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【行政書士】又は?若しくは?『令和2年9月10日公示の改正より』

2020年9月27日11時30分

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

貨客の条件が変わりましたけど・・・

『旅客自動車運送事業者が、旅客自動車運送事業の用に供する使用する事業用自動車を用いて貨物自動車運送事業を行う場合において・・・・』
 
簡単に言うと、貨客の許可に関することなのですが、この9月に若干の修正がありました。
しかし、今回の話題はこの修正に関することではありません。
 

行政文書は読みにくい・・・

行政文書というのは、とかく読みにくく作られています。
※わざとやっているわけではない、と思う。
私たちが日ごろ雑誌や新聞などで目にする文章は、時代の変化とともに表現の方法も変わり、常に変化しています。
口語(しゃべる言葉)の要素が多く取り入れられているために、読みやすくなっているのです。
 

一方、行政文書というのは、その厳格なルールが時代と共に変化することはほぼありません。
理由は簡単で、このような文章の基礎となっているのが、法律文書だからです。
今年大改正された民放が施行され、新しくできた条文が多少読みやすくなっている印象はありますが、読み慣れていないとすぐに眠くなる点ではあまり変わりません。
 
およそ役所から出てくる文章というのは、この法律文書のルールが固く守られているので、『読みにくい』という点では法律に劣りません。

 

又は?? 若しくは??

前置きはこれくらいにして、早速今回の改正について見てみましょう。
まず、前半部分です。

(旧)
貨物運送を行う区域は、発地又は着地が過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項に規定する過疎地域又は同法第33条の・・・(略)
 
(新)
貨物運送を行う区域は、発地若しくは着地が過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項に規定する過疎地域若しくは同法第33条の・・・(略)
 
新旧対比の形で示されているのですが、ここまで読んだところで『え?』という感じになりませんか?
『又は、が、若しくは?? 何がどう違うん?』
パソコンやスマホでこの公示の文章を読んでいる方は、すぐに【又は 若しくは 違い】と検索されたことでしょう。

 

主食又はデザート

実は、『又は』、『若しくは』はほとんど意味が変わりません。
ただ、法律文書において、この二つは意味は同じでも用法が大きく違うのです。

『又は』も『若しくは』も、『どちらかを選んでね』のニュアンスは一緒です。
ただ、使用方法に違いがあります。
分かりやすくするために、ファミリーレストランのメニューを参考に考えてみましょう。
 
★ファミリーレストランでランチセットを頼む場合の例
☑ 主食に『ライス』『パン』『ピザ』が選べる場合
『ライス又はパン又はピザを選んでいただくことができます。』
この場合、主食として、ライス、パン、ピザの中から一つを選ぶことができます。
 
☑ 食後のデザートを選べる場合
『アイスクリーム又はミニケーキ又は和菓子をえらんでいただくことができます。』
この場合は、デザートとして、アイス、ケーキ、和菓子から一つを選ぶことができます。
 
では、勇敢なるダイエッターのために、主食かデザート、どちらかを選択するシステムになっている場合はどうでしょう?
『主食としてライス若しくはパン若しくはピザ』又は『デザートとしてアイスクリーム若しくはミニケーキ若しくは和菓子』をお選びいただけます。
 
この場合、まず主食を取るか、デザートを取るかの二者択一を迫られていることになります。
そして、主食を取った場合と、デザートを取った場合で、今度は3つずつの選択肢が用意されているわけです。
主食、デザートの両方をいただきたい場合は・・・
もちろん、追加料金を支払うことになるでしょう。

 

条件が増えただけでした

つまり、これまで又はでつながれていた部分が、若しくはに変更された場合、その後に条件が増やされていると考えるればいいのです。
『又は』で単純に接続できていた条件が『若しくは』『又は』の二つを使分ければならなくなったわけですね。

今回の公示もまさにその通りでした。
長い文章なので要約しておきましょう。
 
【要約文】
(旧)
発地又は着地が法で定められた過疎地域又は別条文に定められた過疎地域で人口が3万人に満たないものとすること。
 
(新)
発地若しくは着地が法で定められた過疎地域若しくは別条文に定められた過疎地域で人口が3万人に満たないものとすること、又は発地若しくは着地が法で定められた過疎地域若しくは別条文に定められた過疎地域で人口が3万人以上の市町村において、市町村の合併前に過疎地域であった人口3万人未満の地域が含まれる区域とすること。
 
青字の部分が、『又は』を利用して新しく付け加えられた条件です。
 
今までの条件は、
①法律で定められた過疎地域
②別条文で定められた3万人未満の地域
のいずれか
 
だったのですが、これに加えて
 
③別条文で定められた3万人以上の地域でも、合併される前は3万人未満だったところ
 
という条件も加えられたので、『又は』の繰り返しではなく『若しくは』を使うようになったということです。

 

行政文書はこうやって理解する

許認可が関係してくる事業を営んでいると、行政からの通達や公示を読む機会も少なくありません。
そのような場合に、『又は』『若しくは』などの接続詞が多く使われていることに嫌気が差す方も多いのではないでしょうか?

法律文書(それに準ずるもの)を書く人というのは、基本長いセンテンスの方が偉くて立派という妄想にとりつかれています。
先の公示など、本当は『又は』や『若しくは』を多用するよりは、①・・・②・・・というように条件を箇条書きにした方が100万倍くらい分かりやすいと思うのですが・・・
 
私は、このような行政文書の類を読まざるを得ない場合は、まず紙に印刷した上で、『又は』や『若しくは』でつながれた条件をメモに箇条書きにするようにしています。
 
また、『〇〇〇〇法(平成○○年〇〇号)第45条3の34項』などと書かれている場合は、ビーっとマジックで消してしまいます。
そうしてできる限り文章を単純化した上で、上っ面だけをまず理解するようにしています。
 
その上で、もう少ししっかりと内容を知る必要がある、と感じた場合は、マジックで消した法律をさらに読み進めるなどするようにしています。

 
とかく行政の取り扱う文書というのはわかりにくいものですが、ちょっとしたコツで(嫌気が差す前に)内容を理解することはできるので、ぜひお試しください。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】
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