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【貸切バス】貸切バスの交代運転者料金 いらないときがある?

2020年06月10日06時46分

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

運賃・料金は届出制

事業用自動車を運行させようとする場合、事業者はお客様から受け取る運賃について、あらかじめ所管する官庁に届け出を出すことになっています。
トラックの場合もそうですし、タクシー、ハイヤー、そして貸切バスも同じです。

この運賃・料金の決まりが特に厳しいのは、貸切バスです。
関越自動車の高速バスの事故や、軽井沢でのスキーツアーバス転落事故の発生によって、バスを安全に運行させるためにはコストの管理が重要だと考えられるようになったからです。

 

貸切バスは統一運賃?

実は、日本にたくさんある貸切バス事業者のほとんどは、地域ごとに統一された運賃のもとで運行しています。
何も、みんなが同じ運賃で運行しなければならないわけではないのですが、そこにはれっきとした理由があります。

先ほどお話ししたように、貸切バスの運賃・料金と運行コストには密接な関係があります。
簡単に説明すると、安全を保つための必要なコストの上に利益が上乗せされているイメージです。
 
本来、『価格を決める=値決め』は事業者にとっての販売戦略の一つであり、他社との差別化を図る上で重要な武器の一つのはずです。
バス会社についても、昔は『値決めについて』ある程度の裁量がありました。
しかし、その結果前述のような大事故が起きてしまい、その教訓をふまえて、貸切バスについては特に厳しい運賃・料金の管理がされるようになったのです。

 

運賃と料金の違いは?

先ほどから『運賃・料金』と書いていますが、運賃と料金の違いは何でしょうか?

運賃は文字通り、荷物やお客様を運ぶのに必要なお金です。
そして、料金は運賃以外の付加価値的なサービスに伴う費用負担のことです。
 
貸切バスの例でいうと、交代運転者の配置にかかる費用や、深夜早朝割り増しなどがそれにあたります。

 

交代運転者の配置基準とは?

貸切バスには、交代運転者の配置基準というルールが定められています。
旅客運送という業務の特性で、貨物のように自分の意思で休憩をとれないこと、路線バスと違ってルートや目的地の変更の可能性があることなどから、一人の乗務員が走行してよい距離の上限が決まっているのです。

▶貸切バスの交代運転者配置基準
Click!⇒交代運転者の配置基準(PDF)
 
例えば、東京を出発して新潟県の糸魚川にヒスイを買いに行く日帰りツアーがあったとします。
かなり無理のある設定ですが、この場合往復の走行距離は700㎞を超えるため、『交代運転者の配置基準』では2名の乗務員が交代で運転する必要があります。
 
乗務員が一人増える以上、コストが余分にかかることは間違いないので、この増加した分のコストは乗客が負担することになります。

 

こちらが勝手に交代運転者を配置した場合は?

再三ご説明しているとおり、貸切バスの運賃・料金は『安全にかかるコスト』をとても重視しています。
結果として、貸切バス事業者が『届け出ている運賃・料金』を無視した場合は、厳しいペナルティが課せられる仕組みです。
 
さて、ここから先は、私がサポート先の方から投げかけられた質問に関するお話です。

『貸切バスの交代運転者配置基準』は、全国共通のルールです。
この基準に引っかかるような運行をする場合は、必ず交代運転者を配置し、利用者にそのコストを負担していただく必要があります。
 
では、さきほどお話した事業者さんのご質問です。
 
Q:『貸切バスの交代運転者配置基準』には抵触しない程度の運行だけれども、少し厳しい旅程なので、こちらの判断で交代運転者を配置したい。
こちらが勝手に交代運転者を付けるのだから、お客様に負担をさせたくないけど、それはルール違反なのだろうか?

 
こんなご質問でした。

 

日本語はむずかしい・・・

そういえば、そんなことは考えたこともなかったので、早速、関東運輸局さんに質問しました。

結論から申し上げますと、『交代運転者の配置基準』によらず『こちらの都合』で交代運転者を配置した場合は、利用者にその負担を求めなくてもよい、ということです。
 
『一般貸切旅客自動車運送事業の変更命令の審査を必要としない運賃・料金の額の範囲』
(中略)
(3) 交替運転者配置料金
法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合、その他、交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には、別紙1で示す交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額を適用する。

 
上記の文面がその根拠ですが、ちょっとわかりにくいです。
 
Click!⇒一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について
 
これをそのまま読むと、交代運転者の配置が『義務付けられる場合』も『義務付けられない場合』も、利用者と合意できた場合だけ、交代運転者のコストを利用者に負担させていい、ようにも感じます。
 
【結論】
交代運転者の配置が義務付けられる場合は、料金の収受はマスト、それ以外の場合は利用者がOKしたときだけ収受できることになる。
 
交代運転者の配置が義務付けられる場合も、合意があった場合も、料金は必ず請求しなければなりません。
もしも、合意なしに(好意のような形で)交代運転者を配置した場合は、契約違反問題になります。
※令和4年11月6日追記

 
文章を文字通りに理解するのってむずかしいですね。
 

【中小企業診断士/行政書士 高原伸彰】

 

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