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収集運搬車に適した形態は?
産業廃棄物の収集運搬で使用する車両(主にトラック)は、自己所有であることが前提になっています。
但し、車両をリースなどで取得している場合もあり、実務上は使用者の欄が許可業者になっていれば、問題なく収集運搬車両として登録することができます。
- 運搬車両として認められるのは?
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運搬車両の使用権限は、自動車検査証の所有者又は使用者の欄で確認します。
車両の使用権限があると認められるのは、次の場合のみです。
① 自動車検査証の使用者欄が申請者である場合
② 自動車検査証の使用者欄が空欄の場合には所有者が申請者である場合
※東京都の手引きより
借り上げ車両とは?
東京都には上記のような決まりがありますが、埼玉県など、別の都道府県では、借上げ車両といった形での車両の利用が認められているところもあります。
- 埼玉県の場合
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(略)車検証上、使用者が申請者以外である場合は、以下の追加書類が必要です。
・車両の賃貸借契約書
・所有者の承諾書
追加書類の詳細は?
埼玉県を始め、神奈川県、千葉県では、借上げ車両での車両登録が認められています。
※実際に申請するときは、必ず県に確認を取ってから行動してください。
では、申請に必要な追加書類とは、どのような内容なのでしょうか?
- 車両の賃貸借契約書
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▶契約書の必須記載事項
以下の必要事項を含んだ契約書の写しが必要です。
①1年以上の契約であること。(契約期間を明示)
②車両の登録ナンバー
③賃貸借料金
④産業廃棄物収集運搬の用に供すること
⑤独占継続的であること
賃貸借だけでなく、民法で言うところの、使用貸借も認められていますので、その場合は③の記載は不要です。
但し、その場合は、契約書の名前を使用貸借契約書にします。
▶所有者の承諾書
こちらは、後ほど説明します。
賃貸借契約書の、①番から③番は言うまでもありません。
問題は、④と⑤です。
- ④産業廃棄物収集運搬の用に供すること
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④を解決するためには、以下のような文言の記載が必要です。
(例)
第△条 〇は当該車両を、〇が許可を受けている産業廃棄物収集運搬業の事業にのみ当該車両を使用する。
〇には、甲ないしは乙が入ります。
- ⑤独占継続的であること
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こちらは、契約の両当事者に義務が発生します。
⑤を解決するためには、以下のような文言が必要です。
▶借りる側(許可業者)
第△条 〇は、当該車両を契約の期間中、産業廃棄物の収集運搬以外で使用してはならない。
▶貸す側(所有者又は使用者)
第△条 〇は、契約の期間中、当該車両を自家用として利用することはできない。
所有者の承諾書とは?
借上げ車両の車検証を見たときに、所有者と使用者が違っていた場合に必要です。
- どうして必要?
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当該車両は、契約によって契約期間は、独占継続的に収集運搬車として利用されることが決まるわけです。
こんな大事なことを、使用者の一存で勝手に登録したのでは、所有者にとって著しく不利となるので、念のため承諾を取るように求めているわけです。
【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】