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貸切バスのドライブレコーダー装着が、昨年12月から義務付けられました。
ドライブレコーダーは当サイトの記事の中でも、特に検索件数の多い話題です。
いろいろと都市伝説のような話もでているようですので、少しまとめておきましょう。
ドラレコの基準は平成28年告示
貸切バスのドライブレコーダー装着自体は、平成29年の12月から順次義務化されています。
今回の義務化については、単にドライブレコーダーの装着を義務化するだけにとどまらず、ドライブレコーダー自体の性能も指定しています。
ドライブレコーダーにより記録すべき情報及びドライブレコーダーの性能要件を定める告示
※平成28年11月17日国土交通省告示(外部リンク)
この記事を読み進めていただく段階で、上記の告示の内容が多くでてきます。
出来れば、印刷して手元に置いて読んでいただくと、より分かりやすいかと思います。
経過措置の内容をまとめます
前述したように、ドライブレコーダーの装着義務自体は、平成29年12月から順次スタートしています。
しかし、行政の制度コントロールというのは事業者の都合も考慮するので、あまり急に進むことがないように配慮されています。
できるだけ不公平感が少ないように、規模の違いによって不利になる事業者が少なくなるように経過措置が取られるのが通常です。
▶平成29年12月1日以降に新規登録を受ける車両については、例外なくドライブレコーダーが装備されていなければなりません。
※前もってわかっているので、特に不利益を受ける内容ではない。
▶現在所有している車両についているドライブレコーダーで、平成29年12月1日以前に装着したものについては、令和元年11月30日までは無条件で装着可能。
※せっかく購入したドラレコが急に使えなくなるのを防ぐための経過措置です。
▶令和元年12月1日から、全車両にドライブレコーダーの装着が義務化!!
▶経過措置対象ドライブレコーダーのほとんどは令和6年11月30日まで使用できる。
※但し条件があります。
令和6年まで使えるドラレコはこの基準
令和6年11月30日まで使えるドライブレコーダーの基準は割とゆるく設定されている印象です。
ただ、ドライブレコーダーには寿命がありますから、平成29年12月1日以前に購入したものが令和6年まで持つかどうかの方が心配です。
施行日(※平成29年12月1日)以前に道路運送車両法第7条第1項の規定による登録を受けた自動車に備え付けられているドライブレコーダーであって①第2条第1項の情報を記録するものについては、平成31年12月1日から平成36年11月30日までの間、②第3条第1項第1号、③第2号及び④第4号、⑤第4条第2号、⑥第5条、⑦第6条並びに⑧第8条第2項の規定については、適用しない。
この文章の意味は、『平成29年12月1日以前に取り付けたドライブレコーダーで、①の情報を記録する際には、②~⑧の要件については細かいことを言いませんよ』ということです。
▶①には、記録すべき情報が列挙されています。
①第2条第1項で記録すべきとされている情報は以下のとおりです。
・自動車前方の映像
・運転者の映像(※つまり前方1カメは令和元年12月1日でアウト)
・自動車の速度
・自動車の加速度(加速度が記録できる場合に限ります。)
・警報音
・日付及び時刻
▶②から⑧は『令和6年11月30日まではあれこれ文句言いませんよ』という内容です。
②前方カメラの画角(※本来は水平100度以上、垂直70度以上)
③前方カメラの解像度(※本来は640×480ドット以上)
④前方カメラのフレームレート(※本来は10フレーム/秒)
⑤運転席側カメラのフレームレート(※本来は5フレーム/秒)
⑥記録する速度(瞬間速度)の精度
⑦加速度の記録(※衝撃を感知するという意味)
⑧日付、時刻を変更した場合の履歴の記録(※記録の改ざんを許さないという意味)
全天球型は法令違反??
令和元年12月1日からは、前方撮影用と運転席撮影用の両方が揃っている必要があります。
どんなにこの告示の基準を満たしているドライブレコーダーでも、どちらかが揃っていない配置は違反となります。
しかし、最近のドライブレコーダーの中には全天球型(360度)ドライブレコーダーというものがあります。
このようなカメラであれば、二つのカメラを用意する必要はなく、1台ですべての映像を記録することができます。
でも、貸切バスに全天球型のカメラを使用することは問題ない、のでしょうか?
と言うよりも、告示やその他の法令の中をいくら探しても、『複数のカメラを設置すべき』とは書かれていません。
ただ、全天球型の場合、水平方向の画角には問題ないでしょうが、垂直方向の画角に若干の心配があります。
また、記録される映像のデータ量が大きい(記録している範囲が広い)ので、イベント記録以外に24時間以上映像を記録できるかどうかが問題です。
夜間の解像度には厳しい
令和6年11月30日までの経過措置の中で、夜間の記録性能については例外がありません。
前方撮影用、運転席撮影用、共に告示の基準を満たしていることが必要です。
『夜間でも指導監督等の実施に支障が出ない程度に映像が記録できること』
令和6年11月30日までの経過措置ドライブレコーダーの条件に、解像度やフレームレートがありました。
※フレームレートとは、1秒間に何枚の画像で動画を作るかの単位です。
解像度やフレームレートに制限がなくても、夜間の映像が鮮明でなければ基準を満たしません。
古いドライブレコーダーを使用している事業者さんは、ぜひ一度夜間の映像をチェックしておいてください。
今すぐにSDカードのチェックを
ドライブレコーダーの映像を利用した教育も必須になりました。
※今までは、ドラレコが付いていないことを理由に逃げることができました。
教育の方法については、映像の集め方に始まってその生かし方など、いろいろ工夫が必要ですので今後セミナーやこのサイトの記事などでゆっくりとお話ししていこうと思います。
もしもそのような状態の場合は、すぐにSDカードの状態を確認されることをお勧めします。
トリガー値が低く設定されている場合、イベント記録がSDカードの容量を圧迫して、肝心の通常記録が24時間以上確保されていない場合があります。
逆に、トリガー値が大きすぎる場合は、急ブレーキなど、記録が必要なイベントが記録されていない可能性もあります。
ドライブレコーダーは事故の際のエビデンスとしての役割以外に、大変利用価値の高いツールです。
せっかく高いお金を出して購入したのですから、徹底的にその機能を使い倒すように心がけましょう。
ドライブレコーダーに関する記事は、今後も頻繁にUPする予定です。