どうすればいい?というもの。
 
そこで今回は、そんな希望を持った方が最初に読めば、いろいろ疑問が解決するような記事を書かせていただきましょう。

本当にバスでいいの?(バス?タクシー?)

当社にお問合せをいただくお客様(候補)の中で、圧倒的に申し込みの多いのが、バスの新規申請。
しかし、よくお話を聞いてみると、お客様はバスという形の車を使った仕事がしたいだけであって、その思いが必ずしも、いわゆる『一般貸切』や『一般乗合』、『特定旅客』を指すわけではありません。

バスのような形の車両でも、用途によって、許可の内容は大きく違ってきます。
 
一般貸切
いわゆる貸切バスで、運行の自由度という点では一番です。
しかし、運行が自由であるということは、行政の管理が厳しくなるわけで、運行管理については、かなり厳しいルールが課されています。
 
一般乗合
私たちが、鉄道の駅などからよく利用するバスのことです。
定期的に同じルートを走行するのが基本です。
運行の自由度はほぼないに等しいですが、一度許可されると安定した収益が見込めます。
 
一般乗用
タクシーやハイヤーを運行するときに必要になる許可です。
定員10名以下であれば、ほぼ車の制限はないので、始めやすい業態です。
しかし、需給関係について行政の指導があるため、経営したい気持ちはあっても申請すらできないことも珍しくありません。
 
特定旅客
決まったお客様を、決まった場所まで送迎するための許可です。
車の制限は、かなり緩くなっています。
許可もむずかしいものではありませんが、一つだけ、大きな維難問を解決する必要があります。

 

ターゲットは誰?

行政書士に☎をしてきて、いきなり
『乗合バスをやりたいのですが・・・』
とおっしゃる方にはお会いしたことがないので、今回はそれ以外の、一般貸切、一般乗用、そして特定旅客について、その違いや許可のメリットデメリットをお話します。

旅客運送事業の許可申請にあたって、まず最初に検討しなければならないのは、ターゲット(旅客)を誰にするの?というところです。

 

お客様が決まっているならコスパ最高の特定旅客

例えば、学校であったり、企業さんであったり、乗車するお客様が決まっているのであれば、特定旅客が最適と言えるでしょう。

特定旅客は、決まったお客様を、決まった場所に送迎するというイメージですから、許可の要件や、許可後の管理も少なくなっています。
 
▶決まったお客様の範囲
同じ工業団地で働く人たちであれば、別々の会社でも実質的に単数(決まったお客様)と考えてよいことになっています。
 
▶決まった場所の範囲
別に一ヵ所である必要はありません。
テレビ番組制作会社などとの契約で、複数の別スタジオへのルートを登録することも可能です。
 
▶特定特有の難問とは?
クリームスキミングという問題は、必ず解決する必要があります。
この点については、以下の記事をお読みください。
 
【特定バス】企業送迎や学校送迎に便利な特定バス申請の注意点

 

海外のセレブを相手にするなら一般乗用

一般乗用で利用できるのは、乗車定員が10名以下の車両です。
逆に言うと、豪華仕様のアルファードや、リムジンなどは、一般乗用でなければ利用できないということになります。

▶許可が下りない地域がある
一般乗用は、タクシーやハイヤーの許可です。
需給関係が非常に重要な事業体系なので、行政による制限のかかることがあります。
つまり、地域(営業区域)によっては、申請すらできない状態も考えられるのです。
 
▶台数が5台~10台必要
こちらも厳しい条件のひとつです。
福祉限定の場合は、1台からでも可能ですが、それ以外は地域によって5台から10台の最低台数制限がかかります。
 
▶許可になってしまえば、後は楽勝?
1台の車両で乗せられる乗客の数が少ないので、許可後の行政管理は、貸切に比べてそれなりに甘い印象です。
※貸切に比較して、『一度の事故での被害者が少ない』という、割と生々しい事情でしょう。

 
インバウンド需要の中でも、リピート率の高い海外セレブを狙うなら、一般乗用の一択でしょう。
2ナンバーの車両(乗車定員11名以上)では、どうしてもディーゼルエンジンの比率が多くなるので、少々快適性が損なわれる部分があります。
しかし、3ナンバーの多気筒ガソリン仕様車なら静かで快適なクルージングが楽しめ、一定のニーズがあるはずです。

いろいろな用途に対応したいのなら、一般貸切

観光から工場や学校の送迎まで、いろいろな用途に対応したいのであれば、やはり一般貸切が一番お得でしょう。

▶車両は乗車定員11名以上(2ナンバー)
いろいろなニーズに対応できる一般貸切ですが、この条件だけは守る必要があります。
新規の許可については、中小型限定であれば、3台から申請することができます。
※大型バスを運行するなら5台以上
 
▶条件さえ揃えば、必ず許可になる
一般乗用のような需給調整はありません。
許可の条件が揃えば、必ず許可になります。
 
▶行政の管理は厳しい
一度に50名以上のお客様が乗ることもあるので、一度の事故の被害が拡大しやすいのも、一般貸切の特徴と言えます。
よって、運行管理や教育、収益構造にいたるまで、様々な角度から行政の管理(監視)が入ります。
 
▶行政が収益を確保してくれている?
コストダウンによる危険な運行を防止するため、運賃について最低ラインというのが制度化されています。
建設業の一般入札における最低入札金額の決まりと同じ理屈です。
※コストダウンと言えば聞こえがいいですが、要するにダンピング合戦です。
 
▶送迎に対応した年間契約の特則があります
一般貸切としての資格も残しながら、送迎業務に対応するために、公示運賃から約3割減じた運賃で運行することができる料金体系も用意されています。

 
同じように見える緑ナンバーのバス(のような形をした車)ですが、それぞれの用途によって、厳密にできること、できないことが決まっていることがわかりました。
 
まずは、最初にどんなお客様を乗せて、どんな運行をしたいのかを考えてみましょう。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】