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4月10日(金)に雇用調整助成金について新しい申請方法が発表されました。
以前にも、この助成金について書かせていただきましたが、内容が大きく変更になっている部分がありますので、これから申請されるかたはこちらの記事を読んでください。
今回は、この助成金の意味合いと、申請書類の作成方法について詳しい動画もUPしましたので、そちらも併せてご覧ください。(ページの中央あたりにあります。)
Click!⇒【緊急・コロナ対策】雇用調整助成金 4月25日追加措置が発表されました
目次
わかりにくい制度を中小企業診断士が解説します
当社のサポート先の8割以上はバス会社さんです。
皆さまご存じのように、観光業界は現在ほぼ需要がゼロに近く、ロケバス会社のフィールドである、エンタメ業界にも自粛の嵐が吹き荒れています。
そんな中、当社にもサポート先のお客さまを中心に、雇用調整助成金のご相談が増えてきました。
☒日ごろ顧問契約を結んでいる社労士さんがいないので、手続きを自分でしなければならない。
※当案件だけをスポットで受任してくれる社労士さんは少ないようです。
☒厚生労働省のHPはもちろん、社労士さんのHPを読んでも難しすぎてわからない。
このようなお声が多いので、素人(診断士)なら素人(診断士)ならではのわかりやすい説明ができるだろうということで、説明ビデオを作成しました。
あくまでも素人目線での説明ですので、多少間違いもあるかも?しれません。
しかし、一度ご覧いただければ、なんとなく書類をダウンロードして、なんとなく自分で作成する気になってしまうような調味料を加えて調理しました。
雇用調整助成金とは?
景気の変動や産業構造の変化などによって、事業活動の規模を縮小せざるを得なくなった場合の救済措置です。
具体的には、現在雇用している労働者を休業させたり、出向させたりする場合に雇用の維持に努める事業者に対して助成金が支給されるものです。
『どうせ仕事がないのだから、この機会に社員に教育訓練を受けさせよう!』という目的も認められています。
☒支給額
支給額=平均支給額×休業手当等支払率×助成率
※平均支給額
直近の3ヶ月間(給与の締切日がある場合は直前の締切日から3ヶ月)の給与を、その3ヶ月の日数で割った賃金です。
※休業手当等支払率
それぞれの会社で独自に決めている数字です。
労働局に提出している就労規則に定められています。
※定められていないケースもあります。
基本的には、『平均賃金の60%以上』です
※助成率
中小企業4/5(大企業2/3)まで助成されます。
※解雇を伴わない場合は、中小企業9/10(大企業3/4)です。
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(具体例)
★平均支給額が30万円の乗務員の場合
支給される助成金=30万円×80%×3/4=18万円
※この会社の休業手当等支払率が80%と決まっていた場合
つまり、上の例では、この期間休んでいる乗務員さん達には24万円が支払われ、会社は6万円だけを負担すればいいことになります。
※1日あたりの支給額は、8,335円が上限です。(令和2年3月1日現在)
実際の申請方法は?
