このお話をする前に、お断りをしておきます。
私個人の意見ですが、『運賃は公示運賃を使った方がいい』と考えています。
なぜなら、安全な運行を維持するためには、車も定期的に買い替えなければなりませんし、ドライバーの給与ももっと上げなければ、若い方が集まりません。
そのために、専門家が知恵を絞って最低運賃を決めてくれているのですから、これを無視する選択肢はありません。
20社以上の原価計算をしました
公示運賃が8月に新しく改変されることが確定してから、20社以上のバス会社の原価計算を行いました。
結論から申し上げますと、満足な結果が出たバス会社さんはわずかに2社に留まります。
この場合の満足な結果というのは、各車種の原価計算による独自運賃(下限)が公示運賃を下回ると言うことです。
なぜ原価計算の結果は悪くなるの?
その理由は簡単です。
国交省が提示している、原価計算から独自運賃の設定に至る流れがかなり厳しい内容になっているからです。
提示されている原価計算は、その会社の数値をそのまま利用するのではなく、全国平均値との間で補正をかけて利用します。
————例えば、人件費の場合は?—————————————————–
関東のあるバス会社のドライバーの給与(月)が35万円だったとします。(年収÷12)
すると、この会社の原価計算における人件費は、関東の平均的な給与49万6千円(年収÷12)との平均値に補正されて計算されます。
※この場合は、(35万円+49万6千円)÷2=42万3千円
ということは・・・・
ドライバーの給与が安ければ安いほど、結果としてコストは安く済む???
※ドライバーの年収÷12が20万円だとしたら、(20万円+49万6千円)÷2=34万8千円
確かに、数値だけを見るとそうなのですが・・・・
そんなに単純ではないのが、原価計算なのです。
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大きな補正がかかるのは?
原価計算の数値には、大きな補正がかかるものと、物価などの上昇率だけを補正するものがあります。
大きな補正がかかるのは、以下の原価です。
①人件費
先ほど、ご説明したとおりですね。
②車両の減価償却費
車両の減価償却費というのは、車両の購入費用を年間の費用に置き換えて計算するものです。
例えば、1000万円のバスを5年ローンで購入した場合には、年間200万円ずつ、返却することになりますね。
原価計算では、所有しているバスをすべて新車で購入した形に修正し、それらすべての代金を5年で支払うように考えて、1年ごとのコスト(返済額)を減価償却費という形で計上します。
ここでも各社の事情を考慮して、古いバスを長く使う会社の方が数値的には有利になるような計算をしますが、結果はそう単純なものではありません。
③安全運行経費
安全のために必要な投資について、その金額を計上します。
この経費の例としては、
・貸切バス安全性評価認定制度
・新しいバスの購入
・デジタコ・ドラレコ導入
・コンサルティング費用
・運行管理器材 などがあります。
この部分についても、安全への投資が全くない会社が有利になってはいけないので、投資が少額の場合は、全国平均の数値161円(時間あたり)が時間制運賃にもれなく加算されます。
独自運賃計算のしくみを簡単に・・・
独自運賃を計算するときのしくみを、ごくごく簡単にご説明します。
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【ものすごく簡単な運賃設定のしくみ】
①直近年度の財務諸表から、1年間の経営に必要だったお金(経費)の内訳を出します。
②内訳に合わせて、人件費や減価償却費などは大きな補正をかけます。
③それ以外の経費も実情に合わせて補正をかけます。
④補正が終わったら、全経費を合計します。
⑤全経費を国交省ルールで仕分けして、それぞれを時間数と距離数で割ります。
※この場合の時間数と距離数は、直近年度の実績です。
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なぜ独自運賃の結果が悪くなるの?
簡単な事例で分かりやすく説明しましょう。
分かりやすくするために、時間制運賃のみしかない前提で進めます。
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事例1:給与水準が一般的なAバス会社さん
✅昨年度の売上 4000万円 費用 3000万円 利益1000万円
✅昨年度の平均時間制運賃 4000円/h
つまり総走行時間は10000時間ですね。
※売上4000万円÷4000円=10000時間
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では、この会社の独自運賃の計算をしてみましょう。
独自運賃=(費用+期待される利益)÷ 総走行時間です。
費用は、上記のとおり、いろいろと補正(今回は1.3倍とします)をされますから、実績の3000万円が3900万円になります。
期待される利益は、資本から計算されますが、今回は300万円とします。
すると、計算される独自運賃は、
(3900万円+300万円)÷10000時間=4200円
となります。
ナント、今年の実績よりも200円も高いものになってしまいました。
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事例2:給与水準の低いBバス会社さん
✅昨年度の売上 4000万円 費用 2800万円 利益1200万円
✅昨年度の平均時間制運賃 4000円/h
つまり総走行時間は10000時間ですね。
※売上4000万円÷4000円=10000時間
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B社さんは人件費を安く抑えている会社です
独自運賃=(費用+期待される利益)÷ 総走行時間です。
B社さんは、人件費を安く抑えて経営していますから、強い補正が入り、費用は1.4倍の3920万円になります。
期待される利益は、資本から計算され、今回も300万円とします。
すると、計算される独自運賃は、
(3920万円+300万円)÷10000時間=4,220円
となります。
人件費を無理に抑え込んで経営していたB社は、自社よりも利益率の低いA社よりもさらに高い運賃が出てしまいました。
どんな会社が原価計算に強いのか
では、A社よりももっと給与水準の高い会社の例を考えてみましょう。
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事例3:給与水準が関東平均並みのCバス会社さん
✅昨年度の売上 4000万円 費用 3200万円 利益800万円
✅昨年度の平均時間制運賃 4000円/h
つまり総走行時間は10000時間ですね。
※売上4000万円÷4000円=10000時間
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C社さんは、給与水準の高い会社です
独自運賃=(費用+期待される利益)÷ 総走行時間です。
C社さんは、人件費を関東の平均と同じレベルで経営していますから、補正は弱く、費用は1.2倍の3840万円になります。
期待される利益は、資本から計算され、今回も300万円とします。
すると、計算される独自運賃は、
(3840万円+300万円)÷10000時間=4,140円
となります。
人件費をしっかりと計上していたC社が、A社、B社よりも安い独自運賃を計上することができる結果となりました。
どうすれば独自運賃に強い会社が作れるのか?
では、どうすれば、独自運賃を公示運賃よりも安くすることができるのでしょうか?
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