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【旅客】【貨物】回送するときの点呼について

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実務全般について

今回は、先日当社のサポート先から質問された事がらを題材にして書かせていただきます。
 

回送のときに点呼は必要?

バスやトラックの整備や車検のために、空車のまま回送することがあります。
この場合、運転手の点呼は必要なのでしょうか?

実は微妙な案件です。
と言うのも、貨物自動車運送事業安全規則、旅客自動車運送事業運輸規則などを細かく読み込んでみても、空車の点呼についてはまったく書かれていないからです。
そこで、関東運輸局さんにお尋ねしました。
 
結論:よくわからない
やはり、規則にも書かれていなければ、通達などの文書もありません。
しかし、大事なことがわかりました。
 
空車でも点呼は必要とは書かれていませんが、同時に空車のときは点呼不要とも書かれていないのです。
つまり、点呼不要と明示されていない以上は、大きな声で不要とは言い切れない、ということです。

 

ディーラーの営業マンも点呼の対象??

しかし、ここで困ったことが・・・
車両を整備工場やディーラーに回送するため、ディーラーの営業マンが運転する場合もあります。
この場合も点呼は必要なのでしょうか?

回送時に点呼が必要かどうかについての判断は、最終的には個別事案の検討ということになりそうです。
 
例えば、上記のような『整備目的の回送』の場合は、『純粋な意味での事業用自動車の使われ方ではない』ので、点呼が不要としても問題ないと思われます。
しかし、車両の配置換えや翌日の配車のための移動であれば、『事業用自動車本来の使われ方』のために一般道を走行していると言えるので、この場合は点呼が必要になるものと考えられます。
 
つまり、回送時に点呼が必要か不要かについては、管理者の判断が必要という、とてもメンドクサイことになるのです。
 
それなら、『悩む前に、全部点呼した方がいいんじゃない?』
というのが、当社の意見です。

 

2022年4月から白ナンバーにも点呼とアルコールチェックが必要に

皆さんよくご存じのように、来月から白ナンバーであっても一定の条件を満たすと、乗務前後のアルコールチェックが必要になります。

一定の条件とは?
乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持、又は白ナンバー車5台以上を保持することです。
原付を除く二輪車は0.5台で計算します。

 
白ナンバーの車両にアルコールチェックが義務化される以上、緑ナンバーについて、たとえ回送目的であったとしても、アルコールチェックは必要となるでしょう。

例外をなくして点呼した方が簡単

当社のサポート先からの問い合わせに対する、質疑応答を書き残しておきます。

①車庫から車庫への回送時にも点呼は必要か?
ケースバイケースです。
 
②4月からは白ナンバーでもアルコールチェックが必要なのでは?
条件を満たすのであれば必要になります。
 
③緑ナンバーの回送のときは、点呼ではなくアルコールチェックだけでいい?
点呼が不要なケースでは、アルコールチェックだけすればいいでしょう。
しかし、当社としてはアルコールチェックだけでなく、点呼もすべきと考えています。
 
その理由は、点呼やアルコールチェックのように、日々行われるルーティンは、運用に差を設けることで却って実行が困難になるからです。
緑ナンバーで実車(が前提)の場合は通常の点呼をやり、回送や白ナンバーの運行の場合はアルコールチェックのみ、とすると、『アルコールチェックのみ』の部分に抜けが生じたり、チェックの不備が発生する危険性が高くなります。
 
より実効性を高めるのであれば、無駄に差を設けるのではなく、緑ナンバーの実車はもちろんのこと、回送の場合も、白ナンバーの運行の場合も、すべて(事業用レベルの)点呼が必要としてしまった方が簡単で、運用も確実です。

 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】