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改善基準告示の改正が、令和6年4月に迫っています。
改正の内容について、途中経過が公表されていますので、詳しく解説したい思います。
1ヶ月の拘束時間制限が新設
これまで、貨物では決められていた1ヶ月単位での拘束時間制限について、バスについても設定が検討されています。
・年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1ヶ月の拘束時間が281時間を超えないものとする。
この決まりができることによって、年間の拘束時間がこれまでよりも約80時間減ることとなります。
また、週の拘束時間も、最大71.5時間から68時間に短縮されることになります。
【現在】
52週間のうち16週間までは、4週間を平均し1週間当たり71.5時間まで延長することができる。
【改正案】
52週間のうち24週間までは、総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、4週間を平均し1週間当たり68時間まで延長することができるものとする。
この場合において、4週間を平均し1週間当たりの高速時間が65時間を超える週が16週間を超えて連続しないものとする。
1日の拘束時間
現行より、さらに厳しくなる傾向です。
1日についての拘束時間は13時間を超えないのもとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は16時間とする。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とする。
勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与える。
1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は15時間とする。
この場合において、1日についての拘束時間が14時間を超える回数(※)をできるだけ少なくするよう努めるものとする。
勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
(※) 通達において、「1週間について3回以内」を目安として示すこととする。
基本の13時間は変わりませんが、最大拘束時間とそれに準ずる延長拘束時間が厳しくなりました。
それに伴って、休息期間も11時間以上と、大幅に厳しくなります。
延長拘束時間は、これまで15時間が週2回まででしたが、14時間を週3回までとなっています。
運転時間と連続運転時間
大きな変化はありませんが、高速道路における実車時間規制が改善基準告示の中に記載されるようになりました。
『例外的な取り扱い』という項目が新設
事業用自動車を運行する以上、事故や故障、災害などによる遅延はつきものです。
これまでは、原則として、これらの事情は斟酌しない(個別に判断する)とのスタンスでしたが、今回の改正により、『例外的な取り扱い』という項目が新設される予定です。
事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができる。
ただし、勤務終了後は、通常どおりの休息期間(※)を与えるものとする。
(※) 休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
(具体的な事由)
ア 運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合
イ 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
ウ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
エ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合
【軽微な移動の必要が生じた場合】
緊急通行車両等、他の車両の通行の妨げを回避するなど、運行計画上予定していた位置で駐車又は停車しているときに軽微な移動を行う必要がある場合には、記録が認められる場合に限り、一の連続運転時間当たり30分を限度として連続運転時間から除くことができることとする。
【適用除外業務】
改善基準告示の適用除外業務に、「一般乗用旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業」において、災害対策基本法等に基づき、都道府県公安委員会から緊急通行車両であることの確認、標章及び証明書の交付を受けて行う緊急輸送の業務を加えることとする。
堅苦しい文章ですが、要するに、予測ができないようなトラブルがあった場合には、その理由を説明できる客観的な挙証によって、『改善基準告示に違反してもお咎めナシ』ということです。
また、新しい情報が入ったらご紹介いたします。