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特定バスを『特定』させる条件とは?
特定旅客自動車運送事業というのは、特定の乗客を乗車させて、特定のルートを運行する事業形態のことです。
一般旅客自動車運送事業である、一般貸切や一般乗用、一般乗合と違って、いろいろなものが『特定』されているのが特徴です。
最初に特定バスで決めなければならない要件を、ごくごく一般的な特定バスの運行形態を通して見てみます。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の川越工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
JR川越駅から同社の社宅(川越市)を通って、川越工場(川越市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 1台
このような場合、このバスは上記のお客様を上記のルートで送迎する以外に使用してはいけません。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の川越工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
JR川越駅から同社の社宅(川越市)を通って、川越工場(川越市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 1台
このような場合、このバスは上記のお客様を上記のルートで送迎する以外に使用してはいけません。
川越工場が一部閉鎖になった・・・
ABC食品株式会社は事業を拡大させるために、お隣の坂戸市に新工場をオープンさせることになりました。
そして、昭和初期からABC食品を支えてきた川越工場は、これを機にその一部が閉鎖となりました。
このような場合に、今までの特定バスの許可はどのようになるのでしょうか?
新規に取り直し??
実は、このような場合は、変更の認可申請で大丈夫です。
上の例をもう一度見てみましょう。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の坂戸工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
東武東上線 若葉駅(坂戸市)から同社の社宅(坂戸市に建設)を通って、坂戸工場(坂戸市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 1台
このような認可申請で大丈夫です。
新規に取り直し??
実は、このような場合は、変更の認可申請で大丈夫です。
上の例をもう一度見てみましょう。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の坂戸工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
東武東上線 若葉駅(坂戸市)から同社の社宅(坂戸市に建設)を通って、坂戸工場(坂戸市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 1台
このような認可申請で大丈夫です。
坂戸工場のバスを増やす・・・
ABC食品の新製品がヒットしました。
おかげ様で坂戸工場はフル稼働状態です。
24時間フル生産になっていますので、従業員も増えました。
従業員が増えて、バスが足りなくなったらどうすればいいでしょうか?
その場合も、新しい許可は不要です。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の坂戸工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
東武東上線 若葉駅(坂戸市)から同社の社宅(坂戸市に建設)を通って、坂戸工場(坂戸市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 2台(1台増車)
55人乗りの大型車両 1台追加
このような認可申請で大丈夫です。
その場合も、新しい許可は不要です。
【例】
☑ 特定のお客様
ABC食品株式会社の坂戸工場に勤務する従業員、及び同工場への来訪者
☑ 特定のルート
東武東上線 若葉駅(坂戸市)から同社の社宅(坂戸市に建設)を通って、坂戸工場(坂戸市)に向かう。
☑ 使用する車両
25人乗りの小型車両 2台(1台増車)
55人乗りの大型車両 1台追加
このような認可申請で大丈夫です。
川越工場も応援することに・・・
ABC食品の新製品はますます好調です。
坂戸工場だけでは生産しきれないので、川越工場も再稼働することになりました。
そこで、坂戸工場の小型車を1台回そうと考えました。
この場合は、新規の申請が必要になります。
なぜなら、最初にあった『JR川越駅から川越工場へのルート』は、『若葉駅から坂戸工場へのルートに変更』しましたので、すでになくなってしまいました。
特定旅客は、特定のお客様と、特定のルートがセットになっています。
特定旅客は、特定のお客様と、特定の目的地がセットになっています。
※誤解を招く表現のため削除、加筆しました。(以下、同様です。)
この実体が変わらない限り、変更を繰り返すことはできますが、どちらかが変わると、それは一つの特定許可では運行できなくなります。
☑ 車両が増える(ok)
☑ ルートが変わる(もともとのルートが消滅するならOK)
☑ 目的地が変わる。(もともとの目的地から完全に変わるならOK)
☑ お客様の実態が変わる(別のお客様で新しい許可が必要)
☑ 今ある車両を今とは別のルートで走らせる(別のルートに新しい許可が必要)
☑ 今ある目的地以外の場所を目的地に加える。(新しい目的地に新しい許可が必要)
なぜなら、最初にあった『JR川越駅から川越工場へのルート』は、『若葉駅から坂戸工場へのルートに変更』しましたので、すでになくなってしまいました。
特定旅客は、特定のお客様と、特定の目的地がセットになっています。
※誤解を招く表現のため削除、加筆しました。(以下、同様です。)
この実体が変わらない限り、変更を繰り返すことはできますが、どちらかが変わると、それは一つの特定許可では運行できなくなります。
☑ 車両が増える(ok)
☑ 目的地が変わる。(もともとの目的地から完全に変わるならOK)
☑ お客様の実態が変わる(別のお客様で新しい許可が必要)
☑ 今ある目的地以外の場所を目的地に加える。(新しい目的地に新しい許可が必要)
ちょっとややこしい部分がある特定旅客ですが、使い方によっては経営の安定化につながります。
特定バスのことでお困りの場合は、ぜひ最寄りの行政書士にお尋ねください。
【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】