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【貸切バス】原価計算~独自運賃設定の意味を再確認します。

2023年08月04日13時15分

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

公示運賃の意味

貸切バスには、『この範囲であれば運賃・料金設定の審査を受けなくてもいいよ』と決められた公示運賃という考え方があります。

貸切バスの運賃変更は認可に近い

昔、バスの運賃というのは、担当行政庁の認可を受ける必要がありましたが、現在は届出制に緩和されています。
 
もともと、モノやサービスの価格(対価)というのは自由であるべきで、それは、競争がコストの改善を生んで、社会が発展すると考えられているからです。
 
しかし、一旦事故が起こると影響が大きい、貸切バスの運賃については、過度な(価格)競争が、人命に悪影響を与える可能性があると考え、実質的には公示運賃ありの認可制がとられています。
 
具体的には、公示運賃という国が定めた標準的な運賃があり、この公示運賃の範囲内で営業するのであれば、運賃の審査(認可)は不要ですよ、という考え方です。
 
この公示運賃というのが、関東を例とると、小型バスの下限運賃3,850円とされているものです。

逆に言えば、公示運賃ではない運賃(これを独自運賃と言います。)にするのであれば、改めて審査(認可)を受ける必要がある、ということです。

公示運賃に従わないのであれば、独自運賃の届出が必要

今月、約9年ぶりに貸切バスの公示運賃が改正されます。
別の記事でお伝えしましたが、約25パーセント程度の値上げとなります。

本来であれば、歓迎すべきこと!

国が、昨今の燃料高や物価上昇を勘案して、最低運賃(下限運賃)の値上げを決めてくれているのですから、本来的には歓迎すべき話です。
しかし、コロナ禍が一段落して、観光需要も戻ってきた矢先の改定ですから、すぐには対応できない事業者も少なくないことでしょう。
 
もちろん、公示⇒運賃変更届の流れの前に契約した運賃・料金については、9年前同様の経過措置が取られるはずです。
※確約できませんが、商道徳の観点からも、間違いないはずです。
※平成26年の公示にも経過措置について書かれています。
 
▶平成26年の公示(2ページ目の赤枠の中)
 
しかし、これを機に、自社独自の運賃を設定したい、と考える事業者さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか?

独自運賃の設定から届出まで

国が決めた公示運賃に縛られたくない、自分の会社の実力に応じた運賃で他社と勝負したい、と考える事業者さんは、独自運賃を設定して届出をし、審査を受ける(つまり認可)しかありません。

勝手に決めるのが独自運賃ではない

『よし、うちは、よそに負けない運賃にしたいから、時間制運賃2,000円にしちゃおう』
『先生、届出よろしく!』
 
こんな軽い気持ちで言われても困ります(笑)
 
貸切バスの運賃が事実上の認可制になっているのは、利益を出せない事業者は、安全にもお金をかけることができないことがわかっているからです。
 
独自運賃というのは、その会社の実力に見合った運賃、つまり、安全に運行するためのコストを利益として得られる余裕のある運賃の設定のことです。
原価計算で実力を示す!

バス会社の原価=安全のために必要なコスト+会社を維持するために必要なコスト
 
この原価に、適正な(身の丈にあった)利益を足したものが、その会社に必要な売り上げになります。
 
そして、この売り上げ高を按分して、運賃対象時間数で割ったものが自社の時間制運賃、走行距離数で割ったものが自社の距離制運賃となります。
原価計算では自社の特別事情を全国平均に補正する

普通に計算をすると、ドライバーの給与は安い方が、車両は古いものを乗り続けた方が、原価は安く済みます。
しかし、一般にドライバーは高い給与で雇用した方が安心して働けます(つまり安全)し、車両は新しい方が一般的には故障も少なく安全でしょう。
 
原価計算では、このような各社の状況を、全国平均と比較して、補正する処理を行います。
同時に、地域格差や、物価や人件費のデフレーター補正も行います。

じっと1ヶ月待つ

原価計算書を添付して提出した運賃変更届は、提出して1ヶ月の間に修正の連絡がなければ届出が受理されたことになります。

変更命令

もしも、原価計算に問題があったような場合は、独自運賃の変更命令が出される形で届出が不受理となります。

原価計算はやった方がいい

現在、8社を同時並行で計算していますが、やはり昨年はまだコロナ禍出会ったことが影響しているのか、あまりいい数字が出た会社さんはありません。
 
ただ、原価計算は、自社の体力を知る意味でとても大切です。
 
『自分の会社は、時間制運賃いくらなら、適正な利益を確保できるのだろう?』
『運賃をもう少し下げるためには、何が足りないのだろう?』
 
製造業において、原価計算は常にあたり前に行われています。
よいモノ、よいサービスをより適切な価格で提供するためには、原価計算が欠かせません。
 
公示運賃の変更は、令和7年にも予定されています。
これを機に、原価計算の大切さを知って欲しいと思います。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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