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【旅客】原価計算のために今できること

2020年8月8日16時44分

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

原価計算では、安全に関わる費用について、修正(補正)をかけて再計算します。
今回は、その修正(補正)の方法を知っていただいて、それを通して、原価計算を有利にするような経営について考えてみたい、と思います。

手数料は悪魔のささやき

この場合の手数料とは、一般に貸切バス事業者が旅行代理店に代表されるエージェントに支払うものを指します。
お客様をあっせんする旅行代理店にとっては、大切な収入源ですから一概に悪とは言えませんが、過大だと何かと問題がでます。

バス会社が支払う手数料は、適正な範囲になくてはいけません。
今はあまりないと思いますが、一時期は下限から40パーセントなどという法外なものもあり、問題になったことがありました。
 
よくご存じのように、手数料が過大だと判断された場合は、バス会社、旅行代理店の双方にペナルティが科せられます。
実際に指導を受けると、なかなか厳しい罰をもらうのですが、それでも手数料問題は完全に解決する方向には動きません。
 
なぜなら、バス会社にとって、手数料は一度払ったらおしまいの変動費だからです。
営業さんをいれたり、定期的に広告を打ったりするのは、継続的な費用となります。
経営者としては、できるだけそのような費用を出したくないので、一発勝負の手数料に甘くなりがちなのです。

 

即違反にはならない、まず審査

手数料を支払って下限料金を割ってしまうと、審査対象となります。
そこで過大に支払っていると判断されると、そこで初めて運賃料金割り戻し違反となります。

原価計算は、その会社の費用構成を分析する作業です。
具体的には、安全に直ちに関わる経費と、すぐには関わってこない経費に分ける形になります。

 
★安全に直ちに関わる経費の例
✔乗務員の給与(やる気の問題もあります・・・)
✔車両の修繕費(ケチったらどうなるかわかりますね)
✔車両本体(一般的には新しい方が安全)
 
★安全に直ちには関わってこない経費
✔役員報酬(減らされると社長は困るかもしれないが、安全には問題がない)
✔事務所の光熱費(事務所のエアコンを止めても安全には関わらない)

 

手数料判定の原価計算は、現状とのギャップのすり合わせ

一般的な会社さんの損益計算書を見てみると、費用の部分が大きく二つに分かれています。
上の方にある費用が、売上原価で、下の方にくるのが販売費及び一般管理費です。
バス会社の場合は、上にある売上原価が安全に関わる経費です。


二つの費用の割り振りは、その会社さんの経理や関与税理士さんのやり方に依存するので、明確に決まっているわけではありません。
中には、費用のすべてが下の販売費及び一般管理費にまとめられている会社さんもあります。
そのような仕分けのルールの違いについては、原価計算のときに適切に補正されますので、あまり心配がいりません。
 
費用が二つに分かれている場合の話に戻します。
上の図の、青い部分が、安全に即関わらない経費なので、この部分のパーセンテージが大きいほど、原価計算的には有利なります。
 

仮に、二つの経費の比率が50パーセント50パーセントだとすると、このまま計算すれば、手数料率は40パーセントくらいまでOKの結果がでるかも?しれません。
しかし、それでは現実的とは言えませんので、原価計算では、安全に即関わる経費については、修正をかけて再計算することになります。

 

乗務員は少数精鋭がお得?

原価計算において、乗務員の給与は『安全に直ちに関わる費用』に含まれます。
国土交通省的には、事業用自動車の乗務員は、①できるだけ副業などせずに、②高い給料をもらっていて欲しいと考えられています。

会社送迎や学校送迎がメインの業務となっている会社さんでは、昼間に空き時間ができてしまうため、なかなかフルタイムの乗務員さんを雇用しにくい傾向にあります。
運行しているバスは8台なのですが、それらの仕事を60歳以上のシニア世代の乗務員さん15人の交代制で回しているようなケースです。
会社としては、雇用のリスクが分散でき、また乗務員さんにとっては、年金受給額との調整が図れて、どちらにもいいやり方なのですが、原価計算的にはちょっと不利になります。
 

 
人件費は、以下の計算式で補正されます。
(現在の平均給与月額+地区平均給与月額)÷2×人数×12ヶ月
 
つまり、どんなに勤務時間の短い乗務員さんでも、フルタイムの給与(地区全業種平均値)との平均値に直されるのです。
先の会社送迎や学校送迎の事業者さんは注意が必要です。

 

『古い車両を大切に』は不利?

古い車を大切にメンテナンスして業務に使用することは、とても大切なことです。
経営的にも、償却の終了した車両で運行すれば、それだけ利幅を確保することができます。

しかし、この方法も原価計算的にはマイナスです。
例えば、現在8台の車があって、4台はすべて5年以上経過して償却が終了している所有車両だとします。
残りの4台は5年リースの車両と想定しましょう。
 
原価計算では、この8台の車両はすべて新車を導入した形に補正がかけられます。
大型車であれば、約4,000万円、中型車は約3,000万円、そして小型車は約700万円の新車を購入した形で計算します。
減価償却は、その会社のバスの平均的な使用年数と法定償却年数5年の平均をとります。
 
上の例でいうと、リース車以外の償却が終わった4台は、新車の減価償却が経費にドスンと乗っかってきます。
(方式は定額法)

 

手数料を隠すと不利!

旅行代理店に支払う手数料は費用ですので、きちんと計上しないと経費として損金にすることができません。
しかし、バス会社さんの中には、この手数料を損益計算書のいろいろなところに散らばせて誤魔化してしまうケースがあります。

手数料を明らかにしてしまうことに抵抗があるのかもしれませんが、旅行代理店経由の仕事が8割を占めているのに、損益計算書に『手数料』の文字が一切出てこない会社さんがあります。
気持ちはわかるのですが、実はこの行為は原価計算上は大変不利になります。
 
というのも、前年度に支払った手数料は、安全に直ちに関わってこない経費として計算されるので、変な話ですが、手数料がしっかり明記されている方が有利になるのです。

 

安全コストは距離で計算

安全にかける費用は安全コストと呼ばれ、これについても原価計算で審査されます。
安全コストとは、例えば安全な車両への入れ替えや、デジタコへの変更、安全コンサルティングの費用などが含まれます。

この安全コストについては、あまり真面目に計算しても意味がありません。
例えば、デジタコ入れ替えの費用について、このコストを下げようと、鬼のような見積もりをとったとしても、結局以下の式で計算した数値よりも小さい場合は、こちらの数値が優先されるからです。
 
年間安全コスト=全車両の年間走行時間合計×160.91円
 
1日に11時間走行する車両が年間稼働率40%だったとすると
11時間×365日×40%=1,606時間走行することになります。
この車の安全コストは
1,606時間×160.91円≒258,421円となります。

 

原価計算に強い会社の特徴はこうだ!

以上のことをまとめると、結論は以下のようになります。

★原価計算に強い会社はこうだ!
①乗務員はフルタイムの乗務員を少なく雇用する。
②車両は償却が終わったら、新しいものに更新する。
③手数料はちゃんと『手数料の名目で』経費計上する。(隠さない!)
④役員報酬はしっかりととる。
⑤福利厚生にお金をかける。(従業員を大切に)
⑥できれば利益のでる経営をする。

なんだよ・・・結局でっかい会社が得すんじゃん・・・って感じですね。
 
最後に、よくある質問で、『うちは赤字だから原価計算してもムダでしょ?』とおっしゃる経営者の方がいらっしゃいます。
そんなことはありません。
利益はあるに越したことはありませんが、原価計算はその会社の費用バランスを算定するものなので、一律に赤字の会社を排除しているわけではありません。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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