手順としては、以下のとおりになります。
しかし、今回は事業者の経営にとっても緊急事態ですので、計画書の提出は事後でよいことになっています。
令和2年4月1日から制度が変わる
令和2年4月1日以降から休業を開始するか、それ以前から休業しているかによって、使用する書式が違います。
最初は雇用調整助成金 休業等実施計画(変更)書
まず、休業等実施計画書をダウンロードします。
あまり難しい部分はありません。
対象期間
事業主(社長さん)が決めた任意の1年以内の期間です。
雇用調整を行う必要があると考えられる期間のことです。
※私なら雇用調整を行う月からちょうど1年後にしておきます。
判定基礎期間
基本的には給与の締め日から翌月の締め日までです。
但し、図にあるように、25日締めの会社がある月の10日から雇用調整を行おうとすると、最初の月が10日から25日までで中途半端になってしまいます。
ですので、この中途半端の部分は、翌月に加えていいことになっています。
雇用調整実施事務所の事業活動の状況に関する申出書
次に雇用調整実施事務所の事業活動の状況に関する申出書をダウンロードします。
コロナ感染拡大の影響によって、どのくらい売上などが低下したかを数値で表します。
ついでに、本当にコロナの影響なのかの申告も兼ねています。
なんだかややこしい表現ですが、要するに上で作成した計画届を提出する前の月を書き込みます。
下にはその月の売上を示します。
売上が減った⇒その結果を受けて雇用を調整する⇒つまり、前月が前年同月より売り上げが落ちている
B Aに対応する期間の指標
上の青字で示した、前年同月の期間を書き込みます。
下にはその月の売上を示します。
休業/教育訓練実績一覧表
厚生労働省のダウンロードページの通りにダウンロードすると、ちゃんと書類作成ができません。
ここまでは上から順番でしたが、次は休業/教育訓練実績一覧表をダウンロードします。
※①などの数字は一覧表の数字のことです。
▶①氏名と②雇用保険の番号を入力します。
▶③雇用契約書や就労規則で決められている月間の所定労働日数を入力します。
▶④完全に休んでいる人は、期間中に休んだ日数を書きます。
▶⑤完全に休んでいないが、時間で休んでいる人は時間数を書きます。
注意!
合計の部分を手入力しないと、⑪で所定労働時間を入れても、日数に換算してくれません。

⑧の欄の合計の数値と⑫の数値はこの後の書類で使用します。
ですから、こちらの書類を先に作成したのです。
休業/教育訓練実績一覧表には、もう一つ大切な役割があります。
その際に、労働者の代表が計画について承諾していることがわかる書類の提出が求められます。
しかし、今回の特例である計画書の事後提出の場合は、休業/教育訓練実績一覧表の末尾にある労働者の代表の署名または記名・押印があれば、上記の確認書類の提出を省略することができる点です。
支給申請書/助成額算定書
次に支給申請書/助成額算定書をダウンロードします。
こちらもExcelファイルですが、タブの順番が逆です。
まず、右側のタブの『雇用調整助成額算定書』を作成します。
上の図にある『助成率』の部分です。
図ではマウスを近づけているので、プルダウンの表示がありますが、実際には(マウスを近づけないと)見えません。
実際には、図にあるように、9/10まで選べるようになっています。
(8)月間休業延日数の数値は、この後作成する『雇用調整助成金(休業等)支給申請書』で必要です。
雇用調整助成金(休業等)支給申請書
支給申請書/助成額算定書の左側のタブをクリックします。
支給申請書の作成になります。
順番通りに作成してくれば、数値は自動入力されます。
②休業等の規模
(4)月間所定労働延日数
月間の所定労働日数が22日の場合、労働者が4人いれば特別なことがない限り、
22日×4人=88人・日
となります。
支給要件確認申立書
もう少しで完成です。
次は支給要件確認申立書をダウンロードしましょう。
この書類はとても簡単です。
この18番で、解雇していないことを宣言します。
ここで宣言できない場合は、中小企業でもその助成率は3/4にとどまります。
それ以外の部分は、すべて不正受給をしないことの宣言のようなものです。
添付書類はなにが必要?
ここまで見てきたのは、助成金の申請に必要な様式類です。
ここからは、様式に書かれていることを証明したり、補完したりする添付書類をみていきます。
★計画届提出時(つまり初回)のみ必要なもの
☒月次損益計算書や会計システムの帳簿など
売上の減少が確認できるものであればなんでも大丈夫です。
☒休業協定書
休業/教育訓練実績一覧表の末尾にある労働者の代表の署名または記名・押印があれば不要です。
☒事業所の規模を確認する書類
既存の労働者名簿で大丈夫です。
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★申請ごとに毎回必要なもの
・タイムカード
・シフト表
・賃金台帳など
事業者ごとに、個別の確認資料が必要になりますから、ハローワークの窓口で相談してください。
ただ、基本的には、かなり簡略化して、スピーディな処理をしてくれるようになっています。
全国のハローワークが大変込み合っています。
利用者がいら立っている気持ちもわかります。
しかし、窓口の職員さんたちは本当に頑張っています。
どうぞ優しい気持ちで接するようにお願いいたします。