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今年は新型コロナと熱中症の両方を対策しなければならない
夏は毎年暑くて当たり前なのですが、今年の夏は例年と大きく違う部分があります。
それは、熱中症の対策と同時に、新型コロナの対策もしなければならないところです。
事業用自動車の乗務員の中でも、バスやタクシーのの乗務員さんは、お客様と同じ空間で仕事をすることになるので、マスクの着用が絶対条件になるでしょう。
マスクを着用して過ごす夏は、ほとんどの方にとって初めての体験であり、今から一定の対策が必要です。
自粛の影響で熱中症になりやすい?
新型コロナの影響拡大を防止するために、4月7日に非常事態宣言が発令されました。
特に強い強制力を持たない宣言ですが、そこは日本人のとてもいいところで、文字通りの自粛がしっかりと遂行されました。
しかし、この自粛という行為も、今年の夏の熱中症に悪影響を及ぼす可能性があります。
私のように、埼玉県でも田舎の方に住んでいる人間であれば、公園で簡単なトレーニングしたりすることはできますが、東京などの都会にお住まいの方では、自主的な運動もかなりむずかしいことでしょう。
ステイホームが長く続くと、慢性的な運動不足に陥ります。
運動不足は、心肺機能などにも影響しますが、明確に形として現れるのは、筋肉量の低下です。
筋肉がとても優秀な貯水槽であることは、実はあまり知られていません。
筋肉はその75%が水分で、個人差はありますが、体内に必要な全水分量の半分をためる能力があります。
つまり、自粛による運動不足で、
『筋肉量が落ちる=体内に貯めて置ける水分量が減る』
ということで、今年は特に熱中症に結び付きやすい、脱水症状を起こしやすいことになるのです。
ちなみに、女性や高齢者が脱水症状を起こしやすいのも、この筋肉量(貯水量)の問題が関係しています。
長期に及ぶ自粛生活の影響は、筋肉量の低下だけにかぎりません。
それは、自然な発汗能力の低下です。
人間は春の間に少しずつ外気の変化に慣れて、夏が来るまでには夏の体温調節に必要な発汗ができるようになります。
しかし、今年は春の自粛期間に外気に触れる機会が少なくなってた可能性があり、体温調節に必要な発汗機能が衰えている可能性もあるのです。
犬だけじゃない!人間だって舌で汗をかく?
人体でもっとも温度に敏感な部分はどこでしょうか?
答えは唇(くちびる)です。
優れた宝石鑑定士は、ダイヤモンドの真贋を調べるときに、唇にあててその温度(冷たさ)を参考にするようです。
というのも、ダイヤモンドはその特徴である極めて高い熱伝導率で、周囲の熱をどんどん奪っていくからです。
たとえば、気温30度の環境でマスクを10分間付けたままにしておくと、マスク内の温度は37度に上昇した、という報告があります。
37度というのは、ほぼ体温と同じと言っていい温度ですので、体内から排出される呼気に含まれる熱は、外気と交換されることなく、そのまま体内に戻るということです。
犬は発汗することができないので、呼気によって体温を調節しています。
人間の場合は、他の機能も利用しながら、呼気による熱交換も行っているのです。
また、唇は人体でもっとも熱に敏感な場所ですので、呼気によってマスク内が常に37度に保たれてしまうことで、全身に熱っぽさを感じてしまいます。
呼気による熱交換機能の衰えよりも、この心理的な苦痛の方が問題であるという専門家もいます。
乗務員さんが気を付けるべきこと
マスクを着用して過ごす、初めての夏がやってきます。
タクシーやバスの乗務員さんを熱中症から守るために、何ができるのでしょうか?
最低でも1.5リットル、できれば2リットルの水分を補給するように心がけます。
※1日3リットル程度が必要ですが、1リットルは食事からとれると考えます。
❷規則正しい生活をしましょう。
当たり前のことですが、これがなかなかできませんね。
規則正しい生活は、新型コロナ感染対策としても有効です。
❸換気の良い場所でマスクを外して休憩しましょう
高齢の乗務員さんは、特に注意が必要です。
なぜなら、高齢者はもともと喉の渇きを感じにくくなっているからです。
パーキングエリアでの休憩のときなどは、できるだけ日陰の涼しい場所で、マスクを外して休憩するようにしましょう。
当社の乗務員教育セットでは、8月の健康学習で『熱中症の予防』の特集を予定しています。
どうぞご活用ください。