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貸切バス 直近年度債務超過プラス直近3期赤字で更新不可?

2019年9月22日08時36分

一般貸切旅客自動車運送事業には事業許可の更新制度が導入されています。
具体的には5年に一度、国土交通省の許可(更新)を受けなければ、事業を継続することができません。
そしてこの更新許可には、直近3事業年度での財務状況にしばりがあります。
 
来年、更新時期を迎えるのに現在債務超過である。
今期の収支もあまり芳しくない。
このような場合、会社はどのような対策をとっていればいいのでしょうか?
また、財務状態が更新の条件を満たさないとき、会社はどうすればいいのでしょうか?
 

財務諸表のどこを見る?

更新許可には、直近3事業年度の財務状況に条件(しばり)があります。
具体的には、直近事業年度で債務超過で、かつ直近3事業年度の収支が連続して赤字の会社の許可更新は認めないという内容です。

▶債務超過
貸借対照表の純資産の部を見るとわかります。
例えば、資本金が1000万円で、繰越利益剰余金が▲1500万円の場合などを言います。
 
▶収支が赤字
損益計算書を見ればわかります。
この場合の収支とは、税引き後の純利益(純損失)を見ます。

 

債務超過とは?

債務超過とはどのような状態のことでしょうか?
簡単に説明すると、直近事業年度の最終日に会社を清算しても、まだ借金が残る状態のことです。
つまり、財務全体が赤字ということです。

貸借対照表(B/S)の左側は、会社が今現在持っている資産のリストです。
現金や預金、売掛金などの流動資産から、バスや洗車機、営業所の土地建物などの固定資産が実体ベースでリスト化されています。
 
右側には、左側の資産をどのようにして手に入れたかが示されています。
上の方には借りたお金について書かれており、短期的なものと長期的なものに分かれているはずです。
長期的なものの中には、経営者からの借入金なども含まれています。
 
▶債務超過ではない会社
財産 1,000      借入金 800  純資産 200
会社にある資産1,000を、借入金と自分のお金で手に入れています。
今精算すれば、借金を返して資産200が残ります。
 
▶債務超過の会社
財産 1,000      借入金 1,100  純資産 -100
借り入れした資金の一部が資産として残らず、営業損失の穴埋めに使われています。
体力が不足した状態と言えます。

 

収支の状態はどこで判断する?

収支が赤字ということの意味は簡単です。
売上高からかかったお金を引いたらマイナスになったということです。

『営業収支がマイナスになる』と一言で言っても、深刻度のレベルに差があります。
一般的には、『赤字になる場所が、損益計算書の上の方である方がより深刻』と言えます。
 
▶一番深刻なのは、売上総損失
総売上高から直接的な原価を引いた金額がマイナスなのですから、かなり深刻です。
はっきり言ってしまうと、『経営しない方がいい』状態です。
▶次に深刻なのは、営業損失
売上総利益から販売管理費を引いたら赤字になってしまった場合です。
この場合は、本業で黒字がでていますから、販売管理費のリストラなどで改善する余地があります。
▶営業黒字だが経常損失
営業利益はちょっぴり確保したけれども、借入金利などを支払ったら赤字になってしまったケースです。
この程度の赤字はよくあることで、それほど大きな問題ではありません。
大事なことは営業利益が出ていることです。
▶経常黒字だが特別損失があって純損失になってしまった。
問題ありません。
特別損失は文字通り『特別な損失』ですから、ある意味仕方ないと言えます。

 

事前に準備できることは?

では、貸切許可の更新が許可されないような状況にならないように、事前に財務的にはどのような対策がとれるのでしょうか?
この記事を読んで下さっている事業者さんの更新期限が来年であった場合、今できることは何なのでしょうか?

【具体例:現在債務超過・前期2期赤字決算・今期も危ないバス会社の場合】
▶現在<決算月<更新期限が条件
この場合であれば、ある程度の対策をとることができます。
直前期の決算がこれからですので、損益計算書の数字をよくすること(つまり黒字にする)ことで問題は解決です。
具体的な方法について考えましょう。
 
①減価償却をしない。
一番簡単な方法は、減価償却を止めて運送原価ないしは販管費を落としてしまうことです。
②役員報酬を落とす。
この方法は次の決算まで9ヶ月以上の時間がないとできません。
③特別利益を出す。
使わないバスを売却するなどして、特別利益をねん出します。
④役員借入金などの債務を免除する。
免除された借入金は、会社から見たときには利益となります。

 
担当されている税理士さんによっては、上記のような方法を大変嫌がる方もいます。
更新には税理士さんの証明書が必要なこともあり、なかなかケンカしづらい状況でもあります。

①の方法は、法律的にも何の問題もありません。
問題があるのは、融資を受けようとする銀行の心証だけです。
しかし、その場合でも銀行の担当者に事前に『減価償却を法定通りにやらないこと』の説明をしておけば大丈夫です。
 
③は意外と多くの会社がやっています。
この方法が通用する理由は、収支の判断が純利益(損失)部分で判断されるからです。
もしも収支の判断が営業利益(損失)であったら、かなり厳しい経営判断を迫られます。
 
④の方法もよく使われる手法です。
この点については後述します。

 

役員借入金を資本金に振り替える?

多くの中小企業の財務諸表には『役員借入金』の項目があります。
この社長からの借金を帳消しにすることで、直近の財務諸表を黒字化することが可能です。

役員借入金は『社長が会社に貸したお金』のことです。
多くの中小企業の場合、『会社』=『社長』ですから、社長から会社に貸したお金は出資と同じ意味と考えても問題ありません。
 
①資本金に変えることはできる?
役員借入金の時価はゼロと評価されることが多いので、資本金への振り替えは困難です。
②免除された借入金は利益になる?
時価がゼロですから、評価益がでます。つまり利益になります。
この場合、決算で特別利益に計上されて、その結果マイナス利益剰余金が少なくなります。

 

すでに対策が取れない場合は?

もしも更新間近で、上記のような対策が取れない場合はどうすればいいのでしょうか?
つまり、債務超過で、直近3期の収支が赤字の場合です。

いろいろな方法があります。
あまり具体的な内容を書くといろいろ問題がありますが、簡単に言えば『債務超過であっても、直近3期連続赤字であっても』経営に問題が生じないことを証明することが必要です。

 
各運輸局によっても対策が違いますので、お困りの事業者さんはお気軽にご相談下さい。
財務に詳しい中小企業診断士が各運輸局と協議の上、問題を解決いたします。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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